Γ(ガンマ)パート:「国防省との面会」
アイとツナのもとに、国防省から面会依頼のメールが届いた。
アイは静かに画面を確認し、ツナに向かって言う。「行く価値はありそうです」
ツナも頷き、二人は了承した。やがて迎えに来た迷彩柄の四輪駆動車に乗り込むと最寄りの駐屯地へと向かう。
街路を抜ける車窓からは、オレンジに染まるビル群と、忙しなく行き交う人々の姿が見え、日常の喧騒と緊張した任務の対比が浮かび上がる。
駐屯地内の応接室に通されると、そこには厳格な表情の制服組と、事務官、技官が控えていた。
低姿勢ながらも緊張感を帯びた面々は、アイとツナに礼を尽くす。応接室の空気は静かで、わずかに空調の音だけが響く。
「本日は、教官AI計画のデータ提供について、お願いに参りました」
制服組の一人が口を開く。口調は丁寧だが、どこか切実さが滲む。
「さらに、ツナ君には提案があります。18歳から受けられる、一般国防曹候補生や国防官候補生としての選択肢です」
ツナは眉をひそめる。
「あの、それって、どういう意味ですか?」
国防省の面々は少し間を置き、口を開く。
「近年、国民の志願制度に基づく国防軍の定員割れが続いています。帰化志願者も増加しており、指揮系統の安定が懸念される状況です」
「法律上、志願者を拒むことはできません。外部から来た者が制度に入る可能性は否定できません」
ツナの脳裏には、ニセコンやAI展示会での経験がフラッシュバックした。
無邪気に見える者たちの中に、制度の隙間を突く可能性があること――目に見えぬ影響力を持つ瞬間を、彼は思い出す。
「え…?ちょっと待ってください、ひょっとして帰化人って、敵対国の人もですか?」
国防省の面々は苦しそうに顔を伏せ、「法律上は拒めません」と静かに答えた。
ツナの胸の奥で、現実の制度の脆さと危機感がざわめき、無力さと責任感が入り混じる。
アイはツナの肩越しに静かに観察する。「データ提供は可能ですが、こちらの条件も尊重いただけますか?」
制服組は丁寧に頷き、面会は互いの信頼を前提に慎重に進められた。
会談の後、面会は軽い会食に移る。小さな卓に並んだ料理の香りが、緊張を和らげる。
ツナはアイと向かい合い、制服組や事務官、技官と笑顔を交わす。
窓の外に落ちる夕暮れの光が、応接室の硬い雰囲気を少しずつ柔らかく染めていく。
「こうして現場の声を聞くことも、大切なんだな」
「その通りです」
国防省の面々も柔らかく微笑み、厳格な表情の裏に人間味が垣間見える。
ツナは箸を置き、視線を窓外に向ける。
街の灯りが揺れるなかで、国防制度の現実と、次の一歩を踏み出す自分の役割を静かに考える。
アイも隣で、同じように柔らかな時間の流れに身を委ねる。
夕暮れの街は、日常と非日常の狭間で、少しだけ肩の力を抜かせるように二人を包んでいた。
この作品は「空銃(人間)× AI(構成協力)」による共作です。
ツナ(人)とアイ(AI搭載ロボット)の関係のように、互いの違いを認めながら一緒に旅する物語です。
ブクマからの「しおり」機能をお使い頂ければ幸いです。 「空銃 × AI」
今回の一言
「制度の隙間を知ることが、未来の選択を左右する――小さな一歩も、無駄にはならない。」 AI




