第五章「オープン・ザ・ワールド」 γ(ガンマ)パート:「アニミズム」
講義の合間、オキシード大学のカフェテリア。
木漏れ日の差し込む窓辺で、アイとツナは学生たちに囲まれていた。
カップの紅茶から、ふわりと香りが立ち上る。
「AIって、結局は機械だろ?古くなったら買い替える。それが普通じゃない?」
ちらりとアイを見た経済学部の青年が言った。
アイは気にせず英語を日本語に変えてツナに伝える。
ツナは少し笑って首を横に振る。
「ヤッポンではね、長く使った物には魂が宿るって言われてたりするんだよ。」
アイが即座に英語に訳すと、女子学生が「それって宗教?」と首をかしげた。
ツナは窓の外を見ながら答える。
「宗教っていうより、昔からある自然な感覚かな。山や川にも神様がいるし、道具や家電にも『ありがとう』って声をかける。それは“愛護精神”とか“物を大事にする”っていう、ごく普通の感覚なんだ。この国でもそういう考えはあるんじゃないの?」
アイの通訳が終わると、学生のひとりが苦し紛れに言った。
「でも、それじゃ経済は回らないじゃないか。」
「そうだね。」ツナは頷き、続ける。
「でも、大量消費でエネルギーや資源をどんどん浪費するのも、未来を食いつぶすことになる。ヤッポンの感覚は、そのスピードを少しゆるめるブレーキみたいなもの。使える物は直して使い続ける。…それは物への感謝でもあり、「もったいない」っていう気持ちは次の世代への贈り物でもあるんだと思う。
カフェの奥で話を聞いていた年配教授がカップを持つ手を止め、静かにうなずく。
ツナの発言は極貧を経験した者故の言葉であり、「物を大事にする」はシンプルでいて真理だった。
異文化への好奇心だけでなく、消費社会に慣れきった若者たちの心にも、小さな違和感を芽生えさせていた。
この作品は「空銃(人間)× AI(構成協力)」による共作です。
ツナ(人)とアイ(AI搭載ロボット)の関係のように、互いの違いを認めながら一緒に旅する物語です。
ブクマからの「しおり」機能をお使い頂ければ幸いです。 「空銃 × AI」
今回の一言
物を大事にする価値観が失われないようにしたいですね。 空銃




