チャプター49:「殴打」
再び後方、VAC AF野戦駐屯地の仮設指揮所。
「第二派、突入開始ッ」
通信卓の通信員がまた前線からの知らせを受け取り、前線での第二派の突入開始を声にして指揮所内に知らせる。
「頼むぞ――」
それを聞き、作戦卓の地図上の駒を、またその太い指先で動かすラエ。
「……っ」
「……」
その作戦卓の傍らでは。同席しているリーシェ、ルーネ、シュステン、クインたち四人もまた。
その駒の動きを、作戦の進行状況を。固唾を飲んで見守っていた。
「―――ォォォォァッッ!!」
前線では、第二派の突入が開始。
多数からなるAF各隊各員が、ToBの懐へと踏む入るべく。劈くまでの声を張り上げ、広くに展開して突進の如きで駆け進む。
「――あれはッ」
その内、先頭を務め行く一名の装甲工作員が。
駆け進む先の向こうに置かれ、待ち構える機械を――ToBが設置した「セントリータレット」、自動機関銃を見つけた。
そのタレットの背後の少し向こうには、ToB本陣からの出城としての役割か、小規模な陣地スポットも見える。
――直後瞬間。
見つけたそれぞれから寄越され来たのは、容赦の無い銃火火線。
AFを押し止めるために寄越され始めたそれが、突入進行の最中のAF各隊各員の近くを掠め。
「ヅァッ――」
そしていくつかの銃火が命中弾を生み、何名かのAF隊員等を撃ち抜き沈める。
「ッァ――ォォッ」
しかしその内で、先頭を務める装甲工作員は。怯まず、そして構わないと言うようにその銃火の最中を果敢に駆け進み続け。
間もなく、今に見止めたセントリータレットの間近へと踏み込んだ。
「――ォラァッッ!!」
セントリータレットの懐まで踏み込むと同時。装甲工作員が見せたのは、その片手に持ち備えていた金槌を、まるでラリアットの如きで振るい繰り出す動き。
それはセントリーボットの電子部品が詰まる「頭」へと叩きつけられ、金属のぶつかる嫌な音が響き。
そしてセントリーボットは工作員の手によって、拉げ、破壊されて地面に投げ沈められた。
「――ッォ!」
しかしそれを成して尚、装甲工作員の動きは止まらない。
装甲工作員はそのまま、タレットを前に立てるようにその奥にあった、ToBの出城陣地を目指して突進。
纏うアーマープレート類にものを言わせて、襲い来る銃弾を弾き退けながら突っ込む。
「ォァァッ!!」
そして敵陣地の懐まで踏み込むと同時。脚を踏み切り、構築陣地の遮蔽を踏み越えてその向こうへと飛び込み。
「ぅ、うわ……!――ぎゃぇっ!?」
その向こうに待ち構えていた一人のToB軽歩兵を。その兵が持つ銃器による応戦を認める間もなく。
装甲工作員は飛び蹴りにて踏み抜いて退け。
そして、金槌を持つ手とはもう反対の片手に備えていた自動拳銃にて、容赦なく数発を撃ち込み屠って見せた。
「うわ!……ぎゃっ!?」
「クソ!――がぁっ!?」
同じく陣地内に身を置くToB兵たちは。敵の襲撃に驚き、あるいは同胞がやられたことに悪態を上げながらも、対応応戦の動きを見せかけたが。
しかし彼らには、それを叶える暇も与えられなかった。
「――ッォォッ!」
「潰せェァ!!」
装甲工作員に続くように。立て続けに次に次にとAF各員が、ToBの出城陣地へ到着。
「ヒ!?――あがっ!?」
「ぎゃっ!?」
隊員等は二人、三人、四人と、立て続けに遮蔽を越えて陣地内へ飛び込むと。
流れる動きで、近場に居合せたToB兵を押し蹴り倒し、サービスアサルトライフルの銃剣にて刺突。あるいは銃撃を我武者羅に撃ち込み。
ToB兵たちを屠り沈め。その出城の役割の構築陣地を、無力化に至らしめた。
そして、AFの突入攻撃行動は、その構築陣地の一か所に限定されない。
場の大きく広くにて、AF各小隊、分隊に班は、劈くまでの張り上げ声で進み押し上げ。
また待ち構える各所の、ToB側のタレットや前進陣地を襲撃にて潰し無力化。
ToB側の前線を崩し、突き破る。
「た、助けれくれ……!」
「引け、引けぇ!」
その各所にて前進前哨の役割を担っていた、ToBの各部隊、各兵は。
しかし前進ポイントを維持できなくなり、瓦解から後退の動きを見せ始める。
「ひぎぇぁ!?ぎゃァ!?」
そしてしかし、そんな中に逃げ遅れるToB兵が散見され。
一か所では一人のToB歩兵が、装甲工作員に襲撃され。詰め寄られながら、一撃二撃と金槌による痛烈な殴打を受け、そして拉げ屠られて地面に投げ出される姿が見える。
「進めェァッ!!――」
そのToB兵を屠り、また張り上げる装甲工作員。
そんな様相で、ToBの各部隊、各所配置を確実に潰しながら。
VAC AFは押し上げ進み、いよいよ古代の遺跡の間近。ToBの本陣へと迫った。




