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褪せるまで
――今から、およそ百年前。
朝になっても明けない『夜』の下、四人の旅人が神殿へ辿り着いた。
入口に二人を残し、女と、刀を差した男が奥へ進む。
片方の柄には、昔、女が渡した細い布が巻かれていた。色が褪せ、端が擦り切れても、男は外さなかった。
石板の前で、女が振り返る。
その布を見て少し笑い、何か言おうとした時、先に声がかかった。
「またな」
いつも、町で別行動をする時に聞いていた言葉だった。
「うん。またね」
女が石板に触れると、白い光が神殿を満たした。
やがて、男は一人で外へ出た。
待っていた二人と見上げた空は、青かった。
この日を最後に、女の姿を見た者はいない。
けれど、七つの黒冠は残っていた。
彼女が守った空を、もう一度、黒く染めるために。




