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「戸田君が戻ってこないね?」



美咲さんに言われて気がついた。俺は戸田君の事をすっかり忘れていた。

マップを開いて戸田君の位置を確認する。拠点の近くにいるようだ。



「近くに入るね。・・・。あれ?迷ってる?甘野さん、洞穴の入口を隠したって言ってたよね。戸田君に言ってある?」


「あっ、言ってない。」


「可哀想に。それで迷ったんじゃないかな。ちょっと迎えに行ってくるよ。」



俺はそう言って立ち上がった。特に止める声も無いのでそのまま拠点を出る。洞穴を出て振り返ると、入り口は木と草で見えにくいくカモフラージュされていた。なるほど。知っていれば違和感があるのでバレバレだが、知らなければ素通りしてしまうかもしれないな。

戸田君は拠点の直ぐ近くにいて転移するほどの距離ではないのでマップを見ながら走って戸田君を迎えに行った。程なくして戸田君を見つけることができたのだが、その姿を見て驚いた。



「戸田君!大丈夫かい!?怪我をしてるじゃないか!」


「ああ、大和君。大丈夫。HPが無くなったわけじゃないから。かすり傷だよ。」


「大丈夫なんだね。良かった。やられたのは背負ってるそいつに?」


「そうなんだ。」


「そうか。取りあえず拠点に戻ろう。甘野さんたちが少し外装を弄ったから分かり難くなっているよ。ついて来て。」



戸田君を連れ立って拠点へと戻った。

戸田君の顔は血だらけなので出迎えたみんなも驚いていたが、軽傷だと聞いて安心していた。

戸田君が担いで持って帰って来たのは色は黒だが形は鶴に似た、首や足の長い鳥を担いでいた。戸田君はそいつに遭遇した状況を詳しく説明してくれた。



「上から突然襲い掛かってきてね。頭を突かれて血が出ちゃったんだ。頭から血がでているから派手な怪我に見えるけど、HPが残ってたしもう血も止まって痛くもないから大丈夫だよ。最初は驚いたけど、銃で撃ちまくったらいつの間にか倒せていたんだ。鳥だから食べられるかと思って持ち帰ってみたんだよ。」


「襲い掛かってきたとなると、そいつもモンスターなんだろうね。食べられるかは真中さん、鑑定よろしく。」


「ん。もうやってる。生食不可。焼けば肉は食べられる。でも固い。」


「折角持って帰って来たのに不味そうだね。がっかりだ。」



戸田君が肩を落として残念そうにしている。そこで救いの手を差し伸べたのが飯田さんだ。



「肉が固くても味は良いかもしれません。調理法を工夫すれば食べられるかもしれませんよ。色々試してみます。」



続いて佐藤さんも励ましの声を掛ける。



「羽毛も何かに使えるかもしれないし、私も何か作れないか挑戦してみるね。」


「ありがとう。実は全弾撃ち尽くしちゃって、僕も午後からは拠点で何か作業させてもらうよ。」



そこへ真中さんも一言。



「先に顔を洗うべき。」



俺からも言わせてもらおう。



「その次は食事だね。それで午後からは拠点でできる作業をしていてよ。」


「うん。そうさせてもらう。大和君たちは午後からどうするの?」


「俺たちは転移で探索ポイントに戻って更に奥まで探索予定だよ。真中さんからは牛を探すように言われてるしね。」


「牛?」


「牛。モーの牛。口を滑らせてしまって罰として牛を探すように命じられたんだ。」


「大変そうだね。」



血塗れの戸田君に同情されてしまった。牛は簡単には見つからないだろうなぁ。



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