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一、無邪気な笑顔としかめっ面と
毎度おなじみ「若旦那捕物帖」の第二弾はまず、可愛い赤ちゃんの登場から幕を開けます。
「よせやい若旦那、それじゃこの赤ちゃんは……」
「んなわきゃないやろ。こないにかわええ血肉の通った幽霊がおるんなら、足のない幽霊はみんなモグリや」
いらだち半分、いつもの調子で和服の袂から煙草を出そうとしたところで、若旦那はそっと手をひっこめる。それもそのはずで、僕と彼の目線の先には今しがた眠りについた、丸々とした顔の赤ん坊の寝顔があった。
「あかんあかん、今はベビー優先や……飴で我慢しとこか」
こたつの上へ置いたプラ容器を開けると、若旦那は包みの中から真っ赤なイチゴキャンディーを出して口へ放り込んだ。
「今はまず、この子の親を探してやるのが先決や。煙草なんてそのあと、たっぷり吸えばええのよ」
「――ほんとだねえ」
とはいったものの、これといっていい方法が浮かぶわけでもない。ため息をつく気力もないまま、僕はぼんやり、赤ん坊の無邪気な寝顔を眺めるより仕方がなかった。
いったい何が起こったのか? 前日譚はお次のページから。




