ビアンカと羊樹
ルリユール<Langue de chat>は、製本及び痛んだ本の修復を致します。店内には素材の見本の他、製本後の本の見本もございます。本の試し読みも出来ますので、詳しくは店員にお訪ね下さい。
バロメッツを預けにいきます。
261ビアンカと羊樹
ぽんっと、クラーラとビアンカ親子の暮らすアパートの前に〈転移〉したエンデュミオンは、歩き出す前にバロメッツに後頭部を鼻先で突かれてつんのめった。
「おい」
じろりと睨むが、バロメッツはふんふんとエンデュミオンの匂いを嗅いでいる。昨日孝宏と風呂に入ったので、入浴剤のラベンダーでも香っているのかと思いつつ、耳を食まれる前に欲しがりそうな物を聞いてみる。
「水か?」
「メェ」
エンデュミオンは水の精霊に頼んで水の塊を出し、バロメッツに飲ませてやった。魔法で出す水は、魔力を含んでいるからなのか、このバロメッツの好みらしい。
「エンデュミオンじゃないの」
「イェニー」
管理人部屋の窓から、イェニーが顔を出していた。バロメッツに話し掛けるエンデュミオンの声が聞こえて覗いたようだ。
「今行くわ」
すぐに窓から顔を引っ込め、イェニーは共同玄関のドアを開けてくれるために出て来てくれた。
「遊びにきたの?」
「ビアンカに用事があったんだ。でもイェニーにも確認を取りたかったから丁度いい。バロメッツをここで飼ってもいいか?」
イェニーはバロメッツの頭を撫でていた。元冒険者のイェニーは、バロメッツに驚かなかった。ハイエルンかヴァイツェアで見たのだろう。
「そうねぇ、夜中に近所迷惑になる位鳴いたりしなければ大丈夫よ」
「夜はバロメッツも寝てるから静かだな。植物で排泄もしないから、衛生的だし」
「なら平気よ」
日中は少々鳴くが、気に触る程でもない。安全な場所ならば、日中も寝ている事が多いのだ。
ついでだからと、イェニーはエンデュミオンとバロメッツを二階まで運んで、ビアンカ達の部屋のドアをノックしてから、管理人部屋に戻って行った。
「はーい」と部屋の奥からビアンカの返事があった。
「エンデュミオンだ」
部屋のドアが開き、蜂蜜色の髪のビアンカが笑顔を見せた。
「いらっしゃい、エンデュミオン」
「やあ。今日は頼みがあってな」
「どうぞ」
部屋に入れてもらい、エンデュミオンはドアの内側のマットで靴を脱いだ。身体の弱いクラーラが居るので、床が汚れないように入口で脱ぐのだ。バロメッツの四肢も拭いて貰う。
「ふふ、この子の肢、フェルトみたい」
「バロメッツだからな」
「メエェ」
四肢を拭いて貰ったバロメッツは、首輪に付いた鈴を鳴らしながら、とことこ部屋の中を歩き回る。
「悪戯するなよ」
バロメッツに注意して、エンデュミオンはビアンカを見上げた。
「実はあのバロメッツを預かって欲しくてな」
「ハイエルンから連れてきたの?」
ビアンカは糸紬ぎ職人だけあって、顔が黒いのはハイエルン種だと知っていた。
「いや、ヘルガによるとあれはリグハーヴス種だそうだ。リグハーヴスの〈黒き森〉にいる野生種なんだ」
「とても珍しいじゃない!」
「いや、数自体は結構いるんだぞ? 森の奥にいるだけで。あれ一匹だけうちに迷い混んで来たんだが、シュネーバルが大切にしている植物が齧られそうだから、温室に置いておけなくて」
「バロメッツって、綺麗な水と香草が好きだものね」
ビアンカが笑っていると、お茶を淹れていたクラーラが、盆にカップを載せて運んで来た。
「いらっしゃい、エンデュミオン」
「お邪魔する。身体の調子はどうだ? クラーラ」
「もうすっかり良くなったのよ」
一時期は魔女グレーテルの診療所で入院していたクラーラだが、治療の甲斐あって喘息の症状はかなり落ち着いている。
