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1. - 四月一日の愚か者 -

はじめましてです。

よくわかりませんが、至らぬ点ご教授くださりたくお願いいたします。

加筆修正する可能性もあります。


作品のことは、

レクイエムです。俺の悔い改めでもあります。

ひとりでも多くの魂に届きますように。

ここはどこだ。

俺は…


何者だ?


ーーーーーー


昨夜は、

「夜桜でも見ようよ」と適当言って

その辺の女の子、と二人の時間を過ごした。


女の子は…まあよくある格好で

彼氏の一人くらいはいそうな

ちょうど良い感じだった。


思った通り、男性への警戒心も薄く

むしろ俺の姿を見て期待していた。

一夜の相手には丁度良い。


結局、

”夜桜を探し歩くうちに疲れて休憩”、

上から見えるかな、とか言いつつホテル併設のバーで飲めば


目的の遂行は簡単だ。


俺は激務で命がけの仕事をしていたので

たまに訪れるヒマを持て余しては

こんな1日を過ごすのが楽しみだった。


家ではパートナーが待っているが

いつも愛想も愛嬌も無いので

外で出会う女の子にときめかれるほうが癒されるし気楽だった。


俺、悪くなくね?

自分以外の人ひとり分の生活を支えているし

たまの息抜きくらい、良いよな。娯楽、それもストレス解消のうちだ。


そうして女物の香水の匂いを衣服にも肌にもたっぷりとつけたまま

日付を跨いで帰宅する。連絡をすることはないけど、ちゃんと掃除も洗濯も、

リクエストすれば温かい食事も出てくる。まあ養う価値はあるか。


俺は朝帰りのヒーローを出迎えもしない

閉じられたままの寝室の扉を一瞥して

スッキリした心身でため息をついた。


俺、良い男だよなあ。

ため息からすら、桜の匂いとか、するかも知れない。

持ち前の話術もあって、一夜の相手に困ったことなどない。


特定の相手とズブズブ不倫してヘマを踏むこともない。

おまけに仕事もできるし見た目も良いときた。

パートナーが浮気しないとしても、お釣りが来るくらいの男だろう。


俺はよく片付いた部屋でソファーにもたれながらそのまま横になってしまう。

女の匂いのついた自分が好きだ。よく知らぬ女の匂いはいつも勲章のようだ。

こんな良い男とパートナーなんだから、俺には絶えず感謝して欲しいものだ。


俺は”いつもありがとう”とか”あなたのおかげで幸せ”とか

いつまでも言ってくれる入籍当時のパートナーのことを思い出しながら

そのままひと眠りすることにした。


こんなに好きなんだから…きっと”しばらく口きけなくて…ごめんね”と

向こうから謝ってくれるだろう。

そうしたらハグして、愛してるよと言って、またいつも通りだ。


ーーーーーー


そうだ。

俺は…

家のソファーで目を閉じて寝ていた筈だ。気付いた瞬間、


チーーーーーーーーーーン!

目覚ましベルをひとつ大きく叩いたみたいな

ひどい耳触りの音が耳元で響いた。


「下へ参ります」


棒読みの機械じみた声が響く。

ウワっと驚きざまに身体が浮いたかと思うと、垂直落下の浮遊感が訪れる。

俺はあっと言う間に元いた肉体を離脱させられ、


よく分からない空間で落ち続けた。

落ちながら、何かにしがみつけないか、探していたが

何も掴めそうなものは見つからなかった。


この速度を維持すると、地面のようなところに着いた場合

相当の衝撃があるに違いなかった。俺の体は

バラバラに砕け散ってしまうに違いなかった。


俺の体?

俺、俺の体は、さっき置いてきたのか?

