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第63話|一致しない記憶
朝、画面は昨日と同じに見えた。
一覧もログも、整然と並んでいる。
彼は最下部を見る。
位置のずれていた行は見当たらない。
だが、
昨日そこに違和感があったことだけは覚えている。
午前中、入力を行う。
処理は完了し、
表示も変わらない。
昼前、新しい担当者が言った。
「昨日、下のほう少し違ってませんでした?」
彼は画面を見る。
すべて揃っている。
「そう見えた気もする」と答える。
担当者は少し考え、
「でも今は同じですね」と言った。
午後、ログを開く。
更新は続いている。
だが違いを示す記録は存在しない。
夕方、一覧を再確認する。
どの行も同じ位置にある。
それでも彼は、
一行だけずれていた感覚を思い出す。
定時、端末を閉じる。
違いは確認できない。
記録にも残っていない。
だが、
同じだったという確信だけが
少し揺らいでいた。