「この子はどうしたの?」
ソファーの前のローテーブルに盆を置き、クラーラが近付いてきたバロメッツの鼻面を指の背で撫でる。
「昨日の強い風でうちの裏庭に飛んで来たんだ。うちには糸を紡げる人がいないから、このうちで預かって貰えないかと思って。食事はビアンカの魔法で出す水と、おやつに香草かな。香草はうちに生えているのを譲るから。あとは日光浴をさせてやってくれ。外に散歩に行くなら、このハーネスが便利だ」
「この子、シュネーの育てているものを食べちゃいそうなんだって」
「あらまあ。それは困るわね」
「メエェ」
バロメッツがクラーラにふかふかの身体を押し付け、もっと撫でろと催促する。
「この子から紡いだ糸はヨナタンが使うのよね? 良い綿糸になりそう」
ビアンカがバロメッツの毛を指先で摘まむ。
「うん。ギルドの仕事がない時で構わないし、手間賃はきちんと払うぞ。ヨナタンが使わない分はギルドに売ってもらって構わない」
今はコボルトが織った布をコボルト織と呼んでいるが、昔ながらのコボルト織はバロメッツ糸をコボルトが織った物の事を言うのだ。
バロメッツ糸を生産しているコボルトの集落では、昔ならではのコボルト織かもしれないが、ここ暫くのコボルト狩りのせいで、どれだけ残っているか解らない。恐らく自由になったコボルト達が、バロメッツ育成から漸く生産を復活させたところだろう。
エンデュミオンは両前肢でカップを持って、クラーラが淹れてくれたミルクティを舐めた。バニラの甘い香りのするお茶にミルクと蜂蜜が入っている。
「美味いな」
「ヘア・フロレンツのお店で買ったお茶なの」
孝宏も買っている輸入雑貨屋は色々な風味のお茶を置いている。店主のフロレンツは目先が利くのか、倭之國の食材も何かと置いてある変わった店である。
「ではバロメッツを頼む。香草は遠慮なく貰いに来てくれていいから」
温室で香草は年中生えているのだ。刈らないと大変な事になる。ラルスも適当に持っていってくれているが、中々成長が早い。ケットシーとコボルトの為にミントとカモミールだけは切らさないようにしているが、他の香草も茂っているのだ。
「さてと……寄り道していくか」
お茶を舐め終わったエンデュミオンは、〈Langue de chat〉に帰ろうとしたが、途中で気が変わり〈転移先〉を変更した。
「この辺だったかな」
見当を付けて〈転移〉したのは、ハイエルンの領主館の前だった。ハイエルンで採掘された石で作られた堅牢そうな館である。
館の周囲を囲む頑丈そうな塀の前には堀があり、その上を渡る跳ね橋の前に門衛の騎士が二人立っていた。正確には一人は白い騎士服なので騎士だが、もう一人は薄灰色の騎士服なので準騎士だろう。騎士が平原族で、準騎士が人狼だった。
深紅の髪と狼耳、尻尾を持つ人狼の準騎士の足元には、同じく準騎士の騎士服を着た小麦色の北方コボルトが立っていた。杖を持っていないので、完全な魔法使いではないらしい。腰にナイフを着けているが、小さいので戦闘用では無さそうだ。
エンデュミオンがのんびりと近付くと、騎士の方が持っていた槍を構えたが、人狼の準騎士が素早く腕を伸ばして穂先の根本を掴み、無理矢理下に向けさせた。
どうやら人狼はこちらが何者か知っているか、もしくは己より脅威のモノだと気付いたらしい。攻撃されたのならエンデュミオンは当然反撃する気満々だったので、人狼の判断は正しい。
「何をする!」
解っていない平原族の騎士が人狼を怒鳴り付けるのに構わず、エンデュミオンは彼らの少し手前で立ち止まり、右前肢を上げた。
「エンデュミオン!」
「ヒルデブラント」
「ユリアン!」
