最終話です。(手抜きプロット)
『』
目を開けると僕は自室に戻っていた。
部屋は完全に再構築されているようだった。自慢のPCにお気に入りのラノベは最新刊まで揃っている。
わかっている。戻れてなどいない。どれも僕の不完全な記憶を投影しただけのまがい物だ。
部屋を出る。
「ぬあっ!!」
べちんっ!
部屋の外には床がなかった。一階の床まで僕は叩きつけられた。痛みにうずくまっていると心配そうな顔つきで二人の『終焉』が寄ってきた。
そして僕を包み込む。温かい。感覚的な温かさではない。およそ熱なんてものは感じなかった。
「これがエンドの言っていた、温かさ、なのか」
僕はまた泣いていた。涙は出なかった。ただ泣いていた。
しばらくその温もりに身をゆだね、僕はその二人の『終焉』を振り払う。そして『転世器』にもう一度、親指の傷口を触れさせる。
「転世してくれ。『何もない世界』へ」
――――真っ白な光がもう一度世界を包む。
最期に見た『終焉』はなんとなく泣いている気がした。
目を開くともう一度『何もない世界』を生みだすことに成功した。
いや厳密には違う。『何もない世界』に淡く発光する物体が降り注いでいる。
「これは、ゆき………?」
冷気はない。白く、そして淡く、優しく発光するそれは雪ではなかった。しかしこの文明も生命も存在しない世界で一人、僕はそれを『逝き』と呼ぶことに決めた。
母が買ってくれたコート、ステラにもらった革袋、コジロウが着けてくれた防具、ダンがくれた相棒の短剣を、一つずつ撫でる。そして、ジェネとエンドからもらった“愛”を噛みしめる。
僕は『何もない世界』でただ一人、目を閉じる。
そして、異世界転生に失敗した僕はあきらめた。
投稿した作品内における駄文の数々ですでにお気づきかもしれませんが、作者は小説というものをあまり読みません。
ですから有名な小説家さんの作品をなるだけ多く読み込んでから、活動を再開するつもりです。
しばらく期間が空くと思われますが、もし覚えてくださっている方がいましたら、こんなやつもいたなぁと、また読んでいただけたら幸いです。
最後まで読んでくれた方、本当にありがとう。