自由の矛編エピローグ
『自由の矛編』エピローグを公開します。
20150915公開
【年齢部分で間違いを発見したので修正しました】
その日、砦は朝から浮ついた気配が漂っていた。
外交団が齎した成果は、交渉の結果を固唾を飲んで待っていた砦の市民たちを安堵させると共に、生き残る事に希望が持てる内容であった。
そして最大の衝撃を与えた成果が、遂に今日、砦に姿を現すのだ。
『S13よりベースへ、シンデレラと小人が全員揃った。30分の休憩を挟んで、移動を開始する』
『ベースよりS13へ、了解した。結局、何人のシンデレラと小人が来たんだ?』
『S13よりベース、事前の通告通り、シンデレラ100人、小人20人だ』
『ベースよりS13へ、これで砦も賑やかになるな』
『S13よりベース、全くだ・・・ 実際、自分自身で見ている癖に、信じられん光景だ』
ラミス王国との数度の交渉の結果、ラミス王国からの第一次移民団はラミス王国で使われる数え年齢15歳、日本で使われる満年齢で言うと14歳と15歳の子供たちからなり、女子が100名、男子が20名で構成される事となった。
男子の20名が追加されたのは、一種の留学であった。
彼らは、ラミス王国内では世襲可能な階級としては最下層に当たる「短槍家」の次男や三男以下で構成されていた。家督を継ぐ長男と違い、彼らは自力で「兵民」階級からのし上がる道しか無かった。
「短槍家」にのし上がれる確率はかなり低い。
その可能性を少しでも上げる方法の1つとして、単なる兵士としてでは無く、新たに現れた『新現部族』との交流が可能な人材になる方法が新たに示された。
知力に秀でていながらも、身体能力が低い人材にとっては吉報だった。応募した人数は予想を上回り、選抜が難航した程だった。
『ベースよりS13へ、噂の白雪姫はどんな子だ?』
『S13よりベース、佐藤二佐の言う通り、滅茶苦茶可愛い子だぞ。それにやはり王族だからか知らんが、オーラが違う。まさしく姫様だ』
『ベースよりS13へ、我らが「プリンセス」2人と比べてどうだ?』
『S13よりベース、あー、ノーコメントにしてくれ・・・ あ、ダメですよ・・・ プリンセス3よりベース、プリンセス3が世界で一番可愛いに決まっています。鏡がそう答えています』
『ベースよりS13へ、もしかして、プリンセス3か?』
『プリンセス3よりベース、そうですよ。それよりもツッコミを入れてくれないと』
『ベースよりS13へ、その鏡は嘘をついているぞ。本当は白雪姫の方が可愛いと物語が示している』
『そりゃ、残念。じゃあ、私は世界最強で良いや』
『ベースよりS13へ、冗談に聞こえんから困るぞ』
無線機の向こうから可愛らしい笑い声が聞こえた。
西暦2006年3月15日水曜日の朝の出来事であった。
そして、その月は、西暦を使う最後の月でもあった。
如何でしたでしょうか?
予定ではあと2話か3話ほど『自由の矛編』は続く予定でしたが、蛇足感が半端無いので、こういう構成にしました。
次回より、『新狭山市編(仮)』に突入します。
そして、取り残された現代人は再び戦火に巻き込まれます・・・