表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
兄ちゃん奮闘記  作者: 白い犬
21/31

21話


両親は兵助に話してから数日後に見つかった。夜中に組に連れてこられたらしい。そのことを、ついさっき兵助から伝えられた。じいちゃんも昼には帰ってくるらしく、俺は少しもやついた気持ちになりながら、学校へ向かった。陽夏には、両親のことは伝えず、いつも通りに過ごさせた。


一日中、ぼーっとしながら時間だけが過ぎていく。帰りのHRが終わったと気がついたのは、机を下げろと前の席のやつに言われてからだった。

教室の外では武人が待っていて、なんかいろいろ話していた。



「なぁ昂明、なんかあったのか?」


普段ならとっくに別れている道に、武人は着いてきていた。俺が上滑りする返事ばかりするものだから、心配で着いてきたのだという。なんかあった…あったと言えばあった。しかし、それが俺にとってどんなことなのか、どんな影響があるのか、それが全くわからない。


「武人はどう思う」

「は?いや、知らねぇよ。でも、ま。昂明にとって、かなりショックなことがあった、そんな気はするぜ」

「ショック……」


そうなのだろうか。正直、それすらもよく分からない。両親が今、あの家にいる。俺と陽夏を産んで、そして捨てた2人があそこにいる。早く帰ってこいとも、これからどうするとも言われなかった。


「武人」

「あー?」

「今度、話、聞いてくれるか?」



上手く話せるかはわからない。答えが出るとも思えない。だけどきっと、俺は誰かにぶちまけたくなる。全く俺の両親と関わりのない人間に、不満を苛立ちを言葉にしたくなるに違いない。


「いいぜ、ポテト奢ってくれんならな!」

「Lサイズ奢ってやるよ」

「まじか」



それに、武人なら、きっと笑い飛ばしてくれる。










ただいまと言って入った玄関は普段と変わりなかった。ただ、自室には戻らず、すぐにじいちゃんの所に行くよう伝えられた。陽夏はすでに帰ってきていて、曽野さんと陽夏の部屋で遊んでいるらしい。

じいちゃんの部屋には数人の幹部が集まっていて、それぞれ作業を行っているようだった。俺はじいちゃんの前のソファに座り、ただ言葉を待った。



「2人は金を借りていた別の組へ引き渡す。後処理は全部そっちに任せることにした」


じいちゃんの声は重たかった。おそらく、2人と話し合ったのだろう。2人の反応次第では、助けてやるつもりで。じいちゃんはそういう人だ。いくら見捨てると、罪を償わせると考えていても、根本の優しさは消えない。だけど、こう言うってことは、あの2人はやはり何も変わっちゃいないんだ。



「もうすぐ相手の車が来る。それまでに、もう一度、会っておくか?」


ここで俺が何を言おうが、何をしようがじいちゃんの考えは変わらない。変えてもらおうとも思ってない。だから、会うことになんのメリットがあると聞かれると、そんなものは無い。そう答えるだろう。だけど、それでも……


「母さんにだけ、会っておきたい」



憎いあの人に、もう一度会いたいと思ってしまう。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

今年は多くの方に作品を読んでいただきました。来年もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