脳筋のくせにオタクって
騎士団長視点から、最後はカレン視点です。
「そう、卑屈なこと言って、君の同情を誘って、離れ難くしてるんだよ」
「同情なんてしない。離れ難くする効果はあるけど」
「何故?」
「分かって言ってるくせに」
「分からない」
「嘘ばっかり」
「君の口から、聞きたい」
「私のこと、そんなに好きなんだ。失うのが怖いんだ。もっと、中毒になってって」
「姑息な僕は、このまま君を手中に、し続けられるのかな?」
「いまさら。失う心配なんて、していないでしょ? 私がどれほど、あなたを好きか、そろそろ実感できたでしょう」
「いや、いつ失うことがあっても、おかしくないって思っているよ、いまでも。そうなった時に、自分が壊れる覚悟もしてる。それほどにもう、君なしでは居られない」
「脅迫ね」
「ああ、だから君にも、僕から離れる時は、僕を壊す覚悟でもって、頼むよ」
「こんな人だと思わなかった」
「そうだろうね。僕は君が、少々僕のせいで、狂う位だと良いのにとまで、思っている程度には、頭がおかしいからね」
「あなたのそういう発言に、少しづつおかしくなってると思う位に、あなたが好きだわ」
「嬉しいね」
「中毒は良く無いんじゃなかったの?」
「ジャンキーには、もう冷静な判断なんかできないよ」
---
団長は、少し虚ろな目で、語り続けた。
「僕は既に、強力に君に精神的に依存しているし、君を僕に依存させたい。意思を無くせという意味ではなくて、互いになくてはならない、息をするのに当たり前に酸素が必要なように、僕にとって君はそういう存在であるし、君にも同じところまで来てほしい。こう言葉にすることで、それを実現していきたい。」
「僕はオタク気質で、自分の執着するものへの拘りが強い。君を僕好みに変えよう、という意味ではない。君自体が僕の理想であり、知らない君も、きっと全部僕の好みになっていく。こういったところを、気味悪く思う女性は多いと思う。君がそうでないことを祈るよ」
そして、相変わらず、自虐的に独りよがりに締めくくった。こういうところは、全然知らなかったけれど、不思議なもので、幻滅したりはしなかった。むしろ、どんだけ、私の事好きなんですか。なのに、ひとつきも時間取らせて! もう、と悶える気持ちしか湧かない。
「団長こそ、覚悟してくださいね。私、近々、騎士団を辞めます」
「え? 何故? つきあうことになったのに」
素に戻り、慌てふためく団長もかわいい。
「そして男爵家の跡継ぎとして、実家に戻ります」
「聞いてない」
「はい、言ってませんから」
「どういうことだ」
「私と結婚してください」
「はい?」
うん、ぽかーんとしてる団長もかわいい。
最後までお付き合い下さった方、ありがとうございます。
もともと短編一話で、のつもりだったものを数回に分けて投稿しました。
勢いで一気に書いたので、会話が多くて説明不足です。
が、楽しかったです。
そして、何故こんなにヤンデレ好き(フィクションに限る)なのか。と自問自答。
誤字脱字の指摘は是非お願いします。




