衝撃の再会
三人を見送った後、程なくして寮の部屋がノックされた。
「真山、いるかい? 制服とタブレット端末を持ってきたから開けてくれるかな?」
朔也がドアを開けると雨森が制服の入った紙袋を持って立っていた。
「はい、これ。着替え終わったら、中央講堂に来てくれ。庭園の中央にある横の建物だよ。霊珠を忘れずにね。それじゃあ」
雨森は紙袋を朔也に手渡すと、さっさと部屋を出ていってしまった。朔也は紙袋から三着の制服を取り出して、そのうちの一着に袖を通した。扉の横には姿見が付いていたので、自分の真新しい制服姿を、しげしげと眺めた。それは誂えたようにぴったりだった。おそらく昨日の身体測定の結果から、制作されたのだろう。そして、朔也はあと数十年は成長することはないのだ。
それをほんの少し寂しく思いつつ、霊珠を持って朔也は寮を出た。中庭を横切って紫の花の中を歩く。朔也はホールに向かうことも忘れて、少しの間扶桑の花に見入っていた。その時、
「すみません、新入生なのですが、中央講堂はそこで合ってますでしょうか?」
鈴の音のような涼やかな声が聞こえてきた。その声は何万回と聞いた声で朔也は幻聴かと思い辺りを見渡した。すると桜に似た花の中に同じく白い制服を着た少女が立っていた。三つ編みにした長い髪は風にそよぎ、眼鏡の向こうから大きな金褐色の瞳はこちらを見つめ、桜色の唇が少し開いている。そこには鶴来みつきがいた。朔也は呼吸をするのも忘れた。
「あの……場所がわからないんですけれど。聞こえていますか?」
朔也ははっと我に返った。
「……ごめん、僕も新入生で講堂に来るように言われたんだ」
「そうだったんですね。それじゃあ一緒に行きましょう」
みつきが平淡な声で答えた。
「私は鶴来満月って言います。あなたは?」
朔也は緊張しながら名乗った。
「……真山朔也です」
「よろしくお願いいたします、真山君」
みつきはファンの一人だと気づかなかったようで表情筋をピクリとも動かさなかった。みつきの白金の髪が紫の花とともに風にたなびく。金木犀のような香りとみつきの匂いが入り混じって不思議な芳香を醸し出す。朔也にとってまるで妖精のように美しく映った。
(みつきが一緒に聖銃士になったとか……夢なのか?)
二人は連れ立って中央講堂へと向かった。朔也はみつきといることとこれから起こることに対して二重に緊張していた。
二人の前に聳え立つ中央講堂、それは聖堂とでも呼んだ方がふさわしかった。入口には巨大な玉と対になるように簡素なドレスに身を包んだ聖女の彫像が木と透明な刃先の槍を持って飾られている。入口は竜と少女のレリーフが刻まれており、大理石でできていた。
二人はそっとその重厚な扉を開けた。扉はあっけなく開いた。中は六角形になっており、角には六色の石が飾られている。そして、真正面には赤と青のアネモネと黄色と緑のダリアと黒と白の百合のステンドグラスが嵌められていた。
そこに六人の学生と雨森が立っていた。
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