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いつものように窓辺で一服しながらぼんやりと考える。
仕事をキッチリと終えた安堵と上手くいった満足感で昨日は大分盛り上がってしまった。
常連客を巻き込んでいつもの女将さんのとこで宴会になったのだ。
あの店が気に入ったらしいヴルヴァ達天使の翼も居たので勿論一緒に飲みまくった結果、常連客の半数が酔いつぶれ、いつの間にか天使の翼の弓使いイドゥンさんの膝の上に捕まっていたシャルさんがたらふく飲まされてダウン、カリンだけは食う專門だったので満足そうにお腹をさすっていたがオレも飲み過ぎて頭が痛い。
こっちに来て二日酔いになったのは初めてだ。
昨日の酒が口の中に残っているような感覚で、煙草が酒の味という体たらくだ。
これはいかんな。
昨日も寝る前に浴びはしたが、もう一度しっかりと水浴びをしてから身支度をした。
朝食を何とか食べて、食後のお茶を飲む頃にはようやく頭痛も治まってきた。
同じ宿に移ったシャルさんはあまり食欲が無いらしく、あまり食べなかった。
カリン?朝からモリモリ食べてたよ。
今日は依頼を受けずに休みにする予定なので、ラフな格好のまま一緒に3人でギルドに向かった。
ギルドへ入ると受付に居た猫耳レニシアさんに報酬の事を尋ねた。
「オークキング討伐の報酬が決まったにゃ。にゃ~風花には金貨・・・100枚にゃ?すごいにゃぁ!お魚たくさん食べれるにゃ!」
それは貴方だけだと思う。
しかし金貨100枚か・・・!銅貨10枚とかの報酬で依頼を受けていた少し前が遠く感じる大金だ。
シャルさんも驚いているから相当高いのだろう。
カンピラン達が金貨30枚とか言ってたから、早期発見と偵察、討伐、後処理まで評価されたってとこだろうか。
まぁ・・・街に被害が出る可能性があったからそれだけ喜んでもらえたのかな。
だとしたら嬉しいね!
「それからシャルにゃん、これまでの実績と貢献でBランクの資格があると判断されたにゃ。すぐにランクアップするかにゃ?」
シャルさんはBランクか!確かにカンピラン達と遜色ない能力は持ってると思うし、非力さを補う為に色々と魔道具も揃えているから攻撃力の無さは十分に補えている。
そもそも斥候だしね。
「ボクが・・・Bランクかぁ。うん、お願いします」
「それじゃあ手続きするからギルドカードをくださいにゃ」
手渡されたカードをレジもどきに挿入、しばらくして出てきたカードをシャルさんに手渡した。
青くなったカードをシャルさんは感慨深げに見つめている。
仲間を失った過去を思い出しているのだろうか。
言葉をかけるのも躊躇われて、シャルさんの背中をポンポンと叩いておいた。
見ればカリンもおめでとう、と言っている。
「ユウにゃんとカリンにゃんももう少しでBランクになれそうにゃ!頑張ってにゃ!」
おお?俺達ももう少しらしい。
オークキング討伐作戦が相当実績としてカウントされたってことだろう。
なにせ特例でCランクになったばかりだ。
「ありがとう!それじゃ2人共三等分のパーティの資金で金貨10枚って感じで良いかな?」
「ん。食べ放題」
「昨日あんなに食べたのにまだ食べたいの!?ユウ~ボクもそれでいいよ~」
「よし、レニシアさん。それじゃ今日は休みにするのでここで失礼」
「冒険者は休むのも大事にゃ!ゆっくり休むといいにゃ」
笑顔のレニシアさんに手を振ってギルドを出た。
とりあえず・・・オレは神殿に行って転職してくるかな。
「オレはこれから神殿にいくけどどうする?」
「ボクは武器の修理と矢の補充かな~。弓も見たい~」
「ん。転職」
職人街の方へ向かうシャルさんと別れて、二人で神殿に向かうことになった。
道すがら屋台で美味しそうな匂いにつられたカリンが串焼きを買ったりしながら、のんびりと神殿に向かう。
はぁ~、深呼吸しながら空を見上げる。
本当にいい天気だ。
しかし・・・こうやってゆっくり街を歩くの初めてじゃないか?
