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VRMMOのトッププレイヤーはリアルでも最強になりました  作者: 陽月純
第3章 黒の牙 壊滅編

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73.黒の牙、活動再開

賢也がアテナを討伐した翌日、宣戦布告したアンドロイドがSACによって壊滅したニュースは瞬く間に報道され、皆、安心したのだった。


「龍崎、よくやってくれた」


 加護がアンドロイド殲滅の報告にやって来た賢也に労いの言葉をかける。


「いえ、何とか勝てて良かったです。正直、もしも、アテナ達との戦いが長引いていたら、負けていたでしょうから。対黒死竜とはよく言ったものです」

「それ程の強さだったのか」

「はい。戦闘パターンを学習されて、戦えば戦う程、こちらが不利になります。もし、暴走せず、もっと早く完成していたら、黒死竜はアテナが倒していたでしょう」

「そうか。創地博士も悔やまれるな。所で、話は変わるが、お前はもう奴とは話をしたか?」

「話?奴とは誰のことですか?」

「何だ?聞いていないのか?『黒の牙』の幹部だ。昨日、突然、気絶した状態で現れてな、そのまま捕らえたんだよ」

「え?突然現れた?」


 気絶した状態で現れたって、まさかな?あの海底基地にいた男か?突然消えてどうしたのかと思っていたが、アテナがここに転送してきたという事なのか?


「それで、そいつは何か情報を?」

「いいや、何も。態度はでかいし、取り調べに苦労しているよ」

「成程。じゃあ、俺も行ってみます」

「すまんな。頼む」


 賢也は部屋から出ると、その幹部とやらに会うために取り調べ室へと向かった。


 賢也が囚われている幹部の元へ行くと、やはりそれは、昨日海底基地で見た男だった。


「やあ、もしやと思っていたが、やっぱりお前だったか」

「あぁん?誰だ?…」


 男が思い出そうと暫く考え込んでいると、思い出したのか、ハッという顔をした。


「あ、てめぇは!あのロボット共はどうしたんだ?!」

「もう片付いたよ。アンドロイドはもう居ない」

「ちっ。俺が倒す予定だったんだがな…」


 言葉は乱暴だが、今の所は会話が出来ているな。さて、なら本題に入ろうか。


「さて、まずは、お前の名前を教えて貰おうか?」

「あん?何でお前に名乗らないとならないんだ?」

「話をするのに名前を呼ぶのは可怪しいことか?」

「ふ〜ん。まぁいいか。俺は五十嵐だ。そう言うお前は?」

「俺は、龍崎だ」


 五十嵐は、賢也の名前を聞いて考え込んだ。


「…」


 賢也は、悩む五十嵐を静かに見ていた。刺激せず、情報を引き出すためだ。


「お前の名前、何処かで聞いた事があるんだが…」


 そう言うと、再び首を傾げる五十嵐に賢也は声を掛ける。


「そうだな。まぁ、俺の名前を聞いたというなら、ハンター武闘会か、黒死竜を討伐したことか?ああ、後は初めて異能犯罪者を捕まえたっていうのもあるか」

「!。そうか、お前があの《新種キラー》の龍崎か!成程な」


 賢也が初めて呼ばれた二つ名《新種キラー》という言葉が出て、賢也は少し照れ臭かったが、賢也の事が分かった途端、五十嵐の目が鋭くなり、殺気を隠す事なく賢也へと向ける。

 当然、賢也は五十嵐の発する殺気に気付くがこれを何事もないように受け流す。

 それが気に入らないのか、五十嵐は今にも賢也に飛び掛りそうな勢いで、賢也を怒鳴りつける。


「おい!お前、俺の殺気に気付かない訳が無いよなぁ!無視するな!俺がお前を殺して、最強という名を手に入れてやるよ」


 五十嵐は、風を起こそうと力を込めるが、異能が発動しなかった。


「あん?何だ?暴風が出ねぇ」

「力は使えないぞ。うちには、相手の異能を封印する異能の持ち主がいるんでな。お前が付けているその手錠は、その封印の力が込められている。だから、いくらお前が殺気を飛ばして俺を挑発しようが、俺はお前の誘いには乗らない」


