シュネーバルのお泊まり(後)
ルリユール<Langue de chat>は、製本及び痛んだ本の修復を致します。店内には素材の見本の他、製本後の本の見本もございます。本の試し読みも出来ますので、詳しくは店員にお訪ね下さい。
シュネーバルはケットシー語も話せます。
250シュネーバルのお泊まり(後)
柔らかくて暖かくて良い匂いのする場所に寝ていると気付いた時、ハシェは「死んだかな?」と思った。
「……」
目を開けると木組みの天井が見えた。どこかの家のようだ。
顔を横に向けた先では、ベッド脇の椅子に座った小さな真っ白いコボルトが、黒い布地を抱えてせっせと針を動かしていた。何となく見覚えがあるのだが、あれはハシェのズボンではなかろうか。
「……」
「……う?」
ハシェに見られているのに気付き、コボルトがピンク色の舌をちろりと出したまま顔を上げた。布に針を留め、戸口に向かって口を開く。
「にーにー、おっきしたー」
たたたっと足音が近付いてきて、部屋の中に小麦色のコボルトと兄のクレフが入ってくる。
「気が付いたか、ハシェ」
「……兄さん」
「ここは森番小屋だ。この子が魔女のエンツィアン、こっちがシュネーバルだ」
クレフの大きな手でハシェが頭を撫でられている間に、小麦色のエンツィアンがベッドによじ登ってきた。
「よし、診察する。痛いところとか苦しいところはない?」
「特に……」
「ええと次は触診するから、クレフ布団めくって」
クレフに手伝って貰って掛け布団を足元に寄せたエンツィアンが、ハシェの顔から順に触れていく。肉球がふにふにしていて気持ちいい。
「手もちゃんと動くね」
「うん。あれ? この指輪なに?」
いつの間にか右手の人差し指に指輪が填まっていた。透明な中にきらきらと虹色が混ざっている不思議な指輪だ。
「幸運魔石の指輪だよ。着けててね。次は脚動かしてみて。エンツィアンが触ってるの解る?」
「んー、左脚がなんか……動きにくい、かも。痺れてる」
エンツィアンに触れられている感覚も鈍い。
「左足を沼蛇に噛まれたから。少し麻痺が残った」
ハシェの脚をエンツィアンの前肢が撫でる。
「治らないのか?」
心配げに問うクレフに、エンツィアンはふるふると頭を振った。
「良くはなる。でも時間かかる。旅に戻るのは駄目。このままで長時間歩く生活は、身体に歪みを起こしていずれ腰も右足も悪くなる。まずは療養」
「定住する所なんてない」
「入院って昨日言った。クレフも過労気味だから。はい、お布団戻していいよ。それから、解毒のお薬飲んで」
半身起き上がって、背中を枕にもたせかけたハシェに、クレフが「薬だ」とマグカップを渡してきた。ほんのりと温かい薬草茶だ。
「ラルスの薬だから、飲みにくくはないと思う」
「ん」
薬草の匂いは感じるが、普通に飲める味だった。
「お薬飲んだ?」
そこにハシェが初めてみる青年が顔を出した。手に持っている盆には、干し果物がたっぷり入ったケーキと湯気の立つマグカップが乗っている。ケーキだと、ハシェの尻尾が布団の中でパタパタと動いてしまった。
「口直しにどうぞ。俺は森番のヘルマン」
背が低めで耳の先が尖っているので、採掘族らしい。
「有難うございます。お世話をかけます」
「困った時の森番小屋だから気にしないで」
ヘルマンはハシェの膝の上に盆を乗せた。
「ヘルマン、一寸」
「何ですか?」
居間まで引っ張ってこられ、ヘルマンはクレフを見上げた。
「エンツィアンが俺達を暫くここに留め置く気らしいんだが、いいのか?」
「エンツィアンが必要だと思ったんなら構わないですよ。今はエンツィアンの診療所でもあるんで」
「ああ……。余り金は持ってないんだが、手伝える事があったら言ってくれ」
「手伝って貰う事ですか? ……畑仕事ですかねぇ」
ヘルマンは指先で顎を擦った。今はそれ位しか思い付かない。
「裏に鍛冶小屋もあるんで、鍛冶が出来るのなら使っても良いですよ」
「ナイフなら打てるんだが。漂泊の民の収入源の一つだな。旅先で賃貸の鍛冶場を借りて打って、露店で売るんだ」
「今持っていますか?」
「ああ」
クレフは腰のベルトに着けていたナイフを引き抜いた。
「綺麗ですね」
銀色のナイフは流麗な片刃をしており、握りの部分は黒い革紐で編み込むように覆われている。
「握りの革紐の色は好みで変えられる」
