21話
両親は兵助に話してから数日後に見つかった。夜中に組に連れてこられたらしい。そのことを、ついさっき兵助から伝えられた。じいちゃんも昼には帰ってくるらしく、俺は少しもやついた気持ちになりながら、学校へ向かった。陽夏には、両親のことは伝えず、いつも通りに過ごさせた。
一日中、ぼーっとしながら時間だけが過ぎていく。帰りのHRが終わったと気がついたのは、机を下げろと前の席のやつに言われてからだった。
教室の外では武人が待っていて、なんかいろいろ話していた。
「なぁ昂明、なんかあったのか?」
普段ならとっくに別れている道に、武人は着いてきていた。俺が上滑りする返事ばかりするものだから、心配で着いてきたのだという。なんかあった…あったと言えばあった。しかし、それが俺にとってどんなことなのか、どんな影響があるのか、それが全くわからない。
「武人はどう思う」
「は?いや、知らねぇよ。でも、ま。昂明にとって、かなりショックなことがあった、そんな気はするぜ」
「ショック……」
そうなのだろうか。正直、それすらもよく分からない。両親が今、あの家にいる。俺と陽夏を産んで、そして捨てた2人があそこにいる。早く帰ってこいとも、これからどうするとも言われなかった。
「武人」
「あー?」
「今度、話、聞いてくれるか?」
上手く話せるかはわからない。答えが出るとも思えない。だけどきっと、俺は誰かにぶちまけたくなる。全く俺の両親と関わりのない人間に、不満を苛立ちを言葉にしたくなるに違いない。
「いいぜ、ポテト奢ってくれんならな!」
「Lサイズ奢ってやるよ」
「まじか」
それに、武人なら、きっと笑い飛ばしてくれる。
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ただいまと言って入った玄関は普段と変わりなかった。ただ、自室には戻らず、すぐにじいちゃんの所に行くよう伝えられた。陽夏はすでに帰ってきていて、曽野さんと陽夏の部屋で遊んでいるらしい。
じいちゃんの部屋には数人の幹部が集まっていて、それぞれ作業を行っているようだった。俺はじいちゃんの前のソファに座り、ただ言葉を待った。
「2人は金を借りていた別の組へ引き渡す。後処理は全部そっちに任せることにした」
じいちゃんの声は重たかった。おそらく、2人と話し合ったのだろう。2人の反応次第では、助けてやるつもりで。じいちゃんはそういう人だ。いくら見捨てると、罪を償わせると考えていても、根本の優しさは消えない。だけど、こう言うってことは、あの2人はやはり何も変わっちゃいないんだ。
「もうすぐ相手の車が来る。それまでに、もう一度、会っておくか?」
ここで俺が何を言おうが、何をしようがじいちゃんの考えは変わらない。変えてもらおうとも思ってない。だから、会うことになんのメリットがあると聞かれると、そんなものは無い。そう答えるだろう。だけど、それでも……
「母さんにだけ、会っておきたい」
憎いあの人に、もう一度会いたいと思ってしまう。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
今年は多くの方に作品を読んでいただきました。来年もよろしくお願いします。




