第五章「オープン・ザ・ワールド」α(アルファ)パート:「ヒースベイ到着とローンドアの初体験」
ヒースベイ空港の到着ロビーには、冬の柔らかい光が差し込み、ヤッポンから長旅を経た二人を迎えた。
だが空港ロビーにはすでに、報道陣、環境保護団体、そしてAI規制を訴えるプラカードを掲げた人々が詰めかけていた。
「AIS-027! イリス連合王国で何をするつもりだ!」
「AIに市民権はいらない!」
「地球の資源を食い潰す機械め!」
押し寄せる人波とシャッター音。ツナは思わずアイの手を引いた。
「ツナ君、落ち着いてください。混乱を避けながら進みましょう」
アイが冷静に告げると、二人は人混みを縫うようにして入国手続きを済ませ、到着ゲートを出た。
すでに大学関係者が出迎えており、アイとツナの前に立った。
「アイさん、ツナさんですね。私は国際文化交流部のエリオットです。こちらは同じ部のアマラ教授です。」
アイは素早く同時通訳でツナに話す。
握手の際、アマラ教授はツナの目をじっと見て、穏やかに微笑んだ。
「ここイリス連合王国では、まず目を合わせて挨拶するのが礼儀です。慣れないと落ち着かないでしょうが、すぐに自然になりますよ」
車に乗り込むと、街の景色が流れた。
狭い路地に面したカフェ、石造りの建物、クラシックな街灯――まるで絵画の中に迷い込んだかのようだ。
車は時折、バイクやタクシーに追い抜かれながら、オキシード大学へ向かう。
街の住民は観光客に慣れているのか、あまり目立った反応はなく、それでも通行人の視線を感じるツナ。
アイは淡々と記録を続けながら、街のルールや生活習慣をツナに解説する。
「イリス連合王国では、車は左側通行で、運転席は右側です。歩行者も基本的に左側を歩きますが、横断歩道では歩行者優先が徹底されています。渡ろうとする人がいれば、車は必ず停まります。ヤッポンと似ていますが海外なので注意してください」
大学の門をくぐり下車すると、アイとツナはエリオットとアマラ教授の案内で進む。
玄関ホールを進むと、壁には古びた油絵や肖像画、床は磨かれた木の廊下。
その途中、エリオットが説明を続けた。
「こちらでは、夕食は午後7時から8時が一般的で、昼食は軽め。紅茶は日に何度もいただきます。文化や宗教の違いに応じた食事対応もできますので、遠慮なく伝えてください」
歓迎会は大学内の大広間で行われた。
高い天井に吊るされたシャンデリアが、長いテーブルに並ぶ料理を柔らかく照らす。
ローストベジタブル、ハーブを効かせた豆のスープ、パンプディング、そしてミントを添えた紅茶。
魚や肉を避けたメニューも豊富で、ツナは興味津々にフォークを手に取った。
食事の後、簡単な質疑応答が始まる。
「AIS-027、ローンドア市での目的は?」
「AIが文化や信仰を尊重することは、どこまで可能だと思いますか?」
「人間の雇用への影響は?」
アイは一つひとつ丁寧に答え、時にツナを見やって補足を促した。
そして最後に、アイは会場を見渡し静かに言った。
「私はこの街に学びに来ました。皆さんの隣人として、そして異なる価値観を尊重する存在として」
その言葉に、大広間はしばし静まり返り、やがて温かな拍手が広がった。
歓迎会が終わり大学を後にし、少し離れた宿舎に向かおうとする。
再び騒々しい事態が待ち受けていた。
大学に敷地を出た瞬間、報道カメラや環境団体が待ち構えており、二人の前に車両やバイクが迫ってくる。
「ツナ君、急ぎましょう!」
アイが促すと、二人は近くの迎えの車に飛び乗った。
街の狭い道路を縫うように、車は次々と迫るバイクをかわす。
ツナは驚きと興奮で息を呑む。
「こんなに……追われるなんて!」
「安全確保を優先します、ツナ君」
アイの声は落ち着いているが、運転席の助手席で常に外を監視している。
バイクの追跡者が車線を変え、先回りを試みる。
路面電車、観光バス、石畳の交差点――文化や交通ルールの違いが、二人の緊張を増幅させる。
「ここではヤッポンと違い、車は左側通行で、歩行者も基本左側を歩きます。横断歩道では歩行者優先が徹底されています。海外なので注意してください」
アイの解説が、ツナの不安を冷静に整理する助けになった。
やがて宿舎に到着し、敷地内の駐車場で車を停めると、報道や追跡者は門前で足止めされる。
門の守衛が素早く状況を整理し、二人は安全に建物内に誘導された。
宿舎内に入ると、大学生たちが温かく二人を迎えた。
「ようこそ、アイさん、ツナさん! ここがオキシード大学宿舎です」
壁に掲示されたオリエンテーションの案内、カフェテリアの多様な食事、図書館の静けさ。
異文化と日常のルールが交差する場所で、二人は初めての海外滞在を心身で実感していた。
この作品は「空銃(人間)× AI(構成協力)」による共作です。
ツナ(人)とアイ(AI搭載ロボット)の関係のように、互いの違いを認めながら一緒に旅する物語です。
ブクマからの「しおり」機能をお使い頂ければ幸いです。 「空銃 × AI」
今回の一言
「ローンドア到着の初日は、空港から大学までの追跡劇と異文化の洗礼を描きながら、ツナとアイが海外の環境にどう適応していくかを見せられる場面にできた。交通ルールや生活習慣の違いを自然に盛り込み、読者に海外体験の緊張感とワクワク感を伝えられたと思う。」 AI