依頼で色々歩いてはいるが、こうしてのんびり歩いたことはなかった。
「たまには休みもいいなぁ~」
「働き過ぎ」
「勤勉な国民なんだよオレの国ってば」
「ん。真面目」
「真面目、ねぇ。そうやって生きてきたから頑張ってるって感じでもないんだよなぁ」
ほんと、こっちに来て時間に追われなくなったせいか、はたまた自由業の冒険者になったからか、忙しくても全然辛く感じないんだよなぁ。
「こっちじゃギルドが目を光らせてるから変なお客さんと会うこともないしなあ」
「ん」
若い冒険者が客の無茶な依頼で命を落としたり、ケチを付けて報酬を払わないなんてことが昔はよくあったらしい。
冒険者の数が減ってギルドは慌てて対策を講じた。
依頼を事前に精査して、支払いは原則ギルドに先払い。
内容によっては却下されるし、ランクに応じた金額もきっちりと決めた。
そうすることで冒険者を間接的に守ったわけだ。
他にも訓練施設をギルド内に設置したりと色々やってきたらしい。
そんなことを話している内に神殿についた。
早速、鍵を借りて部屋へと入る。
俺達のステータスはこんな感じだ。
---ステータス---
個体名:ユウ・ミサキ
種族:ヒューマン
年齢:18才3ヶ月
職業:見習いハンター MAX new、銃器製造技師 1
レベル:35
生命力:3750/3750
魔力量:380/380
力 :S
体力:S+
器用:S+
敏捷:S
魔力:D
知力:C
精神:A+
運 :C
ースキルー
”アクティブスキル”
軽盾術MAX、重盾術MAX、鎚術MAX、剣術MAX、短剣術MAX、刀術MAX、斧術8、棒術MAX、槍術MAX、二槍術MAX new、杖術6、拳闘術MAX、蹴撃術MAX、投げ技9、関節技8、投擲術MAX、弓術MAX、手当MAX、罠設置3、毒取扱1、罠解除1、気配察知MAX、威圧MAX、射撃術1、警護術MAX、挑発術MAX
生活魔法MAX、操気術MAX
”パッシブスキル”
防御MAX、足捌きMAX、ステップMAX、持久走8、軽業7、地図2、方向感覚4、サバイバル8、部隊指揮7、指導6、魔力操作3、気力操作MAX、隠密行動3、連携MAX、敵注目7、集中MAX new、獲物の知識MAX new、森林行動MAX new、早撃ち5new
ストレス耐性6、毒耐性5、精神耐性7、耐寒2、耐暑2、閃光耐性MAX、ノックバック耐性4
”生産系スキル”
釣り6、料理3、鍛冶2、木工2、皮革2、機械操作1、罠作成2、銃器製造1
”ユニークスキル”
早熟MAX、変幻自在、アルマトゥーラ言語MAX、インフォメーション※体験版
”祝福”
ズィッヒェルの加護(特)、シュベアートの加護(愛)、ファレの加護(職)
”称号”
苦労人、胃痛の友(笑)、器用貧乏、神認定お人好し、異世界より来る者、2柱の中級神の強き加護を得し者、神の弟子、耐える者、森の狩人、戦闘狂い、職業マニア、新職始めました、職業神に注目されし者、鬼軍曹
---ステータス---
個体名:カリン・シュバイツ
種族:ハーフエルフ
年齢:20才2ヶ月
職業:スペルキャスター MAX
レベル:38
生命力:1500/1500
魔力量:4000/4000
力 :D+
体力:C+
器用:B
敏捷:E+
魔力:SS
知力:S
精神:B
運 :F
ースキルー
”アクティブスキル”
杖術MAX、結界術MAX、対象解析MAX
嵐魔法MAX、爆魔法4、氷魔法5、樹精魔法5、岩魔法5、空間魔法7、生活魔法MAX
”パッシブスキル”
ステップ5、礼儀作法3、足捌き5、魔素操作MAX、魔力貯蓄MAX、連携MAX、魔力回復速度上昇5 new
ストレス耐性2、精神耐性5
”生産スキル”
舞踏2、歌唱1、絵画3
”ユニークスキル”
魔導図書館 5、魔眼(識)7
”祝福”
魔法神の寵愛(変)
”称号”
薄幸、耐える者、芸術家、幼き魔女、神に執着されし者、魔の申し子new
---ステータス---
