旅立ち。
とうとう村を出る日がやって来た。
父さん、母さん、ルラック、フィーユ姉ちゃん、それに、村のみんなと別れるのは寂しいけど、ずっと会えないわけじゃない。
父さんは「頑張れ」って言ってくれた。
母さんは寂しそうに「体に気をつけなさい」って送り出してくれた。
ルラックは「俺も騎士になる」とか騒いでたけど、おばさんに怒られてしょげてた。
フィーユ姉ちゃんからは・・・(フィーユ姉ちゃんへの)生贄の騎士様を探す指令を受けた。あと、「ケガしないように」ってお守りをくれた。
「ウィル、じゃあ、行くか」
「うん」
カルム叔父さんが、ヌワールの馬首を王都に向けた。
しばらくは、カルム叔父さんとの二人旅だ。
『王都かぁ、やっぱり人がたくさんいるんだろうなぁ』
『レンちゃん、たのしみ~』
『そうですね、僕も楽しみです』
3つの声が頭の中に響いてくる。
カリンの声が聞こえるようになって、同じ魔力を帯びている眷族の声も聞こえるようになった。
『そっか、二人旅じゃなく、二人と精霊と妖精と魔物と、あと、ヌワールとリク、大所帯だね』
なぜか、俺までカリン達に心の中で話しかけられるようになってしまった。
俺がこの剣の主だからだそうだ。いつのまにかカリンの魔力が浸透して俺まで眷族になってたりして・・・
『ウィル、大丈夫?』
斜め掛けしている鞄から心配げなキリが顔を出した。
キリは極小サイズに変化して鞄に入っていた。因みに、レンちゃんは姿を消して俺の頭に乗っていて、リクはヌアールの横を走っている。
リク・・・走るの速いね。やっぱり魔物だからかな。
『大丈夫だよ、ちょっと変な想像しちゃっただけだよ』
『そうだよね!私も変な想像しちゃったもん。キリがいくらでも小さくなれるなら、耳とか口から体の中に入り込んでじわじわと体中に広がって、相手の体を乗っ取って意のままに操る・・・コワ!』
カリン・・・マジで怖いから・・・
俺まで想像しちゃったよ。
『僕、そんなことしないよ!!』
思わずキリに目を向けてしまった俺に、キリが必死に否定してくる。
『分かってるよ。そんなこと俺は想像してないから、大丈夫だよ』
でも、今、キリ「しない」っていった?「できない」じゃなく?
・・・か、考えるのやめよう。
「ウィル、どうかしたかい?」
「え?な、なんでもないよ。あ、そうだ!カルム叔父さん、王都のこと教えてよ」
「王都か、まあ、大きい街だな。あと、人がたくさんいるな」
カルム叔父さん・・・説明下手過ぎ!!
仕方ない、行けば分かるか!
むしろ、着いてからのお楽しみって感じでワクワクするね!!
『やっぱり、人がたくさんいるのかぁ、フ、フフ、私の手足となり食文化の向上を目指す人材がたくさんいるってことだね。』
『たくさん使えるの〜』
『計画は順調にいきそうですね』
・・・当たると評判の俺の勘が告げている、こいつらを野放しにしてはダメだと。
俺の平穏なはずの王都生活は、着く前から崩れていっている気がする。
カリン、レンちゃん、キリ。
どうか、お手柔らかにお願いします。




