最終話『世界放送』
ここまで読んでくださった皆様ありがとうございます。アト転の(一巻相当の)最終話で、一度完結済みに設定しますが続編があります! 完結ブーストで読んでくださる方々が増えることを願い、一旦様子見で、放置です…
さてさてアト転は書籍化、コミック化、アニメ化を目指しております、いいねや、⭐︎や、ブクマ、感想、レビューいただけますと励みになります!
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ここまで読んでいただき本当にありがとうございました! 2巻も書き溜めており、めっちゃおもろいので、お楽しみに!
沈みゆく大陸から遠く離れた、世界各地の主要都市や植民区。 アトランティスの崩壊という未曾有の地殻変動に揺れるその地で、支配者たちの情報統制は、混乱の速度すらも遙かに凌駕していた。
突如として、あらゆる広場、摩天楼の壁面、そして天空に投影された巨大なホログラムスクリーンが一斉に明滅を始める。ノイズの後に映し出されたのは、あまりにも整然とした、冷徹なまでに洗練された報道番組のスタジオだった。
画面中央のテロップには【世界統一評議会・緊急特別報道】の文字。 厳粛な面持ちの男性キャスターが、カメラを真っ直ぐに見据えて口を開いた。
「──視聴者の皆様に、緊急の確定情報をお伝えいたします。先ほど、最高法務局および『十人王』合同国家安全保障会議は、アトランティス中央特区を壊滅に追い込んだ未曾有の大規模テロ、ならびに人道に対する罪の主犯グループを特定。全容を公開しました」
キャスターの背後のスクリーンに、青白い光に揺れる男の顔写真が大きく映し出される。『月島レン』──その冷徹な眼差しが、世界中の何億という人々の視線と交錯した。
「主犯の名は、ツキシマ・レン。過激派武装組織、通称『NTR』を率いる、極めて危険な思想を持つテロリストです。当局の発表によると、ツキシマ容疑者は数年前よりアトランティス内部の基幹ネットワークに不正アクセスを繰り返し、国家機能の麻痺を画策。さらに、世界各地から無辜の市民を不法に拉致・監禁していたことが判明しました」
画面が切り替わり、意図的にノイズや血痕のような加工が施された、悍ましい実験室の映像が流れる。カプセルの中で蠢く異形の生物──キメラたちの姿だ。
「これらはツキシマが主導したとされる、非人道的な人体実験、および遺伝子改造の隠し実験場の映像です。拉致された人々は、凄惨な環境下で『キメラ』へと改造され、あるいは強制労働の奴隷として使役されていました。中央特区の崩壊は、彼らの実験暴走、および証拠隠滅を目的とした自爆テロである可能性が極めて高いとみられています」
キャスターは一度言葉を切り、さらに深刻なトーンで続けた。
「スタジオには、国際テロリズムおよび広域治安維持の権威である、王宮公安分析官のハインツ博士をお迎えしています。博士、この『NTR』という組織の危険性について、我々はどのように認識すべきでしょうか」
画面が分割され、白髪交じりの、いかにも理知的な老学者風の専門家が映し出される。博士は深く溜息をつき、極めて冷静な、だからこそ大衆の恐怖を煽る口調で語り始めた。
「ええ。まず強調すべきは、この組織が極めて高度な『非対称戦』を仕掛けているという点です。主犯のツキシマは、既存の科学体系を逸脱したサイバー技術を有しており、民衆の認知を歪める心理戦にも長けています。そして何より恐ろしいのは、彼を妄信する実行犯グループの存在です」
博士の言葉に合わせて、画面に4人の顔写真と詳細なプロファイルが並んだ。 ギル、セネカ、リンコ、クリスタ。
「現在、指名手配されている主要幹部たちです。まず、元・アトランティス王宮の技術部でありながら組織に寝返り、凶悪な重火器テロを主導した『ギル』。そして、王宮の機密情報を盗み出し、組織の足場を固めたとされる裏切り者『セネカ』。さらに、アトランティスの元特殊部隊・総司令官でありながら、テロ思想に深く洗脳され、ツキシマの愛人として実験を補佐していた『リンコ』。最後に、違法な自律型OSを駆使して都市インフラの破壊を実働したサイバーテロリスト『クリスタ』。……彼らは役割を分担し、合理的にアトランティスの転覆を狙ったのです」
キャスターが頷き、専門家へ問いかける。
「彼らは現在、潜伏中とのことですが、民衆への影響は」
「遺憾ながら、彼らは自らを『自由の解放者』などと詐称し、ムー大陸方面へと逃亡したとの情報があります。彼らの本質は、生命の尊厳を蹂躙した大量殺人犯であり、狂信的なカルトです。もし彼らの思想に共鳴する者が現れれば、第二、第三のアトランティス崩壊を引き起こしかねません。市民の皆様には、決して彼らのデマゴーグに惑わされぬよう、強く警告いたします」
キャスターが再び正面のカメラに向き直る。その表情には、国家の正義を代弁する者としての、揺るぎない確信が満ちていた。
「ハインツ博士、ありがとうございました。──繰り返します。世界を揺るがした大罪人、ツキシマ・レン。そして組織『NTR』の残党。十人王は、彼らを全人類の敵と断定し、総力を挙げて追跡を開始しました。繰り返される悲劇を阻止するため、評議会は──」
大音量で流れるプロパガンダの放送。 何も知らない民衆は、ホログラムを見上げて恐怖に怯え、新たな悪魔の名を呪う。
かつて神と呼ばれた十人王が仕掛けた、完璧な濡れ衣。 歴史の真実を証明すると誓ったレンの願いとは裏腹に、世界は今、彼らを『史上最悪のテロリスト』として記憶しようとしていた。
その悪意の包囲網が狭まりつつあることを、ムー大陸へと飛ぶヴィマナの中のリンコたちは、まだ知る由もない。
ツキシマレン 懸賞金 725兆4971億5600万DP
to be continued…




