2-6 追い詰められるおかしなメンバー
時は少し巻き戻り、ミエリが触手少女と出会ったばかりのタイミングでアフタレアはずっと考えていた疑問をシャラムにぶつけていた。
「なぁ、ずっと考えてたんだけどさ」
「なに?あんまり気が散ってるとやられるよ?」
「そうだけどさ……ちょっと聞いてくれ、あのイサオってヤツさ、どう考えてもプロレスラーのマスターのこと知ってたよな?」
「まあそうだね、私も一昨日あったばかりだからあいつのこと知らないけど、あの態度はそうなんじゃない?」
「だよなぁ、だからなんでアイツはプロレスラーじゃないんだろってずっと思ったんだよ、シャラムはどう思う?」
「別にどうでもいいでしょ、他人が何やろうが迷惑かけなければ自由なんだし」
「そうだけどさぁ……じゃあなんであんなにキレたんだ?って思ってさ」
「そんなの本人に聞けば?」
「やだよ、なんかこええし……というかこのパーティどこかしらヤバい奴ばっかだな、お前もミエリも変な執着心あるしよ」
「私は仲間と思った人を見捨てたくないだけ、ミエリはなんかいきなり言い出したから私も不思議だったけど、それも他人の自由だし気にする必要はないよ」
「お前……他人に関心あるのかないのかどっちなんだよ」
「あんたはさっきから他人のこと気にしすぎじゃない?そんなに他の人のやってることが気になる?」
「当たり前だろ!?アタシたちは少なくとも今は仲間なんだから、そりゃアタシたちにも関わってくる専門職とダンジョンに潜る理由くらい気になるに決まってんだろ!」
「しっ、静かにして」
シャラムの態度にムキになったアフタレアの叫びを制しながら、シャラムが警戒の姿勢を取る。
「何かいる……?」
シャラムが聞き耳を立てる、どうやら自分たちの右側を並行する様に巨大な何かが這いずって移動しているようだ。音は遠くから聞こえ、対象が近くにはいない事を把握するとアフタレアがシャラムに極力足音を立てないようにして近づく。
「なんだ?デカブツが移動しているのか?」
アフタレアがシャラムの耳元で囁く。
「でもここには何十年もワームは出現してないはず、どういうこと?……はっ!」
そこまで言ってシャラムは何かを思い出したように声を上げる。
「どうした?あまり大声を出すな」
「昔、超大型のグロブスタが視界を遮るほどの霧と共にこのダンジョンに発生したって聞いたことがある……その時はマスターで組まれたパーティが討伐したらしいけどメンバーの一人はそれで大怪我を負ったって……」
「ということは、この異常な濃霧もアレのせいかもしれないってことか……最悪だぜ」
「予定変更、救援の連中と先に合流して奴を討伐しよう、ミエリを見つけ出せてもそんな化け物がいたら脱出できないかもしれない」
「そうだな、というかさっきは気が動転してたから考えなかったが、救援呼べるならミエリにも連絡できるんじゃねえのか?」
「それはもうやってるよ、でもミエリにもイサオにも繋がらなかった」
「マジかよ……どうなってんだ……?」
「外部には繋がるのに内部同士だと繋がらない……この霧は一体なんなの……?」
「とにかく、やれる事やってダメならもう脱出するしかねえ!早く行くぞ!」
「うん……二人とも無事でいて……」
再び周りを警戒しながら二人が進む、その間にも霧は少しずつ、そして確実にパーティメンバーを罠に誘き寄せていた……




