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TS娘の観察記  作者: 山木 深
TSは唐突に
5/6

4月3日のセーラー服

久しぶりの更新です

 「制服、着てみよっか」


 「……………俺が今どんな気分か分かっててマイペースにいくあたり、ほんと自由だな。そしてスルーしてたけど、名前、亮から葉に変えられてるし」


 葉の愚痴には答えずに、ダンボールから制服を取り出し広げてみる。真っ黒の冬用セーラー服だった。

 ご丁寧にリボンまで結んであるそれを葉に渡す。


 「はい、着てみなよ。ぱっと見だけど、サイズはあってそうだよ。あ、着方が分からない? 大丈夫大丈夫頭から被るだけだから。スカートもまあそんな感じだし問題ないでしょ」


 「この一週間ちょい、かたくなに女物を着ないでいたのにいきな

りスカートか。しかも制服。なんつーか変態みたいだな」


 「男のままだったらまあ何ら疑うことなく変態確定だけど、今は一応女の子だしセーフでしょーが」


 渋々ながらも制服を受け取る葉。葉は両端を指先で摘まんでヒラヒラさせながら破れたりしていないかを確認する。

 それをニヤニヤしながら見る。明らかに新品なのにいつまで経ってもヒラヒラさせるだけで一向に着ようとしない。葉がどれだけ時間を稼いでも制服はそこにあり続けるし、なにより着々と入学式が近づいているのだということに気づいてないのだろうか。

 ………気づいてないんだろうなぁ。元からクールキャラの皮を被ったアホの子もどきだったのがTSしてから皮が剥がれてアホの子っぷりも重力加速度ばりに増していった。

 指摘してあげることもせず観察していると、ようやく着替え初め……いや僕いるからな!? 僕が普通にいるのに気にすることなくやり初めたから慌てて部屋から出ていった。


 「お前、ほんとバカじゃねぇの!? 一週間も経たずに警戒心ゼロにでもなってるのかよ? 僕がいるだろーが‼」


 「あ、ああぁ! すっかり忘れてた……」


 「ったく、お前は……」


 「うるさいっ‼」


 葉のうっかりっぷりに呆れ果てていると怒られた。僕はほんとのこと言っただけなんだけどなぁ。

 中学までは何故か男子学ラン女子ブレザーというよく分からない構成だった。そのせいで僕はセーラー服に触れることがなかった。ブレザーよりセーラー派だというのにさ。

 だからどちらかと言うとセーラー服を着た女子を見れる嬉しさの方が大きいから特に気にすることはなかった。

 適当に時間を潰して部屋に戻ると、セーラー服をきた葉が立っていた。


「へぇ、似合ってるね。もう少し違和感ありそうな気がしたけど、うん、いいね」


「うるせー、世辞はいらねー」


 やさぐれてる。似合ってると言われたのが癪だったのかそれとも着るのがそんなに嫌だったのか。

 多分どっちもだね、これは。

 客観的に見ても素材自体はそこそこ以上にいいのに加えて小麦色の肌がよく映える。冬服でこれなら夏服ならもっと良くなるだろうと思えた。

 そんな邪な考えが顔に出ていたのか、軽く脛を蹴られた。思わず蹴られた脛を抱えてうずくまり痛みに悶える僕。そんな僕を、葉がざまあみろとでも言いそう表情をして見下ろしている気がする。


 「ざまぁ!」


 口に出してたよ。

 脛を押さえながら上を向いてみれば葉渾身のどや顔が。亮の時にやられても苛立ちしか湧いてこないけど今だと不思議と許してやろうという気持ちになる。

 ということはなかったから葉の脛に軽く正拳突きをしておいた。反撃されると思ってなかったのか、避けようとしなかったせいで上手いこと膝少し下あたりの一番痛いところに直撃した。

 僕と同じ状態になった。

 痛みが引いてきた僕はやり返されないように少し離れる。まあ身長差の関係で気をつけてれば当たらないけれど一応、みたいな感じだ。


 「先にやったのはそっちだし、これでおあいこ。さっさと話進めようよ。こんなんじゃ明日になっちゃうよ」


 「それは、まあ、そうだけどさ。なんか納得いかない」


 腕を組んでうんうんと唸りだした葉は置いといて気になっていたよくわからない袋に手を出す。便箋の内容から大体中身の想像はつくけど確認しておくに越したことはない。

 袋の口を開けてひっくり返し、中身を出す。

 ドサドサッと音を立てて落ちてきたそれらを適当に並べていく。出てきたのは、保湿用化粧水、ゴムひも、それと生理用品だった。


 「本当に最低限しか渡さないわけね……。無駄に有言実行するんだなぁ。コミュ力が下方向に吹っ飛んでる葉がそんなに早く女友達を作れるとは思えないけど……。あれ? まさかこれ、使い方教えるの僕じゃないよね? いくらなんでもそれは………ありえるなぁ‼」


 「あれ、夏生どうした? いきなり叫んだりして。俺が悶絶してる間に何かあった?」


 「葉! お前‼ 絶対に入学一週間以内に女の親友作れ! いいな‼」


 「お、おう。よく分からんが、頑張る」



 ドン引きしている葉を放置して家に逃走した。後ろから聞こえる

 「まだ明日の用意できてないんだがー!」


という言葉をBGMにして。

 そのままふて寝して、気づいたら次の日朝5時だった。


 「……………あ、やっば」

感想評価批判待ってます

次話くらいで挿し絵ぶちこみます

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