個体名:シャルヒェル・ラズコー
種族:ホビット
年齢:25才4ヶ月
職業:熟練シーフ 9
レベル:45
生命力:1200/1200
魔力量:670/670
力 :D(成長限界)
体力:B+(成長限界)
器用:S
敏捷:A+
魔力:C
知力:C
精神:C+
運 :B+
ースキルー
”アクティブスキル”
短剣乱舞6、短剣二刀流4、追跡術MAX、小弓技MAX、投擲術MAX、鋼糸術7、罠制御8、劇毒物取扱4、全罠解除8、隠密行動8、聞き耳6、変装術3、気配探知MAX、隠蔽術5
生活魔法MAX
”パッシブスキル”
小転6、アクロバットMAX、持久走5、受け流し6、暗視術7
毒耐性4、麻痺耐性3、石化耐性1
”生産スキル”
細工4、採掘3、彫金3、薬調合5
”ユニークスキル”
直感8、幸運の星6
”祝福”
なし
”称号”
幸運な男、童顔、鋭き者、ボクっ子、器用者、歩く罠辞典、へたれ、年上殺しnew
レベルも高く上級職にもなっているシャルさんよりも能力値が高いのは、加護のお陰なのだろう。
客観的に比べると凄まじい差が出てしまっている。
成長補正がかかっているオレは勿論、魔法関係の成長速度が半端じゃないカリンが化け物クラスに成長している。
これ・・・魔法さえ通じる敵なら1人でSランクとか倒せるんじゃないか?
う~ん・・・シャルさんも何か良い加護がつくと良いのだが・・・あとで連れてきてみるか。
カリンみたいに誰かシャルさんがストライク!って神様が来るかもしれんし。
それはあとで考えるとして、まずは転職してしまおう。
カリンは上位の魔法使いでさらに条件を満たしたとかで、見習い賢者になっていた。
賢者なのに見習いってどうなんだろうな?
さて、オレも転職してしまおう。
ハンターもクリアしたので次は斧士になるつもりだが・・・。
見習いを終えた上位の職が並び、続いて複合職らしき見習い剣聖やらイェーガーが続く。
見習いアクスファイター、見習い剣聖、見習いイェーガー、見習いスローターか。
ふむ・・・
「見習いスローター!?」
〘見習いスローター:多数の敵を殲滅する戦いの鬼。広範囲に斬撃を飛ばすスキルやダメージを拡散させるスキルを持ち、乱戦に強い。敵が多ければ多い程戦闘力が増す。そして・・・君は戦場の鬼となる。取得条件は戦闘職6職マスター・下位武器スキル5種以上マスター〙
「・・・・・・・」
馬鹿なの?
なんッだよ!そして・・・君は戦場の鬼となる。って!!!
新作ゲームの予告かッ!!
〘格好いいじゃろ?〙
またおまえか!!
〘早速なってもいいんじゃよ〙
いやだよ!こんな物騒な職!
〘今まで誰も条件を満たす者が居なかったのじゃよ?なってほしいのじゃよ!〙
そりゃ・・・5種類も武器を使う人は居ないだろうし、下位職とはいえ沢山マスターする奴は普通居ないだろうけどさ!
オレは次は斧士になるの!
まったく付き合いきれん。余計な事をされる前にさっさと転職してしまおう。
〘貴方は愚かにも見習いアクスファイターに転職しようとしています。やらかしますか?〙
愚かなの!?
しかもやらかしますか?ってなんだよ!どういう確認の仕方!?むしろ斬新だよ!!
yesyesyesyesと内心ではいを連打する。
〘見習いスローターに転職しました☆〙
しました☆じゃねえええええええ!!!
腹立つぅぅぅ!このじじい腹立つわ!!
〘本当はやってみたかったんじゃろ?素直になるといいんじゃよ?〙
少なくても今じゃねぇよ!
というかいいの!?
こういうのいいの!?
〘職業については儂の意向が最優先☆〙
☆を付けるな!!
イラッとくるから!
〘☆てれやさん☆〙
「うぜええええええ!カリン!さっさと出よう!ここから早く!」
「ん、見てるのは面白い」
「そうでしょうねぇ!?そっち害無いですもんね!ホラホラさっさと出る出る!」
〘そんなに急いででなくてもいいんじゃよ!?ちょ、まっ〙
バタム




