冒険者カード(4)
「僕の剣は…少し特別なんだ。」
精霊王の父上から貰ったとか言えないし、雷属性のことも知られていないから、言えないし…。
「ふん、言いたくないか。良いさ、次行くぞ」
と、ガントは次の魔物を呼ぶ。
門からはゴブリンが出てきた。
「ゲゲゲ…ゲゲ」
「ゲゲゲゲ…ゲゲ」
スライム一匹からいきなりゴブリン2匹になるの? ふむ。
僕は手を前に出し
(風よ…)
ゴブリンは呻き倒れていく。
ゴブリンの周りの魔素を無くしたから…。
魔物やここの生物は魔素で呼吸している。
ここの世界は魔素で充満していて、どの生物も魔素が無いと生きていけない。
血生臭いのは好きじゃないからな…。
まぁ、武器を持たない丸腰で出るのも…って事で父上から貰った剣を持ってきたけど。必要ないかな…。
「……」
ガントは目を見開き固まっていた。
それでも次々と呼び出すが……どれも呻き倒れていく。
さっきはワンバーンを倒すとガントは顔を青くして目と口が開きっぱなしで震えていた。心なしか……目に涙が…。いや、気のせいだな。うん、見ていない、目から汗が凄くなったけどあれは汗だ。
「つ、次は俺のとっておきだッ!!!!」
するとワンバーンより強力な力を感じ始めた。
リンside.
な、何!?
スライムが…消えた!? ど、どういうこと…。それに見たこともない、あの剣…ただの剣じゃない感じだし…
「お、おい。ガントやり過ぎじゃないか?」
「……だよな。」
「スライムの次ってゴブリン2匹だったか? 1匹だろ?」
「あぁ、いつもなら1匹だが…さっきスライムが消えたのが原因か?」
「スライムあれ、どうなってんだ?」
「知るかよ!!」
ガントさんもディアンさんが只者じゃないと気がついたんだわ…。
「ゴブリンが倒れた!!!」
「何をした?」
「全く分からない…」
なッ! 何!? 剣を使うわけでもなく、ディアンさんは一歩も動かずに…。ゴブリンは呻きながら倒れただけ。
訳がわからない…。
そして、美しい子供が次々に魔物を倒しているという噂を聞きつけ格闘技場の観客席は埋まっていった。
「お、おい! ワンバーンだぞ!!」
ザワザワ…
周りの冒険者たちは慌て始める。
ワンバーンは普通Cランクハンターが6人ほどのパーティーを組んで倒す魔物よね…? それを、ディアンさん1人に…? 流石にやり過ぎだわ、これじゃあ命の危険がある、止める必要がありそうね…
と、声をかけようと前へ足を踏み出そうとすると
小さな白い手に阻まれてしまった。
「えっと…」
手の主を見るとディアンさんと一緒にいたモルダさんだった。
『ディアン様の邪魔をしないで』
えっと…やっぱり何を言っているのかわからない…。どこの言語だろう?
鈴が転がるような声で聞いたこともない言語で睨んでくるモルダに戸惑った。
顔の整った幼い女の子に睨まれるのがこんなにも怖いことだとこの日初めて知ったリンだった。
「ごめんなさい」
とりあえず、謝り
止めようとするのを阻止してきたようなのでもう少し様子を見ることにした。
しかし、モルダさんといい………ディアンさんは何者なの。冷汗が背中をつたう…
ディアンside.
「キュルルルルルル」
高い嘲笑うかのような耳障りな鳴き声。
「ふーん、レッサーデーモンか~」
人間のように二足歩行で、ゴブリンに似ている。それにレッサーデーモンは知性がある。ワンバーンよりは確かに強い。だけど…
(風よ…)
そう念じると、レッサーデーモンも呻き倒れた。ちなみに僕は最初のスライム以外殺していない。スライムは予想外な出来事で殺してしまっただけなんだ。……グスン。
魔素は無くしたのは数秒で、気絶させたかっただけだし。




