エピローグ*精霊たちの囁き
二人が去ったあと、森の精霊たちがさざめく。
精霊の加護をうけたディオッサ以外にはただの木々の擦れ合う音、風の音に聞こえるだろう。
精霊たちは楽しげな様子で語る。
「キャハハハ!いっちゃった、いっちゃった!」
「ネぇネぇ、ディオッサってば本当にアレを連れて歩くのかナ?」
「おもシろい、おもシろいねェ」
「女神のお導キ?」
「アレを女神にするなんて主はなんていうかなぁ?」
「アレが女神に育ったらどうなるかなぁ?」
「混沌だネぇ混沌だネぇ」
「あらあら、ディオッサがうまくやれば平穏よ?」
「まさかアレと出会うなんてねぇ」
「夜神さまが知ったらどうなるかなどうなるかな」
「きゃはは!すてきすてき!」
「昼と夜は交わったらいけないのにね」
「ふふふふふ」
「混沌、混沌」
「ディオッサに教えてあげたラ?」
「おもしロくない、おもしロくない」
「全てが偶然に起きたことなのよ。これは女神の導きよ。邪魔をしてはいけないわ」
「夜神さまニは内緒?」
「内緒ではないわ、報告をする必要を感じなかったという話よ」
「そウねそウね」
「陽神さまには?」
「報告する必要を感じるならあなたがすればいいわ」
「しなィしなィ」
「きっとこの方が面白ィ」
「ふふふふ」
「たのしみたのしみ」
「なにがおきるかな」
「なにもおきないかもしれなくてよ?」
「夜神と陽神の愛子が一緒にいるノに?」
「「「ふふフふふフ」」」
精霊たちの言葉はすでにこの場を去ったディオッサにはもちろん届かなかった。