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ある恋のうた  作者: せりざわなる
はなの章
11/11

カケラが落ちる

何だか予感していた。


どうして?とやっぱり。


大好きだけど。

大好きだけど。

終わりはあるんだね。


お父さんからの電話。

毎日同じ時間にあったのに。

毎日じゃなくなって、時間もバラバラになって。


最初はお母さんと一緒に電話に出たのに。

電話が少なくなると、電話が鳴る度お母さんが一生懸命にお話してて、私はお父さんとお話したいと言えなくなった。

やがて、お母さんは泣くようになって、お父さんの電話はどんどん少なくなった。


今日は、お父さんが久しぶりに帰って来てる。

お母さんは夜のお仕事を休んで、はりきって夕ご飯を作ってる。

お父さんがそばにいるから、お母さんは本当に嬉しそう。

お母さんが笑ってるのは大好き。


だけど、夕焼けで周りが赤い色になっている今。

私はお兄ちゃんとよくいた公園にいる。




あんまり思い出しだしたくない。


夜のお仕事を始める前、お母さんは泣いていた。

だから、夜目が覚めてしまって、お布団の中でずっと聞いていた事もある。

そして、時々叫んでいた。

何かをぶつけていた。

だんだん酷くなって、私が学校に行っている時にも泣いていたみたい。


下に住んでいるお姉さんが、その音に怒ってお家にやってきた。

夜のお仕事から帰って寝ていたのにうるさいからって。

でも、不思議。

そのお姉さんがきっかけで、お母さんは寂しい夜はお仕事をするようになった。


私にはわからない。

それは良かったのかな?

だって、私の前ではお母さんはお母さんだったし。

一緒にいる事は少なくなったけど、「はな」って呼んでくれて、頭なでてくれて、私が話かけてもちゃんと聞いてくれる。

だけど。



ちょっとずつ

ちょっとずつ

「お母さん」は壊れていたのかもしれない。




お父さんと目があったとき、同じ気持ちだと思った。

お父さんからの電話は本当に少なくなったけど、私が電話で話す時はいつものお父さんだった。

だけど、二人ともどこかで感じていたの。

お母さんが壊れ始めてるって。

そして、目があって確信した。


【終わった】


私はお母さんが大好き。

お父さんも大好き。

お母さんもお父さんも私と同じ。

ただ、お母さんのお父さんへの大好きは強くなって、お父さんのお母さんへの大好きは種類が変わってしまった。



今、お父さんは

お母さんの世界に自分から入っている。

お母さんが壊れてしまうまでの時間を、少しでも延ばそうとするみたいに。

でも私はお父さんのそばのお母さんを見てると、

お母さんの欠片がぼろぼろと落ちているのが見えるようで、怖くなって逃げてしまった。



お兄ちゃんとの、楽しい思い出がいっぱいあるこの公園に。

黒歴史ストックはここまでです。

ここからは不定期になります。

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