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【信長の野望】弱小大名・安東家。女当主と影武者で生き残る東北戦国記  作者: 西住


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第十七話(最終回) 宿怨の果て、怠惰の覚醒

いつも応援ありがとうございます。ついに、安東家の物語が最終回を迎えました。

影武者が選ぶ道と、新当主の「覚醒(?)」をお楽しみください!

最上との激戦は、安東・佐竹連合軍の勝利に終わった。


安東の居城。その奥まった一室に、敗将・最上義守は引き立てられていた。


「……最上殿。なぜ、これほどの無理を通した」


安東の声には、勝利の昂揚はなく、ただ重い問いかけだけがあった。

最上は答えず、ただ床を凝視している。その時、あわただしく部屋の襖を開ける家臣がいた。


「た、大変です!殿」


現れた家臣は顔面が真っ青で息も絶え絶えにしゃべった。


「落ち着きなさい。一体何があったの?」


玲夢がその家臣に問いかける。


「ば、幕府」


「幕府がどうしたの?」


「急遽!当家に会いたいと……

 当主に会いたいと言ってます」


まさしく風雲急を告げる瞬間であった


「ど、どういう事よ。説明しなさい」


玲夢が安東に問いかけるが


「そんなの自分が知るわけないだろうが」


安東にとっても寝耳に水の話である


急いで使者が待つという大広間に行くと

そこにはとんでもない光景があった……


「な、なんでアンタいるの?」


「え?なんかまずかった?」


そこには新当主が幕府の使者と

仲良く酒盛りをしていたのである


「いやぁ~この地域の地酒は

 中々にいけるものですな」


「そうでしょ。ちなみに私は

 50ある酒樽を40空にしたのよ」


「ほう。それは面白い

 では今度お手合わせ願いましょうか」


玲夢が一歩踏み出る


「すいませんが、要件を仰ってくれますか?」


あまりにも唐突な光景に玲夢は言葉を失ったが

なんとか振り絞ってしゃべりだした


「そうか……私としては

 彼女とずっとしゃべってもよかったのだが、

 まあよい」


その要件はあまりにも唐突で信じられない物であった


安東は最上の反乱を阻止した功績により

奥州を統べる大名”奥州探題”への就任を

決定するものであったからだ


「ど、どういうことですか?

 全く理解できませぬ」


安東は使者に聞くが


「別に説明しても構わぬが……

 それは貴様に言って意味がある事か?」


「え?」


玲夢と安東が首をかしげる


「ほれ?貴殿らの用人で小倉であったか小暮であったか

 そのような者がおったであろう?

 そのものから詳しく聞いておる」


三人は顔を見合わせる


誰の事かと数分考えたのち一人の名が浮かんだ


「小栗か!!」

「小栗か!!」

「小栗か!!」


三人は最上の元へ走っていた

近くにいた家臣に聞くと

今は最上を尋問しているという


三人は最上が捕まっている一室へ踏み込んだ


「おや?これはお三方勢ぞろいで」


用人・いや小栗がいつもと変わらぬ顔で語りかける


「そんな挨拶はどうでもいいわ。

 どうして幕府が当家の秘密を知ってるの?」


「それについては俺から話そう」


後ろから聞こえた声は三人を驚愕させるのには十分だった


「ど、どうしてお前がいるのだ……」


安東は目の前にいた人物が信じられなかった


それもそのはずである目の前には

かつての敵将”南部”の姿があったのだから


「じつは私と南部は繋がっていましてな」


小栗は語り出した


安東城がなぜ出来たのか……

どうして北条や長尾が途中で軍を止めたのか


「全部……お前がやったのか?」


南部は何も答えない


「そんな事よりも安東。いや影武者よ。

 この男はとんでもない奴だったぞ」


南部は冷ややかに義守を見下ろし、語り始めた。

最上がいかにして影武者の真の家族を罠にかけ、その命を奪ったのか。

そして、安東家を飲み込むためにどれほどの悪逆を尽くしてきたのかを。


「……っ! 私の家族を……貴様がッ!」


初めて知る衝撃の真実。影武者の瞳に、これまで見せたことのない激しい憎悪が宿る。

鞘から抜かれかけた刀が、室内の空気を切り裂こうとしたその時――。


「……やめなさい。見苦しいわよ」


彼女は影武者の怒りを射抜くように見つめると、ゆっくりと義守の前に歩み寄る。

膝を突く義守は、敗北の屈辱と、それでも尚、背後に隠した嫡男・義光の未来を繋ごうとする、

狂気的な執念が混ざり合った「目」でこちらを睨みつけていた。


それを見た瞬間、本物は確信した。

(……ああ、やっぱり。あの目だ。父上も、この狐も。

守るもののために全てを捨てる者は、みんなあんなに苦しそうな、醜い目をする)