エンデュミオンの挨拶にすぐに応えたのは、人狼とコボルトだった。平原族の騎士はぽかんと二人を見ている。ハイエルンの騎士でありながら、妖精の挨拶を知らないとは、騎士隊の教育はどうなっているのかと思わずにはいられないが、エンデュミオンの管轄ではないので放置する。
「エンデュミオンとはリグハーヴスのエンデュミオンですか?」
ヒルデブラントと名乗った人狼が、エンデュミオンに微笑む。青年だが、イシュカより歳上かもしれない。
「そうだ」
「妹と義弟がお世話になっています」
「……アーデルハイドとスヴェンか?」
どう考えても優性遺伝しそうな見事な赤毛をした人狼の知り合いは、彼女位だ。
「はい」
合っていたようだ。
「人狼がなぜ領主館の門衛などしているんだ? しかも準騎士で」
この年齢で準騎士なので、学院を出ていない叩き上げと言う事になる。身体能力の高い人狼ならば、学院に入れば優秀な騎士になれるものだ。そしてどちらかと言えば人狼は騎士より冒険者の方が多いのだ。つまり、準騎士の人狼は極めて珍しい。
ヒルデブラントは持っていた槍の柄で、自分の肩を軽く叩いて苦笑した。人狼が持つには華奢な槍なので、備品だろう。ヒルデブラントの本来の得物は、腰に帯びている片刃の剣、所謂刀だ。アーデルハイドも同じ形の刀を使っていた筈だ。
「先日集落に徴集が来ましてね。コボルト憑きの人狼を出せと」
「ふうん? 戦もないのに準騎士を増やすのは、コボルトが採掘族と平原族を信用していないからか?」
同族をつれた人狼ならば、コボルトは信用出来るからだろう。ハイエルン側の〈黒き森〉の自治権がある人狼なので、ハイエルン公爵の要求を突っぱねても構わないのだが、代表としてヒルデブラントとユリアンが出て来たらしい。
「まあそうですね。ユリアンは戦闘向きじゃないんですけど、薬草師だから薬を作れるんですよ。それで私が出てきた訳です。怪我したコボルトが居ても怯えさせずに治療出来るので。長の血筋に近くてコボルト憑きが私だったのもありますが」
「わう」
ヒルデブラントはユリアンの頭を撫でた。ユリアンの腰のナイフは採取用だったようだ。
自治権を持つと言っても、〈黒き森〉の管理者と言った意味合いが強い人狼だが、このところのハイエルンの荒れ具合に業を煮やしたに違いない。
長に近い血統のヒルデブラントが出て来たのは、ハイエルン公爵コンラートへ苦言を呈する為だろう。準騎士の立場だが、人狼の代表として出てきているのだ。ハイエルンの首脳陣は舐めていると痛い目にあうだろう。
「ところでエンデュミオンは何用ですか? ハイエルン公爵に会いに来たんですか?」
「いや、別にコンラートに会わなくても良いんだが」
知りたい事を教えてくれるのなら、誰でもいい。聞きたい事はヒルデブラントに聞けそうだ。
「ハイエルンのバロメッツはどんな感じかなと思ってな」
「バロメッツ? うちの集落は人狼とコボルトで育てていますよ。近くのコボルトの里と合併してから畑を作り直したので、そろそろ収穫出来る頃かと」
収穫とはバロメッツの場合は、熟して茎から外れて囲いの中を動き回るようになる頃合いを言う。
「コボルト織の織り子はいるか?」
「うちの集落には何人か居ます。染め物職人もね。コボルトには必要不可欠ですから、他の集落にも必ず居ますよ」
「ならいいのだ。リグハーヴス側の〈黒き森〉に居るバロメッツから、綿糸を取る事になってな。ハイエルンの方はどの位復興したものかと思ったものだから」
「リグハーヴスにも居るんですか?」
ヒルデブラントにも驚かれる。
「実は昔から居るんだ。ほら、ケットシーは服を着ないから」
「ああ……」
バロメッツを放置していた理由が、それで納得されてしまうケットシーである。
