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世界を救った勇者は、強くなるため旅に出る  作者: Flance_Pang
第二の魔王と魔皇帝の降臨

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壮絶な戦いの末

【前回のあらすじ】

《レン》

オルフェウスは全力を僕にぶつけた。僕も、オルフェウスに全力をぶつけた。

試合は、どうなったんだろう……?

競り合いにて負けたか、相討ちになったか、レンは気を失っていた。

ーーーーーーーーーー

気を失っている中で、レンは不思議な光景を見た。その光景では、オルフェウスが人間の女剣士と手合わせしていた。

(これは……オルフェの過去……?)

すると、その2人のところにかなりの年齢に達してそうな男性が近づいてきた。

手前(テメェ)ら、またやってんのか?ホントに飽きねぇな……」

老人がそう言うと、オルフェウスは少し笑いながら、

「ならお前も俺と手合わせするか?丹葉(タンバ)

と言った。

((タン)……()?ひょっとしてオルフェの仲間なのか……?)

「勘弁してくれよ。ただでさえ弟子の指導で忙しくて、合間縫って(ツラ)ァ見に来てやったんだぜ?それで手合わせなんてしてみろよ。弟子のところに腰骨折って行かなきゃなんねぇぞ?」

丹葉(タンバ)と呼ばれた老人がそう言うと、

「既に80歳になったと言うのに、よくそんな事が言えますね」

とオルフェウスと手合わせしていた女剣士が丹葉(タンバ)に話しかけた。

「話し相手が手前(テメェ)らだからそんな事が言えんだよ。元から年を取らねぇ鬼人族に、年を取らねぇ呪いかけられた唯一の人間である泉稜(ミカド)が相手だからな」

(泉稜(ミカド)……?丹葉(タンバ)といい、変わった名前……)

すると、3人のもとに今度はかなりの装飾品に身を包んだ男がやって来た。

「珍しい光景だな。こんな所でお前達が集うとは」

「おっとぉ!皇帝陛下様じゃねぇか!何だ?サボりか?」

丹葉(タンバ)はその男に寄りかかりながらそう言った。

「そんな訳が無いだろう。既に職務は終えた。今はひと時の休息を取っている所だ。それに、お前に皇帝陛下と呼ばれると、良い気がしない」

「わぁったよ、相変わらず固え奴だな。手前(テメェ)は」

そう言いながら丹葉(タンバ)は皇帝と呼ばれた男から離れた。

「その様子だと、俺たちを探しに来たという訳ではないようだな。奏永(ソウエイ)

オルフェウスはそう呼んで、男に話しかけた。

(皇帝の名前まで変わってる……。という事は……!)

「たまたま見かけて来ただけだ。それに、お前達は余が探すまでもなく、余のもとに来るであろう」

「それもそうですね。そう言えば、もうすぐで朱華(シュカ)の誕生日ですよね?私たちで何かサプライズでもしませんか?」

「おぉ!もう誕生日か!時間の流れってのは速えなぁ〜」

そう言った丹葉(タンバ)をオルフェウスと泉稜(ミカド)奏永(ソウエイ)はマジか……と言いたいかのような顔で見た。

「何だよ……、なんか俺変なことでも言ったかよ?」

「お前がそれを言うと冗談にならなくなる」

そう言いながら、オルフェウスはその場から離れようとした。

「何処へ行く?」

「主君の元へ戻る」

奏永(ソウエイ)が止めると、オルフェウスはすぐにそう答えたので、奏永(ソウエイ)はこう言った。

「そうか。なら余が止める理由はない」

「戻る理由は聞かないのか?」

「聞く必要はない。お前の事だから彼が心配なのだろう」

そう言われると、オルフェウスは強張っていた顔が少し和らいだが、その表情を見せる暇なく離れていった。

「また戻って来るといい。お前も今や、極零帝国の民だからな、『鬼依(キエ)』」

(鬼依(キエ)……!?今、オルフェの事を……)

すると、しばらくその様子を見ていたレンに、かすかに声が降ってきた。

「………きろ……」

(ん?何だこの声……)

「……起きろ……」

声は段々とはっきり聞こえてくる。

(起きろって僕に言ってるのか……?)

「レン・フリューゲル……起きろ……」

ーーーーーーーーーー

レンはゆっくりと目を開けると、オルフェウスがじっとレンを見つめていた。

「……オル……フェ?」

レンがオルフェウスを呼ぶと、オルフェウスはふぅと安堵の息をついた。レンは医療室のベッドに横になっていた。

「心配したぞ……。審判が判定を出し終わった後も、お前は気絶していたからな」

「判定……?そうだ……!試合は……!」

レンは、はっとして起き上がった。すると、レンとオルフェウスの近くに審判がやって来た。

「試合は、レン・フリューゲル選手のノックアウトで、オルフェウス選手の勝利です」

「それってつまり……?」

「はい、第15回ネルケディラ武闘大全の優勝者はオルフェウス選手です。まあ、あなた方それぞれの大技がぶつかり合った時の事は覚えてませんがね。その後はオルフェウス選手が起き上がり、あなたが一向に起き上がらなかった事で、私はノックアウトと見なしました」

それを聞くと、レンは再びベッドに寝転がった。自分の両目を右腕で隠して。

「どうした?」

オルフェウスが不思議に思って聞いてみると、

「また……、準優勝か……」

とレンは呟いた。オルフェウスはレンの顔を覗き見た。右腕の下で、レンは涙目になっていた。

「悔しいのか?」

「あぁ、悔しいよ。けど……」

「……けど?」

すると、レンは右腕で涙を拭い、また笑顔でこう言った。

「最高に楽しかった……!」

その言葉を聞いた瞬間、オルフェウスは少し笑った。

「そうか……。俺もだ」

そう言うと、オルフェウスは立ち上がって医療室を出ようとした。

「どこに行くの?」

「3位決定戦が終わって、もうすぐ表彰式だ。お前もすぐに来るといい」

そう言い残して、オルフェウスは医療室を出ていった。続けて審判も、医療室を出た。

しーんと静まり返った医療室で、レンはさっきの笑顔から一変、浮かない表情を浮かべた。

「さっき僕が見たものは何だったんだろう……?見る前に僕はオルフェの過去だ、って勝手に結論づけちゃったけど。あれはホントにオルフェの過去のようだったな……。とりあえず、表彰式が終わったらオルフェに聞いてみよっと」

そう呟いた後、レンはベッドからおりて棚の上に置いてあった自分の剣を背負い、医療室を出て表彰式のためにリングへと向かっていった。

最後まで読んでくれてありがとうございます。

オルフェウスの主君は今は名前は伏せておきます。

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