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噂の悠君

 読んで戴けたら倖せです。

 学校の近くにある森林公園をぶらつきながら、ボクと悠君は話した。


「それにしても驚いたなあ 

 絶世の美少年が奏朶(かなた)だなんて......」


 ボクは悠君にそう言われて、照れくさくて顔を赤らめ言った。


「美少年なんかじゃないよ」


「そんな事もないんじゃない?

 その見てくれ、かなりいい線行ってると思うよ

 奏朶、小学生の頃から可愛かったからな」


 悠君はボクを振り返り、ボクの制服のネクタイを直してブレザーの襟を軽く撫でるように叩いて、ボクの顔をじっと見詰めた。


「オレを追い駆けて来たって、どうして.......? 」


 余りに沢山の事を悠君に伝えたくて、何から話していいか解らなかったボクは言葉に詰まってしまった。


「だって...................


 悠君との想い出はボクにとっては宝石よりも綺麗な想い出だから........」


 悠君がボクの後頭部に手を回して撫で、ボクの目を見詰めて言った。


「オレにとっても綺麗な想い出だよ

 奏朶との想い出は..............」


 その時の悠君の目は、あの時と同じ目をしていて、触れ合いたいって言ってる目だった。


「奏朶はあれから、何も変わってないの? 」


 ボクは頷いて目を閉じた。


 悠君の口唇がそっと触れてあの頃と同じ、お互いの舌をキャンディーのように舐め合った。


 次第に悠君の口唇は熱を帯びて、ボクを抱き締めた。


 ボクも夢中になって舌を絡め悠君を抱き締め背中を撫でた。


 気付くと呼吸が荒くなって貪るように悠君の身体を撫でていた。


 そして................。





 ボクは逃げ出した............。





 走るボクの後ろで悠君がボクの名前を叫んでいたけど、ボクはそれを振り切るように走る速度を上げた。




 悠君変わってなかった。

 

 なのにどうして、あんな..........。


 どうして...............?





 次の日学校に行くと何故かクラスの何人かに囲まれた。


「昨日、大丈夫だった? 」


 一番に開口したのは、多分杉野さんだ。


 まだ、人と名前が一致しないや..........。


 ボクがその問いに戸惑っていると、楠木君(多分...)が、口を開いた。


「昨日、真田先輩と一緒に帰ったよね」


「それがどうかしたの? 」


 ボクは訳が解らなくてきょとんとした。


「この反応、まだ無事みたい..........」


 谷川さんが言った。


「真田先輩には気を付けた方がいいよ

 武田君、絶対目を付けられたと思う」


「は? 」


「わあ、平和そのもの」


 谷川さんは珍しい物でも見るようにボクを見た。


 杉野さんが言った。


「真田先輩って、名うての男タラシなんだよ」


 男タラシって............。


 ボクは驚いて目を見開いた。


「それって、どういう事? 」


 三人は顔を見合わせた。


 そして杉野さんがボクを見て言った。


「言葉通り、この学校じゃ有名なんだ

 イケメンと見るとオトシにかかるの

 でね.............」


 杉野さんは言いずらそうに楠木君の顔を見た。


 楠木君も言いずらそうに俯いて上目遣いでボクを見て思い切ったように言った。


「エッチしちゃうんだ」


 ボクはその言葉に驚くと同時に信じられなかった。


 ボクは三人の顔を順に見た。


 谷川さんは頷いて言った。


「そうなの..........」


 昨日入学したばかりなのに、なんでそんなに情報通なの?

 という疑問は置いといて、ボクは言った。


「でもそれって、あくまで噂でしょ? 」


 三人はまた顔を見合わせた。


 楠木君が言った。


「まあ、そうだけど...........」


「じゃあボクは、そんな曖昧なものは信じないよ

 心配してくれて有り難う

 悠君とは幼馴染みなんだ

 だから心配しなくても大丈夫だよ」


 ボクは笑った。


 担任の先生がホームルームに来たので話はお開きになった。


 先生が何か言ってるけど、ボクは上の空だった。


 少しショックだった。


 昨日、悠君とキスをした。


 噂が本当だったとしたら、昨日のキスは再会を喜んで悠君の気持ちもあの時に戻ったんだって思ってたのに、そうじゃ無いかもしれないって事になる。


 もしそうだとしたら、ボクの気持ちは少し救われるかもしれない。


 だってあの時ボクは.................。




 帰りのホームルームが終わって廊下に出ると誰かに声を掛けられ振り向くとそこに悠君が居て、ボクは思わず「わっ!」って声を上げてしまった。


 悠君は眉を吊り上げ言った。


「わってなんだよ

 昨日のリアクションとのこの差は何」


 ボクは逃げ出してしまった手前、顔が合わせずらくて目を逸らした。


「ごめん、用事あるから...........」


 立ち去ろうとしたら悠君に腕を掴まれた。


「待てよ

 昨日はあんなに再会を喜んでたのに、どうしたって言うんだよ

 急に逃げ出すし........」


 ボクは返事に困った。


 言える訳無いんだ。


 あんな.......................。


 嫌われるに決まってる.......。


 ボクは掴まれてない方の手でそっと悠君の手をほどいた。


「ごめん

 本当に急いでるから..........」


 ボクは急ぎ足で、その場を去った。






 読んで戴き有り難うございます。

 この作品も、昔書いたマンガがベースになってます。

 BLマンガ雑誌に投稿しようと思って描いたんですけど、清書する前に限界感じてマンガ描くの止めてしまったんですよね。


 今、小説になって蘇ったので嬉しいです。


 タイトルにある「禁じられた遊び」は、あの有名な映画から戴きました。

 今でも大好きな映画です。

 若い方たちはナルシソ・イエペスのギターのテーマ曲聴いた方がピンと来るかもしれないですね。

 

 ミシェル役やってた俳優さんが数年後、「死刑台のエレベーター」と言うジャンヌ・モローの映画で、訳解らんアベック役やっていてショックだったのを想い出します。笑

 「死刑台のエレベーター」と言えば、やっぱりマイルス・デイヴィスのトランペットが素晴らしかったです。


 一度、マイルス・デイヴィスのアルバムを全部聴いてみたいです。

 ジャズと言うジャンルに捕らわれないスタイルを貫いたマイルス・デイヴィスの感性に凄く興味そそられます。



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― 新着の感想 ―
[一言] かつてはできたことも、成長すると恥ずかしかったり、あるいは禁忌であることを知ってしまったせいで出来なくなることって、ありますよね…成長の残酷さを感じてしまいました…。
2023/12/31 21:42 退会済み
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