「聞きたかったのはそれ位だ。ユリアン、おやつをやろう」
エンデュミオンは自作の飴が入った小瓶とクッキーの紙袋をユリアンに渡した。
「有難う」
ユリアンの巻き尻尾が、大きく左右に揺れる。
「リグハーヴスにはラルスと言うケットシーの薬草師がいるから、遊びに来る時は訪ねるといい。エンデュミオンの幼馴染みだ」
「わう!」
リグハーヴスには妖精の薬草師はラルスだけなので、薬草師の知り合いを作るべく教えておく。ラルス曰く、薬草談義が出来る知り合いが少ないらしいので。
「ヒルデブラント」
エンデュミオンはヒルデブラントを前肢で招いた。
「なんですか?」
軽くかがんだヒルデブラントにエンデュミオンは囁く。
「コンラートにはコボルトを大切にしないと、取り返しのつかない事になると伝えておけ。〈角笛の子〉はリグハーヴスに居るとな」
「……確かに」
コボルトに〈角笛の子〉と称されるものは複数いるが、本当の角笛を持つものは一人である。
本当の角笛を持つコボルトだけが、三頭魔犬を召喚出来る。三頭魔犬はコボルトを守るモノである。
ハイエルンのコボルトへの扱いがこれ以上目に余るようならば、もしもの場合があるという警告だ。切り札はリグハーヴスにある。ハイエルンは外から三頭魔犬に襲われる危険性があるのだと言う事を覚えておいて欲しい。アルフォンスに迷惑を掛けるので、けし掛けるつもりはないエンデュミオンではあるが。
「妖精は悲しませておくな。ろくな事にはならん。ではな」
エンデュミオンはヒルデブラントの膝をぽんと叩き、自分に槍を向けた騎士を一瞥してから、〈Langue de chat〉へと帰還した。
「ただいま」
「お帰りー」
エンデュミオンは大抵孝宏の近くに戻る。一階の居間でエンデュミオンを迎えた孝宏は、フラウムヒェンを抱っこしてあやしていた。フラウムヒェンは孝宏の胸にしがみついていて、足元にはシュネーバルとルドヴィクがくっついている。
「どうしたんだ?」
「フラウムヒェンが昨日夢見が悪かったみたいでね。眠いんだけど寝られないって。気分転換になればってヘア・アロイスが連れて来たんだけど」
シュネーバルとルドヴィクは、落ち込んでいるフラウムヒェンを心配しているらしい。
フラウムヒェンは〈人形〉として、過酷な暮らしをしていたと聞いている。夢でその頃の事を見てしまうのかもしれない。
「悪夢か……」
悪夢を消す魔法はない。夢魔なら追い払えばいいが、それ以外は潜在的な記憶や気持ちの問題だからだ。
「そうだ」
エンデュミオンは肉球を打ち合わせた。
「孝宏、フェーブがまだ残ってたな」
「あるよ。台所のお菓子道具入っている場所に置いてあるけど」
ガレット・デ・ロワを作る時に入れる陶器の人形のフェーブ。孝宏が買い求めたのはマダム・キトリーと言う作家が作った不思議なフェーブだった。
エンデュミオンは台所へ行って、クッキーの型等が入れてある棚を探った。
「確かここに……あった」
棚の中から、フェーブの布袋を取り出す。エンデュミオンは袋を持って居間に戻り、ローテーブルの上に中身を開けた。色々な形のフェーブが、テーブルの上に広がる。
「ふぇーぶ」
「に! ふぇぶ!」
シュネーバルとルドヴィクが、テーブルに移動し、爪先立ちになる。ルドヴィクはまとめてフェーブを見るのは初めてだろう。
「これがいいな」
エンデュミオンはフェーブの中から、一角獣のフェーブを肉球で掴み上げた。
「一角獣?」
フラウムヒェンを抱いたまま、孝宏がエンデュミオンの隣にしゃがむ。
「うん。ほら、フラウムヒェン」
「うい……」
泣いていたのか潤んだ藍色の瞳でフラウムヒェンがエンデュミオンを見る。