 五十嵐が悔しそうな顔をしている時、取り調べ室のドアがノックされる。


「失礼します」

「どうした?」

「隊長、実は…」


 入って来た隊員が賢也に小さな声で報告する。


「以前、銀行を襲った『黒の牙』の男が再び銀行を襲撃していると報告がありました」

「そうか。分かった。誰か出動出来る者は?」

「今、真東さんがリベンジだと出動していきました」

「そうか。分かった。俺も後で向かおう」


 報告に来た隊員が戻った後、賢也は五十嵐に問いかける。


「さて、お前達のアジトが何処かは教えてくれないよな?」

「話すわけ無いだろう」

「分かった。取り敢えず、今日はこれで失礼するよ。また来るからな」

「来なくていい。俺は必ずここから抜け出す」


 賢也は、取り調べ室から出るとすぐに襲撃されている銀行へと向かった。




 銀行では、既に大河が戦闘を行っていた。


「おや?お前は、前に俺に負けてから、地面に顔を付けてた奴じゃないか。また、やられにのこのこと来たのか?」

「もうお前の能力は分かっているんだ。負ける訳が無いだろうが。観念して、大人しく降伏するんだな」

「はぁ?何を言ってるんだ、お前は?」


 銀行を襲撃している男、広井は顔を顰めると、銃を大河に向けた。


「一回、死んどけ!」


 広井は、銃を撃つ前に能力を発動する。大河は、銃口を向けられた瞬間に上に飛んでいた。

 広井を中心に半径5m程の円状のエリアにバチバチと電撃が走っているのが見える。


「へぇ、言うだけの事はあるな。だけど、上に飛んで、銃を避けれるのか?」


 広井が大河に向け、銃を撃つ。大河は、天井を蹴り進路を変え、カウンターを蹴り、広井に向かっていく。

 

「こいつ!」

 

 そして、大河は、広井に蹴りを入れるのと同時に麻痺を発動する。


「喰らえ」

「俺の力は、床だけじゃないぜ。痺れな!」


 広井も大河の向かって来る方向に電撃を走らせる。


「畜生!」


 大河は、空中で電撃を喰らってしまい、体が痺れたが、その勢いのまま、広井に蹴りが当たった。


「がはっ。体がし、び、れ」

「ざ、まぁ、み、ろ」


 互いに体が痺れ動けない状態になってしまった。


「お、れ、の、の、う、りょ、く、が、き、い、た…」


 二人が同時に痺れて動けなくなった時、賢也が銀行へと辿り着いた。


「何ですか?この状況は?」


 賢也の問いかけに答えるのも辛い大河は、広井に視線を向ける。


「ダブルノックアウト的な感じなんですね。大河さん、ご苦労様でした」


 賢也はそう言うと広井の手足を拘束する。以前、捕まえた時は、拘束後に男が現れた。

 今回も来るかと警戒していたが、以前の男は現れなかった。


「どうやら、お前は見捨てられたらしいな」


 体が痺れ動けない二人を担ぎ上げると、賢也はSACへと引き返す。


 賢也が戻ると何やら中が騒がしかった。


「何だ?しかもこの気は?」


 SACの中は、今でも忘れないあの禍々しい気で満たされていた。

 受付嬢に賢也は問いかける。


「何があった?」

「あ、龍崎さん!」


 受付嬢は、帰って来た賢也を見てホッとした表情で賢也に答える。


「さっき、取り調べ室に男が襲撃して来たんです!」


 取り調べ室に襲撃?目的は、五十嵐か!


「その男は?どうやって取り調べ室に行ったんだ」

「分かりません。昨日、捕らえた男の取り調べ中に突然現れたそうです。今、甲斐さんが相手をしています」

「分かった。俺も向かう。この二人を頼む」


 賢也は、大河と広井を床に置くと、五十嵐の取り調べ室に急いで向かった。

 この気は間違いない。黒死竜達、怪物の気だ。男が来たと言っていた。つまり、そいつは人型の生き残り。そんな奴が五十嵐をどうするつもりだ?


 取り調べ室に向かっていると爆発音が聞こえて来た。


「まだ戦っている!」


 五十嵐のいる取り調べ室から煙が出ていた。力也の声も聞こえる。


「間に合った!」


 賢也は、取り調べ室の中へ突っ込んで行った。

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