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#13 自覚

 嬢に強がってるだけと言われても

心当たりがあり過ぎてぐうの音も出なかった俺は

嬢に聞いてみたんだ。


〈俺〉

「……いつからそう思ってたんだ?」

〈嬢〉

「え?最初からよ?

気付かれてないと思ってたの?

ワタシ色んな男の相手してるのよ?

男の事なんて全部分かるんだから」


 俺は嬢に最初から全て見透かされてたんだ。

この女には敵わないって思ったね。


〈俺〉

「……ああ、お前の言う通りだよ。

俺はずっと強がってたみたいだ。

それで、お前はどうしたいんだよ?」

〈嬢〉

「……アナタと、ずっと一緒にいたい。

結婚しようって、言ってくれないの?」


 嬢が俺に本音で話してくれるように、

俺も嬢には本音を話そうと思えたんだ。


〈俺〉

「……結婚は、考えてないんだ。

正直言うと、怖い。責任を背負うのが。

それに、今ってセクハラに厳しい時代じゃん?

プロポーズしても女の判断で

セクハラになるかも知れないし」

〈嬢〉

「何それ?ワタシがアナタの事

セクハラで訴えると思うの?」


 嬢の機嫌が悪くなったのがすぐにわかった。

でもこの時の俺は何故か、嬢の機嫌を直そうとは

思えなかった。嬢になら本音で話したい。

むしろ俺の本音を嬢に聞いて欲しいって

そう思ってた。


〈俺〉

「思わないけど、理論上はあり得るだろ?

今の日本の法律じゃそれが可能なんだよ。

これが現実なんだよ。お前は女だから

真剣に考えた事無いだろうけど、

プロポーズする事も今の時代じゃ

男にとってはリスクなんだよ。

俺は女の為にリスクを背負う気は無い」

〈嬢〉

「何それ?じゃあ結婚成立してるカップルが

居るのはおかしくない?矛盾してるじゃん?」

〈俺〉

「それはその男がそこまで考えてないだけだよ。

結果訴えられなかっただけ、

運が良かっただけの話だろ。そいつらだって

プロポーズした時の相手の女の気分や気まぐれや

関係性によっては訴えられて人生に傷がついても

おかしくなかったんだよ」

〈嬢〉

「……じゃあワタシとこうやってヤッてる事も

セクハラになるって事?そういう事?」

〈俺〉

「あー、それはお前の気分次第だな。

お前がセクハラだって、不同意性交だって言えば

俺は勝ち目ないだろうな。

まあ、LINEの履歴から同意があったと出来るだけ

証明はするだろうけど」

〈嬢〉

「アナタ、女と喋る時とか、口説くときとかさ、

女に対して好きとか抱きたいとかの感情よりも

セクハラとか不同意性交とかのリスクの方を

先に考えてるって事?」


 俺は男の生きづらさや困難を女に話した事は

一度もなかった。言っても無駄、聞きはしない、

女はいつだって自分が被害者になろうとする、

それを話す事自体

セクハラだってイチャモンつけられる、

そう思ってた。だが何故かこの嬢には

ドラマみたいに話していたんだ。


〈俺〉

「ああ、勿論だ。

これからもそうやって生きていく。

俺がおかしいと思ってんのか?俺はただ

自分の人生を守ってるだけだ。

セクハラとか不同意性交とか男に文句言う

女は、男が女から訴えられた後

そいつの人生がどうなるかなんて、

考えないだろ?どうせ他人事だもんな。

今のこの国じゃ、

男はこうやって生きていくしかないんだよ。

これは、俺の正直な本音だよ」

〈嬢〉

「……女が悪いって言いたいわけ?」

〈俺〉

「そうじゃない。お前になら

なんだって正直に言うよ。女が悪いんじゃない。

セクハラの線引きが曖昧なままで

放置してる国が悪いんだ。俺はそう思ってる」

〈嬢〉

「だったら国に文句言ってみれば?」

〈俺〉

「言ってるよ、出来るだけ、SNSでね。でもな、

この国はセクハラ防止条例やら不同意性交罪やら

女の為には動くけど、男の為には

全く動かないんだ。これが現実なんだよ」

〈嬢〉

「……ワタシとヤルのもリスクがあるなら、

もう会うの止める?もうシテあげないよ?」


 俺は思った。もうこの女とも終わりかって。

それと同時に、今ここで女に謝れば、

昔の自分に逆戻りだってね。

それだけは絶対に避けなければいけないって

俺はそう覚悟を決めたんだ。


〈俺〉

「そうだな。もう会うの止めよう」

〈嬢〉

「いいの?ワタシと会えなくなったら

相手いんの?また独りになるんだよ?」

〈俺〉

「その時はまた風俗に戻るだけだ。

何も変わらない」

〈嬢〉

「なんでそうなるの?ワタシ、仕事以外で

アナタ以外とシテないのよ?

アナタから連絡来るの毎日待ってたのよ?」

〈俺〉

「……別にそんな事頼んでないだろ。

お前が勝手にそうしただけだろ。押し付けるな。

それに俺はお前がプライベートで他の男と

シテないからって喜びはしない。

どうせ体だけの関係じゃん?」

〈嬢〉

「わかってんの?それも強がりなんでしょ?

素直に女を引き留めたら?」


 嬢の言う通り、全部強がり。

でも俺の気持ちは変わらなかった。

女に媚びる人生に逆戻りする位なら、

この嬢と縁を切った方がマシだって思えた。


〈俺〉

「ああ確かに強がりだなお前の言う通りだよ。

だがな、俺、いや、俺達みたいな

女抱く為に普通より努力しないといけない男は

強がりだってわかってても、

それを自覚して生きていく方が

人生は、まだ“マシ”なんだよ!

俺はもう女に媚びる人生はうんざりなんだ!」

〈嬢〉

「……アナタって最低ね」

〈俺〉

「今頃気付いたか?」


挿絵(By みてみん)

〈嬢〉

「……もう二度と会わない!!」


 嬢はベッドから降りていった。

その直後俺が思ってたのは、

次はどんなタイプの女にしようかな?

熟女系のお店も行ってみるか?って思ってた。

嬢を引き留めるドラマみたいなセリフを考えよう

なんて、思うわけない。


 嬢は俺に学びを与えてくれた。

俺は強がってただけだって事。それと、それでも

強がってる自分を自覚して生きて行かないと

いけないって事。

女に媚びない人生の方が最終的に

人生の幸福度は高い。俺は学んでたからね。

“自覚”する事で俺はまた強くなった気がした。

嬢が帰り支度してもそれを受け入れられた。

服を着て立ち去って行く嬢の背中に

俺が言った最後のセリフは

「おい、忘れ物はないか?取りに戻ってきたら

気まずいだろ?」だった。


つづきも読んでくれたらうれしいな


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