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Will I change the Fate?  作者: 織坂一
Overnight war
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apron of a gun-3




「比企さんッ!」


「大鳥!よそ見をするな!」



 斎藤の呼びかけで我に返っては、間一髪で攻撃を防ぐ。だがそれは珍しくも鍔競り合いとなって、母禮はどんどん押されていく。


 しかし根城自身これはからかっているだけで、別に後2太刀交わせば、母禮など先程切り刻まれた隊員と同じ肉塊となるのだ。


 それは何より母禮自身が誰よりも分かっているから、からかっている今以外にその本心を聞く機会などない。


 故に、ただ押されるのを真っ向から食い止めては、こう返す。



「いいのか……ッ?こんな勝手な事をして……!」


「ああ、そりゃあ勿論。私は1度アンタを送り届けた。だが、それ以降の接触に関しての命令は受けていない。だとしたら、用があんのはその傾国の女だけよ」


「ッッッ!」



 相変わらず建て前という虚言だけを囀り、その真意は己の技と狂気を振るって示すだけの根城。


 その瞬間、一気に間合いから押し出され、そのまま母禮へと蹴りを入れる根城。そして母禮の身体がへの字に曲がった瞬間に、棍棒を扱う様に柄でその身を掬い上げる。


 母禮は宙へ放り出されるが、落下するその時には、刀の切っ先は落下する母禮に向けられている。


 後はそれを下から上へ放つだけ。そして根城は母禮に対し死の宣告を告げる。



「バイバイ、精々串刺しになって死んじまいな」


「させるかッ!」



 残り、負傷しながらもそれを読んだ隊員が根城へ向かうが、その好戦的な瞳が再び興が醒めたと静かに凍った瞬間、皆半径1メートル内から弾き出される。



「雑魚は引っ込んでろ」



 怜悧な瞳で周囲を睨んで牽制し、『生命の樹』におけるの狼は低くそう囁く。


 だが一方で、今の牽制を斎藤は何の害ともせずに根城の懐へ斬り込む。向けられた刃の軌道を変えさせるべく、1度横薙ぎに刀を振るって根城の刀へ打ち込み、根城の動作を封じる。


 無論斎藤の横薙ぎ(フェイク)を易々と根城が防げば、母禮へ刃が向けられる事はなくなった。


 地面に落下こそしたものの、受け身をとっていた為、大事には至らなかった。すぐに体勢を戻すと斎藤の名を叫ぶ。



「斎藤さんッ!」


「アンタは比企を連れて離脱しろ!ここは現存隊員だけで抑える。但し、増援を呼べ!このままでは人が足りん!」



 そう。最初根城と対峙した時は既に20人以上はいたはずが、既に負傷した比企も含めて半数以下の6人までに減っている。


 たった少しのやり取りだけで、これだけの兵力をものともしない実力を、斎藤だけで抑えるというのは到底無理な話だ。故に、優越感を高ぶらせて根城は嗤う。



「そりゃあもう人は早々いねぇか。無傷でしかも私のテリトリーに入ってこれるのはアンタだけか。斎藤所以」


「それよりも、一体何の真似だ?」



 愉快に嗤う根城だが、斎藤はその根城の真意を読めやしない。


 斎藤自身、『生命の樹』のリーダーである高杉と面識はない為、彼の考えは全くを以て読めない。だからこそこれが根城の独断行動なのか、高杉の指示なのかさえ分からない。


 だが唯一分かるのは、これでもう自分達は引き返せない。つまり今日今ここから『生命の樹』との抗争は始まってしまったのだ。


 無論、斎藤の質問に答える程、根城は情など持ち合わせてなどいない。彼女が斎藤に興味を示すのは、彼が持ち合わせる実力のみ。それ以外はどうでもいい。


 故に無意味な会話が続く間でも剣戟は鳴り止まない。一方後方に飛ばされ、挙句に肋骨が砕け動けない比企はこの状況が危険だと直感した。



(このままじゃ確実に全滅する。いくら斎藤と互角でも、持久戦に持ち込まれたら確実に負ける……ここをどう動くか)



 たった十数分に及ぶ抗争で、こちらは最早半数以上の犠牲を出した。


 ここで遊佐が率いる第1部隊がいれば、多少は持つが、あくまで如何にどれだけ持ちこたえられるかだけ。


 例え何秒、何十秒、何分持ちこたえても、先にあるのは全滅という結果のみ。


 今は斎藤がなんとか食いついてはいるが、彼自身暗殺を得意とする為、持久戦に持ち込まれると消耗しやすいという欠点を持っていた。


 そんな状況を嘲笑う根城へ、斎藤は問いかけ続ける。



「何故こうも出しゃばる様な真似をした?まさか命令を受けた訳ではあるまい?」


「そうだねぇ、確かに命令なんかじゃねぇよ。ただ私もさ、人を殺したくて『生命の樹』に入ったワケだ。テメェらは強い。でもなぁ、私はその上へ行く……このままじゃそうなっちまうぜぇッ!?」



 斎藤の問いに答えたのは、自身が勝っているからこその優越感からのもの。根城自身、人を斬り刻めるのならばそれでいいし、そこに理由など必要もない。


 無論高杉への忠誠もなければ、人間としてのモラルもない。ただただ己の快楽を満たす為だけに、ここまで昇り詰めた。それさえも理由などどうでもいい。


 十数、下手をすれば数十に届くと思われるのではないかと精神的に錯覚を起こす程の攻防を繰り広げ、流いよいよ斎藤も危機感を感じ始めた。



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