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俺は無事に街に転移したが、雪さんは一緒に転移できなかったようだ。


小田さんに事情を説明した。

みんな一緒に転移を試みたところ、悪魔に邪魔された。森から出られる人数には制限がある。森の中にいる人には外へ転移できないように呪いが掛けられた。俺だけは呪い無効なので転移できる。といった説明だ。



「ふーん。だいたいの状況は分かったわ。私は運が良かったみたいね。それに大和君だけでもこっちに来てくれるならありがたいわ。頼りにしてるわよ。」


「頼りって俺はまた森に戻るつもりだよ。」


「お金を稼ぐのを手伝ってよ。」


「何か策はあるの?」


「無いわ。何か考えてよ。」


「森で色々と採取できるし、スキルで作ったりもできるから、それを売るくらいしか無いかな。売り先はある?露店を開くとかでもいいよ。」


「売り先なんて知らないわよ。露店も女の私じゃ危ないでしょう。」


「そうなの?困ったなぁ。」


「大和君が売ってきてよ。」


「俺が森から持ってきて、俺が売るの?」


「そうだよ。それがいいと思うの。」


「それだと小田さんに収入は無いけど。」


「分け前を頂戴よ。いいでしょ。」


「いや、全然よくない。」


「私のお陰で街に来れるんだから分け前をよこしなさいよ。」


「別に小田さんがいなくても街に来れるんだよね。」


「酷い!見捨てる気!?」



あー、やばい。もう面倒くさくなってきた。

何か小田さんでもできることを考えてあげて、その対価を分けてあげないといけないが、小田さんでもできることが思いつかない。

情報不足だからだな。悩んでも無駄だ。街を見て周って情報を集めよう。



「街に出て何か金を稼ぐ方法が無いか探してくるよ。小田さんも自分でできることが無いか探してね。」


「できることなんてないよー。助けてよー。」


「探してね。取りあえず俺は一旦戻ります。」





拠点へと転移で戻る。

こちらもまだ活動を開始しておらず、みんなが集まったままだった。



「ただいま。」


「おかえりなさい!」



美咲さんの「おかえりなさい」が俺を癒してくれる。



「何かあったの?」



心配そうな表情の美咲さん。小田さんとのやり取りでの疲れが顔に出てしまったようだ。いかんいかん。



「何でもないよ。いや、何でもないことも無いか。街に行っても金を稼ぐ手段が無いと何も出来ないことが分かったから、街を見て周って金を稼ぐ手段を見つける必要がありそうだよ。有力なのはここで何かを集めるか作るかして、それを売ること。商材の開発と同時に、売り先、商流の開発も必要になる。商流の開発は街に行ける俺しかできないから、困ったなぁと思って。」


「小田さんは手伝ってくれないかな?」


「話した感じ、あてにしない方が良さそう。」


「そっか。残念だね。」


「そう。残念なんだよ。」



主に小田さんの性格が残念なんだよ。



「商材については美咲さんと七菜さんに任せちゃってもいい?」


「うん。二人で考えてみる。」


「他の人は昨日まで続きでいいかな?」


「待って。」



雪さんが手を上げた。



「大和。卵を取りに行こう。」


「ああ、卵か。忘れてた。それじゃあ俺と雪さんは卵を取りに行こう。俺はその後で街に行っても情報収集してもいいかな?」


「うむ。」



雪さんが腕を組んで頷いた。いいらしい。みんなもいいようだ。



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