「このフェーブを御守りにやろう。これを枕の下に入れて寝ると、悪い夢を角で突いて追い払ってくれるぞ」
「……」
ずぴ、と鼻を啜り、フラウムヒェンがエンデュミオンからフェーブを受け取る。
エンデュミオンはフラウムヒェンの柔らかい毛で覆われた頭を撫でた。
「フラウムヒェン。本当に嫌な奴が来たらな、遠吠えするんだぞ。リグハーヴスの街にいるコボルトと妖精達が集まるからな。遠慮せずに遠吠えするんだぞ」
「……うい」
「そもそもそんな奴がいたら、アロイスとエンデュミオンが追い払ってやるから、心配いらん」
しかもフラウムヒェンは元王様ケットシーのギルベルトの加護を受けている。王の加護を受ける妖精は、当然他の妖精達の庇護対象だ。皆張り切って呪ってくれるだろう。
取り敢えずは、現在のフラウムヒェンの気分を上げなくてはならない。落ち込んだまま食欲をなくされても困る。ただでさえフラウムヒェンは痩せすぎなのだ。
「フラウムヒェン。バロメッツに会いに行くか? ふかふかだぞ」
「ふか、ふか……?」
へにょりと垂れていたフラウムヒェンの尻尾がくるりと巻いた。
「しゅねーばるも!」
「るども!」
「シュネーバルもルドヴィクも連れていってやるから」
「ふかふか!」
「ふかふか!」
もふもふでふかふかな物が好きなシュネーバルとルドヴィクが踊り出す。明らかにルッツから覚えた踊りだ。
さっきビアンカ達の所へ行ってきたばかりだが、仕方がない。
「精霊便で行きますってお願いしようか。レモンメレンゲタルトあるから、おやつに持っていって」
「そうするか」
もし仕事があったら邪魔をしてしまう事になるのだが、理由を説明したらビアンカとクラーラなら受け入れてくれるだろう。
孝宏に涙を拭いて貰い、鼻をかんでいるフラウムヒェンに笑顔が戻っている。悪い夢はすっかり置き去りになったようだ。
安全な場所にすべてのコボルトが落ち着くまでには、まだ暫く掛かるのだろう。ハイエルンの人狼にはコボルトの保護を頑張って貰いたい。
穏やかそうに見えたが、ヒルデブラントはあのアーデルハイドの兄である。そこらの人族よりは遥かに強いに違いない。人狼は〈黒き森〉の自治権の権利向上を求めるだろう。
ハイエルンは大きく分けて街と〈黒き森〉と鉱山に区分け出来る。街には採掘族と平原族が同等だが、〈黒き森〉には人狼が、鉱山には採掘族がそれぞれ力を強く持つ。
鉱山という金を生むものがある以上、リグハーヴスよりも領民の貧富の差もある。
領内の改革に乗り出したばかりのハイエルンだ。恐らくマクシミリアン王も注視している事だろう。國民の生活は、國王の責任でもあるのだから。
双子コボルトのクヌートとクーデルカは、時々マクシミリアンの執務室に遊びに行っているようなので、お喋りの間に情報収集をしているに違いない。
ヒルデブラントも既知になった以上、何かあればアーデルハイド経由でもエンデュミオンに知らせて来るだろう。
(エンデュミオンはただのケットシーなんだがなあ)
溜め息を吐きつつ、エンデュミオンはテーブルに広げたフェーブを袋に集めるのだった。
自称どこにでもいるケットシー、エンデュミオン(どこにでもいない)。
まだまだハイエルンの内部は完全には落ち着いていません。
ヒルデブラントはアーデルハイドのお兄ちゃん。人狼全体の長の血族で、村長の息子です。
物腰柔らかな人ですが、結構強いです。
北方コボルトのユリアン。昔、ヒルデブラントが出先で憑かれたので北方コボルト。ヒルデブラントの村と合併したのは南方コボルトの集落です。
コボルトは北方南方関係なく仲良し。南北の中間地点の集落によっては、両方住んでいる事も。
番になった場合は、母方の毛色で産まれます(法則は人族と同じ)。