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アトランティスに転生したら現代よりも奴隷社会だった件  作者: 猫石カズマ
プロローグ

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プロローグ『失われた科学技術』

 

  

(聞いてないぞ聞いてないぞ聞いてないぞ──ッ!!)


 オレ『ツキシマレン』は、泥水にまみれながらバールを振り下ろし、心の中で絶叫した。

 異世界転生っていったら、中世ヨーロッパ風の街並みで、スローライフしたり、可愛いヒロインに囲まれるのが相場だろ!?


『警告。金の採掘ペースが落ちています。ただちに採掘ペースを早めてください』


 頭上には、反重力波で浮かぶ監視ドローンが、無機質な自動音声を垂れ流している。

 この理不尽な強制労働が始まって、すでに半年。



 ヒロインのヒの字も登場しねぇ!

 


 そして今日、とうとうオレの堪忍袋の緒が切れた──。


「うるせえええええええええッ!!」


 ガァァアアアンッ!!!


 オレは握りしめていたバールをフルスイングし、宙に浮く小生意気なドローンを粉々にカチ割った。火花を散らして墜落する機械の残骸。

 

 他のドローンが警告のエラーをけたたましく鳴らし、オレを威圧する。


『反逆者を発見。ただちに始末デリートします──』


 オレは後から来たドローンの大群を全力疾走で撒く。


 ここは超科学の帝国『アトランティス』

 オレは地底のオリハルコン鉱山と呼ばれる場所でオリハルコンの元となるきんの採掘をさせられている。

 

 地上には支配者がいる。上にも下にも逃げ場はない。


 なら作るしかねえ! まだ発見されていない。地底のどこか──


『地下帝国』をなぁあああ──。


 こうしてオレは半年目にしてアトランティスにおけるレジスタンスへと生まれ変わった。



※※※


 ……と、まあカッコつけて大群から逃げ回っている最中なわけだが。


『なんで現代日本の社畜だったお前が、バール一本でこんな超科学の帝国に勝てると思ってんだ?』って、今これを読んでるそこのあんたは不思議に思うかもしれない。


 その理由を教えるには、なんでこんな世界になっちまったのかを少し遡らなきゃならない。


 ──って、おい待て?



『異世界転生モノなのに今から説明が入んの?! 中世ヨーロッパでしょ? 説明よりも先にストーリーと可愛い女の子見せてよ』って思ってないか? 

 

 まあ待て。可愛い女の子は後でめっちゃ出てくるからまあ待て!


 マジで聞いてくれ! 半年も不眠不休で金の採掘してたんだから、プロローグがいきなり、喋り口調から、説明口調に激変することくらい許してくれ! 



 これはオレが初めて異世界に来たときのこと。およそ半年前に遡る──。


※※※


【-本当のプロローグ-】


 ──現代の小説事情は、一から説明するのを省くために異世界(西洋ファンタジー)というテンプレを採用しているらしい。

 西洋、魔法、剣、ファンタジー。それらは多くを説明せずともストーリーを進行させやすいのでスマホ片手にパッと読めるからだ。それらを求めてる大衆に対し、新しい世界を提示するのはあまりにもリスキー。だが、それでもオレはオレ自身の物語をここに残す。


 事実は小説より奇なり。




 オレが立ち向かうこの世界の正体は魔法ではなく、あくまで一から説明しなければならない科学だ──



 E=mc2


 かつて、アルバートアインシュタインがこの宇宙の法則は愛であることを証明した計算で、これは、わずかな質量でも膨大なエネルギーに変わることを意味した方程式。


 だが、この計算式が皮肉にも、原子爆弾、原子力発電所を生みだした。




(おいアルバートよ。その計算式には矛盾があるぞ)


 オレの脳内で誰かの声。死ぬ間際の幻聴か……?


(愛ならなぜ光速を超えるエネルギーを証明しない?


 愛ならなぜ目先の利益に囚われ、物質主義の世界で人々は争い合う?)




 本当その通りだよな。ガチで……。この労働社会で金を稼がなきゃ生きていけないとか無理ゲーだわ。マジで……。まあ無理ゲーでも、生前趣味だった都市伝説の掲示板を漁ることは楽しかったぜ。




 声の主はおそらく、生前オレが都市伝説の掲示板を漁っていたときにハマったニコラテスラ。




 かつて光よりも速いエネルギーを探し、そのエネルギーを空間から取り出して、世界中に電力を無料で提供しようとした男だ。


 フリーエネルギー。そのエネルギーの源の名が


 エーテル。


 都市伝説界隈では有名だ。ニコラテスラは、この計画のためにウォーデンクリフタワーを建設した。


 だが、当時、この計画に投資していた金融王(きんゆうおう)J.Pモルガンはテスラに突然出資を打ち切る。




『それでは料金メーターがつけられない』




 そしてテスラの建設途中のウォーデンクリフタワーはモルガンの指示によって壊され、この計画は破棄される。




 ──その同時期、テスラには科学者としてのライバルがいた。


 皆さんご存知の通り、エジソンである。


 彼はテスラの交流送電ではなく、直流送電による電気配線事(でんきはいせんじ)(ぎょう)を展開していて、この方式はインフラの維持に費用がかかる代わりに、料金メーターをつけられる。


 簡単に言えば直流送電が乾電池。

 交流送電がコンセントだ。


 もっと簡単に言えば、エジソンはみんなから金を請求して乾電池を配るのに対して、テスラは無料で世界中に電気を送るコンセントを配ろうとした


 ……おっと、文章が硬くなってしまった。


 有料の乾電池か、無料のコンセントなら無料のコンセントの方がいいよなアァアアアァァ(絶叫) !!!!

 電池が切れてもわざわざ交換せずに、充電できるんだぜ! 知ってたか? あっ?


 さて、この世界の神よ。オレの物語を読んでる神! そこのお前だ! 


 ここまで読むのに電池切れになってねえ? 大丈夫?(心配)


 この物語は、悪役令嬢ものでも、追放ものでも、チートでも、オレTUEEEEでも、ダンジョンでも、スキルアップでもない。



 このオレの物語はテンプレからは程遠いが、一つだけ約束できることがある。それは君にとってのコンセントになり、君の心を本気で照らせるということだ。



 まあなんだかんだで約100年前──テスラのライバルであるエジソンとの交流電流VS直流電流の戦いにテスラは敗れ、エジソンは偉い人になり、オレは死んだ……。令和にはスマホなど、テスラが残した交流電流のほうが採用されているのに……。


 拝啓。

 『エジソンは偉い人。そんなの常識。』と思ってる君へ。

 シートベルトはしめたか? 今から1万2000年前にタイムスリップだ! どっか別の時代(中世ヨーロッパ)に振り落とされないようにしろよ!!


 これはニコラ・テスラとオレが古代にあった失われたエネルギーを解読する物語──

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