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第58話|開始の不在
朝、画面はすでに表示されていた。
起動したかどうかは分からない。
一覧もログも、
同じ状態のまま並んでいる。
彼は一度、
電源を切ったつもりになった。
だが再び見ると、
同じ画面がそこにあった。
午前中、操作を行う。
入力は受け付けられ、
完了も表示される。
だがその前後が分からない。
いつ始まり、
いつ終わったのかが示されない。
昼前、新しい担当者が言った。
「これ、いつから動いているんですか」
彼は少し考える。
開始点は見当たらない。
「ずっと動いているんだと思う」と答える。
午後、基準文書を開く。
短い追記がある。
「運用に開始点はありません」
説明はない。
夕方、ログを確認する。
記録は存在している。
だが最初の行は特定できない。
定時、端末を閉じる。
開始は示されない。
示されないまま続いている。
始まったという記録はなく、
続いているという表示だけが残っている。




