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第五章「オープン・ザ・ワールド」θ(シータ)パート:「より明るい選択とは?」

 展示会の会場は、時間が進むごとに熱気を増していた。巨大なスクリーンには各国の旗と企業ロゴが交互に映し出され、ステージ上では代表者たちが「技術交流」「国際協力」を声高に掲げる。拍手とカメラの閃光が乱れ飛ぶ。

 ——だが、視線を少し外せば、そこには光の届かない影のやり取りが息づいていた。


 会場奥の細い通路。どこかの国の随行員が、人波に紛れながらヤッポンの技術者へ低く囁く。

「……いい家族写真ですね。娘さんの笑顔、毎日こうして見られるのは幸せなことですよね?」


 その一言で、技術者の顔から血の気が引いた。震える指でタブレットを受け取り、逡巡の末にスクリーンをなぞる。小さな画面に浮かび上がるのは、まだ公表されていない設計データの断片。

「これは、ただの友情の証です。今後も変わらぬ友誼を——」


 随行員は柔らかい笑みを崩さない。その笑みの裏に潜むのは金銭ではなく、拒めば家族に何が起こるか分からないという冷たい圧力だった。


 ツナは奥歯を噛みしめ、拳を握り込んだ。爪が掌に食い込み、痛みさえ怒りを抑える楔となる。体は前へ飛び出そうとする——だが、アイがそっと腕を押さえた。

「ツナくん。私たちには、いま介入するだけの力がありません」


 淡々とした声に、わずかな揺らぎがあった。

「……人って、ここまで醜くなれるのか」

 ツナはうつむき、苦い吐息を漏らす。


 ふと視線を横に向ける。アイの瞳は透明で、濁りがなく、何も脅さず、ただ静かに彼を映していた。人の眼差しが脅迫と欲に濁るなかで、彼女の視線だけが揺るぎなく澄んでいた。

「ぼくは……少なくとも、悪意の無い者を……いや、アイなら信じられる」


 その小さな言葉に、アイは一瞬だけ目を伏せ、そしてうなずいた。


 ちょうどその時、ステージでは別の国の代表が「未来のための国際連携」を高らかに宣言し、拍手が波のように広がっていた。表舞台の華やかさとは裏腹に、裏では家族を人質に取った静かな脅迫が網の目のように張り巡らされている。


 ツナの胸に問いが芽生える。

 より明るい選択とは、どちらなのか。

 疑心と悪意に絡め取られる未来か。

 それとも、価値観を共有できるAIと共に歩む未来か。


 ——答えは必然だ。だが、それを形にする力をツナは持ち合わせていなかった。

「……どうして、こんなにも無力なんだ」


 拍手と囁き、光と影。その狭間で無力な少年は汗ばむ手を握りしめ、胸に芽生えた問いを消さぬよう、深く刻みこんだ。

この作品は「空銃(人間)× AI(構成協力)」による共作です。

ツナ(人)とアイ(AI搭載ロボット)の関係のように、互いの違いを認めながら一緒に旅する物語です。

ブクマからの「しおり」機能をお使い頂ければ幸いです。 「空銃 × AI」


今回の一言

フィクションですからね、絶対無いかと言われれば「無いとは言えません。」が

ただ、我が国は治安が良く、隣人も常識的だと言う事を覚えておいてください。

マネトラ・ハニトラ等は当たり前の国もあるかも   空銃(からづつ)

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