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【鳥瞰図】で湾藤と東の居る位置を確認する。二人とも同じ位置に居るようだ。拠点からは東南東の方角。

さっそく湾藤の元へと転移した。


隣接する岩と木の隙間に隠れる湾藤と東。俺が持ってきた松明の光に驚きこちらを見た。



「なっ!大和!いつの間に!?」


「落ち着け。別に攻撃しに来たわけじゃない。喉が渇いているだろう?これをやるよ。」



持ってきた水入りペットボトル2本を地面に置く。



「いいのか?」


「ああ。先に言っておくが、井家田さんは俺たちが保護した。それから、俺たちの所には女子が多い。女子を襲った二人のことは警戒している。だからお前たちを連れて帰ることはできない。でも仲間たちは、お前たちを見殺しにしたくは無いそうだ。だから支援物資を届けて欲しいと頼まれてきた。水の他に食べ物もある。芋を焼いた物だ。俺たちもそれほど余裕はないからこれくらいしか無いが、無いよりはましだろう?」


「「ありがとう。」」



湾藤と東は礼を言うと直ぐに飲み食いを始めた。余程飢えていたのだろう。がっついて食べていた。

二人が芋を食べ終えて落ち着いてから話を再開する。湾藤が聞いてきたのは女子のことだった。



「俺たちを助けるように言ってくれたのは誰なんだ?」


「それを聞いてどうするつもりだ?」


「感謝して、もし出会ったらお礼を言いたい。間違っても襲ったりしないようにしたい。」


「そこは誰か分からないまま女子全員に感謝して、誰も襲わないようにしてくれよ。」


「自分が生きるか死ぬかって時には気遣う余裕なんてないんだよ。」


「それでも女を襲うなんて真似はするな。あと、死なないように努力しろ。火は熾せるのか?」


「あの棒を擦るやつをやってみたが出来なかった。」


「薪を集めろ。火を分けてやる。その後の管理は自分たちでしてくれ。モンスターの肉は焼けば食える物があるぞ。あとは水か。多分1時間位歩くが、向こうに川がある。とりあえず今夜一晩は交替で火を絶やさないようにしながら寝て、明日は川を目指すといい。」


「もう食い物を持ってきてくれないのか!?」


「今後全く何もしてやらないとは言わないが、俺たちもそれほど余裕は無いんだ。最低限は自分たちでやってくれ。」


「マジで死にそうなんだよっ!」


「スタートの条件はみんな同じだ。こっちだって死ぬかもしれない。そんな中でこうして物資を分けてやりに来ただろう。」


「俺にはペットボトルなんて無かったぞ!」


「お前な。それはペットボトルの水を創造するというスキルを取ったから手に入ったんだ。お前もスキルを取ったのだから、それで何とかしろ。」


「俺のスキルは【身体強化】だ!ペットボトルなんて作れない!」


「そのスキルで川のある場所まで走っていけば良かったんだよ。そうすれば水は手に入る。スキルで腕っ節に自信があるなら物作りができるスキルの奴の用心棒でもすれば良かったんだ。女を襲うような奴を用心棒にするやつは少ないだろうが、それは自業自得だ。自分で何とかしろ。」


「大和は便利なスキルを持ってるやつと運よく出会ったからそんなことが言えるんだ!」


「運よく出会ったってのは違うんだけど、どう思おうと勝手にしてくれればいい。これからはスキルを活かして価値のありそうな物でも集めておきなよ。物々交換はしてやるよ。もう面倒くさいからこの松明はやる。俺は帰る。」



面倒になったので持ってきた松明もどきはその場において立ち去ることにした。湾藤はまだ何かわめいていたが、これ以上聞く気は起きなかった。最低限のことはしてやった。後は自力で頑張ってほしい。


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