どこからどこまで現実かあるいは幻か、分からない。


これが夢である可能性は否定できないのに、

五感と思考の妙な明晰さが

これは現実だと俺を説得する。まだ落ちる、まだ落ちるのか。


俺は途中から気が狂いそうになって

必死でパートナーの名前を叫んでいた。

俺たちはお互い身寄りのないもの同士で、この地上ではお互いが唯一の家族だった。


男女のことが飽きて過ぎ去っても、家族として守り愛していた。

俺が呼べばいつでも飛んできてくれる筈だ。

死んでも、このまま死んでしまっても…俺の死に際にあいつは駆け寄って俺の体を抱き、泣いてくれる筈だろう。


九死に一生は心得ている職業柄、さすがに状況に慣れて落ち着いて、

それでもなんとかしなければ…と自己を奮い立たせて

あれこれ頭を巡らせた末に、


俺はついに、神様!と

神様に助けを求め出した。結婚式には神父さんも居たし…こうなったら困った時の神頼みだ。

神様!神様!いるなら返事をしてください、俺はたくさん頑張ってきました、俺は人助けもして…


すると、

『お前を助けよう』、という

低くて大きい声が環境音のように…雷がゴロゴロ鳴るように響いたかと思うと


ピロン、という機械音と共に

「結婚は解消されました」

という棒読みのメッセージが頭に届いた。は?


俺は何か少しだけ弾力のあるものにボッスン、ボッスンと勢い跳ね返りながら着地する。

一命は取り留めたようだ。

ここは…どこだ?


俺は天井をはじめ、部屋を見回して、

見知った部屋のようであることと、少しの違和感に気付いた。

ここは俺の…家の、ベッドだ。


それで…俺は居間のソファーじゃなく、寝室のベッドに戻ってきていた。

寝室は1個で、普段はパートナーが独り寝に使っていたものだ。

俺は滅多にはここには寝なかった。


木彫りのヘッドボードにふたり分の名入れがしてある。


パートナーの名前…お互いにほとんど戦災孤児のようなもので身寄りもなく

出会った当初はやっと見つけた家族だと思って喜び合い、

籍を入れた当時は色々浮かれて新しい家具も揃えたのだ。


俺は学歴も何もなかったけど

持ち前の身体能力を活かしてやや待遇の良い危険な仕事に就いていた。

戦争があってから女が外で働けなくなっていたから、あいつは庭で野菜を作ったりして暇を潰し、俺たちは家の外と中でちゃんと役割分担をして暮らしていた。


すっかり見知らぬ家具のようによそよそしくなったヘッドボードから目を外すと、

部屋の机に無造作に広げられた裁縫道具一式と、作りかけの小物。

内職をしてたのか…?俺はそんな甲斐性無しじゃないのに…


俺はしばらく呆然とベッドの上に横たわっていたが、だんだんと現実に戻ってきた。

ソファーに横たわっていたはずの肉体は、確かに死んでいて、

俺が居間に戻る頃には腐敗臭がして酷いものだった。


あれからどれくらいの時間が経った?俺はいくつなのか?

俺は俺が誰かすらも良く分からないまま、

俺は俺自身の葬式をして、


「あんな仕事だから…」

「あら暇を見つけては遊び回っていたみたいよ…」

「じゃあ腹上死?残された奥様が不憫ね」


俺はどう言う気持ちなのか分からない表情たちに

「御愁傷様です」とかなんとか言われ続け、

所問わずパートナーの名前で延々と呼ばれ続けた。


寝室のベッドに戻ってきて伏せていると、

身体はとても痛かった。何の仕事もしていないのに…

頭も疲れて、考えることは難しかった。


「これがお前の償いだよ」

そう誰かが告げて、立ち去る。

声は出なかった。

しかし、俺はとめどなく涙を流した。


俺は一命を取り留めたのだ。

でも、

俺には 身寄りもなく、頼りない女の身体しか残されなかった。


俺を、守ってくれる家族は、もうどこにもいない。

もう、どこを探しても、いなかった。

俺は女の人生を、受け入れるしか無いみたいだ。

わたしは信仰者です。イエス様に出会って救われ、聖書を読んでいます。

目についた聖書箇所を記しておきます。


ヨハネによる福音書10章34節から36節(ERV訳)

34:イエスは言った。「あなた方の掟おきての中には、『♪私は言った。お前たちは神々だ!』と書いてある。

35:この聖書箇所では、それらの人たち、又は神のメッセージを受け取った人たちのことを『神々』と呼んだ。その箇所を消すことはできない。


ヨハネによる福音書11章25節(ERV訳)

25:イエスは彼女に言った。「わたしがよみがえりであり、いのちだ。わたしを信じる者は、たとえ死んでも生き返る。


ーーー


- 四月一日の愚か者- (エイプリルフール・フール) 

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