「……影武者君。あんたまで、そんな『醜い目』をする必要はないわ。そんなものに、人生を明け渡してどうするの」

本物の透徹した声に、影武者は毒気を抜かれたように立ち尽くした。


「ねえおじさん……。今回の行動ってもしかして」


「もうよい、さっさとさらし首にでもしろ」


最上は新当主へ一喝するが

それでも本物は続ける


「そんな事は出来ないよ……

 だって、だって」


いつものか細い声。

そして自信のない声。

そんな新当主が声を荒げた


「だって私は”奥州探題”なんだよ!

 奥州探題は奥州を統べる物

 奥州の争いは私が終わらせるの!!」


その言葉に玲夢が驚愕した


「あ、あなた?気付かないうちに

 そこまで成長してたのね」


「おじさんは悪くない!影武者君も悪くない

 悪いのはこの”戦国”だよ。だから今私は宣言するわ

 この戦国を終わらせるために全力を尽くすって」


その場にいたすべての家臣たちが目を丸くしていた


号泣した玲夢が新当主の前に歩み寄る


「その覚悟、確かに受け取ったわ。

 これからもっと大変になるけど

 一緒にかんばりましょう」


そう玲夢が問いかけた瞬間……


新当主はきょとんとした顔でしばらく黙り込んだ。


「へ?なんの事?」


新当主が不思議そうな顔をして

玲夢に聞き返した


「は?だってあなた今戦国の世を終わらせるって……」


「え?それは影武者君や小栗君の仕事で

 私はやる事なんてないでしょ?」


…………


「え!?」


これには影武者・玲夢・小栗・さらには南部や

最上までもが目を点にして

新当主を見ていた


「あなた一応”当主”なんだから……

 やる事なんていっぱいあるわよ」


「そ、そんな……」


絶望の目をしていた新当主が

ふと影武者に目を向ける


「あ!そうだ影武者君。私の変わりに頑張って!」


そう言われた安東は真顔でこう答えた


「いや我が家の秘密はもう幕府にはばれてるからな。

 今更自分が出たところで相手にはしてくれないと思うが……」


「え!?そうなの!」


すると新当主の目は小栗に向いた


「それじゃあ小栗君。

 私を奥州探題にした力を使ってさ。

 上手い事考えてよ」


小栗はそろばんを叩きながら一言こういった


「無理です」


「そ、そんな~~~」


そんな光景を見ていた玲夢が

ついに怒りを爆発させた


「いい加減にしろ(怒)

 あんたは仕事をするの!いいわね」


「そ、そんなのいやだよ」


部屋から逃げ出す新当主

そしてそれを追い回す玲夢


それを見ていた安東が一言つぶやいた


「なあ使える家間違えたと思わないか?」


すると小栗はこう答えた


「そのわりには嬉しそうですけどね」


「ふ、そう見えるか?」


そんな会話をしている二人を見て

南部と最上は目をあわせ

大きくそして安堵したかのような笑いを見せた


——その直後、最上は無言のまま家臣に連れられていった。


その後城内ではこんな声が飛び交っていた


「逃げるな~~」


「絶対にいやだよ

 そんなの終わるわけないじゃん」


雪深い北の地で――


「東北の勇」と呼ばれることになるその家は、

今日もまた、騒がしくもどこか穏やかな日々を送っていた。


ーーー東北の勇ーーー安東家の秘密 

        完




完結です!最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。


シリアスに終わりそうな空気を一瞬で破壊する新当主――

あれこそが、安東軍最強の「兵器」だったのかもしれません。


ですが、この物語はまだ終わりではありません。


敗れた蘆名、伊達。

巻き込まれた最上、南部。


彼らはこの戦いで、何を失い――何を得たのか。


そして、“規格外の安東家”と関わったことで

その後の運命はどう変わったのか。


その答えは、後日談にて。

(4月5日更新予定!!!!!!!)

よろしければ、最後まで見届けていただければ幸いです。

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