プロローグ−−幸福な日々の終わり−−
初投稿です。ストックなんてなく出来たら投稿していく形式なので期間が空いても許してくださいね。
「刻くん、大好き。私、刻くんと出会えて本当に幸せ。」
小さなカフェの中、向かいに座る彼女−−美咲は上目遣いにそう言って微笑んだ。彼女は俺の世界で1番大切な人で、彼女の笑顔をみているだけで、日頃のバイトのつかれなんて一瞬で吹き飛ぶ気がした。
「これ、ずっと欲しかったブランドのバックなんだ!ありがとう刻くん」
「良いんだよ。美咲が喜んでくれるなら、今月のバイト代全額つぎ込んだ甲斐があるよ。」
嬉しそうにバックを抱きしめる美咲を送り届け、その帰り道。俺の親友である拓也に出会った。拓也は俺の肩をガシガシと叩き、いつものように豪快に笑って言った。
「おう刻!今帰りか?さっき美咲からラインきてさ、お前が欲しがってたバックを買ってくれたって喜んでたぞ。お前マジ最高の彼氏だな!この拓也様が保証してやるよ。」
「はは、なんだよそれ、ありがとな、拓也」
最高の彼女と親友、2人がいればそれだけで俺の人生は幸せだった。
彼らの言葉はすべて本心だと信じて疑わなかった。
あの瞬間までは。
数日後、美咲へサプライズをしようと彼女の家まで行った。
ドアの前でチャイムを鳴らそうとした瞬間、窓から聞こえてきた聞き慣れた二人の声に、足が止まった。
「−−ねえ拓也ぁ、刻のやつ、マジでチョロすぎでしょ。おねだりしたら、今月のバイト代全部使ってこのバックかってくれたんだけど。」
「あはは!あいつ俺等が付き合ってることに全然気づかないもんな。ほんとバカだわ」
「私のためになんでも買ってくれるんだよ!最高の金づるだわ。ねえ、次は何買わせる?」
その会話を聞いて頭の中が真っ白になり、俺は走ってその場から逃げた。
「あ、がぁ……ッ」
無我夢中で走り回り、口からは声にならない悲鳴が漏れた。
二人を問い詰める勇気すら無かった。すべてが嘘だった。美咲も拓也も嘘をつき、俺のことを裏では嘲笑っていたんだ。
(みんな嘘つきだ、もう何も信じられない、誰も嘘なんてつけなくなればいいのに)
激しく、息が詰まるほどの絶望。周りの様子すら見ずに我武者羅に走っていた俺は、赤信号の交差点に、そのままとびだしていた。
−−キキィィィィィィッ!
鼓膜を突き刺すような激しいブレーキ音。
直後、凄まじい衝撃が俺を襲った。
冷たいアスファルトにたたきつけられ、口から血を吐いた。指一本動かすことができない。
あぁ、俺は死ぬんだ。…まぁ、いいか。俺には、もう何もない。
薄れゆく意識のなか、俺のなかにある思いはただ一つ。
(もし……もし、次があるのなら。もう二度と騙されない。嘘がつけない世界にしてくれ…。)
そこで俺、黒崎 刻は力尽きた。
『ふふ、なんて哀れなんでしょう。親友や恋人に騙され、なにも成すことがなく、惨めに死ぬなんて。あまりにも哀れなので、その願い、叶えて差し上げましょう。…この女神−−−−−−−が。』
最後まで読んでいただきありがとうございます。アドバイスなどがありましたらぜひとも教えてください。黒白は豆腐メンタルなので優しくしてくださいね。