「これなら〈Langue de chat〉でも置いてくれるんじゃないかな……」
「〈Langue de chat〉?」
「シュネーバルのおうちでルリユールです。雑貨も置いてあるんですよ」
イシュカやエンデュミオンが良いと思った物は棚に置かれて売られる傾向にあるので、インクからシュネーバルの幸運の栞まで置かれている。売っていると大っぴらに知らせてもいないので、棚やガラスケースの中を覗いた客のみが買えるのだ。
「明日エンデュミオンが来ますから、見てもらうと良いですよ。適正価格で買ってくれますから」
イシュカもエンデュミオンも、その品物に相応しい価格で買い付ける。決して買い叩かない。
「……何だか、随分とまともなんだな……」
「リグハーヴスは領主様が厳しいですからね」
リグハーヴス公爵は代々不正を嫌う気質だ。それでいて結構柔軟な頭を持っている。
「へるまん」
カチカチと爪を鳴らして足元にシュネーバルがやって来た。ハシェの黒いズボンを引きずっている。
「う」
ヘルマンに向かってズボンの裾を差し出す。
「縫えたの? 早いね」
「う」
ズボンを受け取り、先程まで切れていた裾を確認する。切れていた箇所は裏から似た布を当てて綺麗に繕われていた。しかも繕った部分を覆うように、深い緑色の糸で蔦植物の刺繍が入れてあった。細かい。
「凄いな。有難う」
「うー」
クレフに頭を撫でてもらい、シュネーバルが尻尾をぶんぶんと左右に振る。
「この子も魔女見習いじゃなかったか? 針仕事も出来るのか」
「師匠のヴァルブルガが、魔女でお針子なんですよ」
「ヴァルブルガとは、女性の胸飾りの?」
「多分」
ヴァルブルガは、レース細工のコサージュを作っていた筈だ。
「もしかして〈Langue de chat〉は凄い店なのか?」
「変わってはいますかね、少し」
一寸、元大魔法使いがいたり、魔女とコボルト織の織り子がいたり、ケットシーとコボルトが複数居たりする位だ。ヴァイツェアと〈暁の旅団〉の継嗣が居たりもするが、それが些細に感じる程だ。
ヘルマンはハシェのズボンをきちんと畳んでクレフに手渡した。
「もう少ししたら夕食にしましょうか。苦手なものはありますか?」
「いや、俺もハシェも、大抵のものは食べられる」
「しゅねーばるも!」
ぴょん、とシュネーバルが跳ねる。
「シュネーバル用の椅子を出さないとね」
シュネーバルが遊びに来るだろうと、子供用の椅子を用意していたのだが、普段はエンツィアンのだけ出していて、もう一脚は食料庫に置いてあるのだ。
「うー」
ひしっとシュネーバルがヘルマンの脚に抱き付く。可愛い。
そっとシュネーバルを抱き上げてクレフに近付けると、腕にしがみついた後、肩まで登っていった。肩の上に腹這いになって、クレフに頬擦りしはじめる。
「おい」
「夕食の準備出来たら呼びますから。シュネーを頼みます」
台所で足元にシュネーバルがいるのは怖いので、クレフに面倒を見て貰おう。
そそくさとヘルマンは台所へ向かった。
夜遅く、〈Langue de chat〉に一通の精霊便が届いた。
「エンデュミオン、手紙だよ」
孝宏から手紙を受け取ったエンデュミオンは、封筒を爪で開いた。
「誰から?」
「エンツィアンだ。シュネーバルに何かあった訳ではないな。明日シュネーバルを迎えにいく時に、薬草茶を買ってきて欲しいと書いてある」
エンデュミオンは同封されていた処方箋を孝宏に見せた。見せられても黒森之國語なので、孝宏にはすぐには読めない。
「沼蛇の解毒剤か……。 地下迷宮で何かあったかな?」
シュネーバルには、ヴァルブルガとラルスが一通りの薬を持たせている筈だ。
「この量だと、後遺症が出たか」
沼蛇の毒にやられて森番小屋まで運ばれたのなら、少なからず毒が回っていただろう。
しかし、手紙で頼んでくる位なので、命に別状はなさそうだ。
「きゅーぅ」
子供用のベッドで、火蜥蜴のミヒェルと既に横になっていた木竜のグリューネヴァルトが拗ねたように鳴いた。
眠いので早く明かりを消して欲しいらしい。
「解った、もう寝るよ」
エンデュミオンは封筒に戻した手紙を枕の下に入れて、頭を乗せた。
「消すよー」
孝宏が鉱石ランプに手を伸ばし、明かりを消した。
翌日エンデュミオンは、ラルスに調薬して貰った薬を持って、森番小屋に〈転移〉した。
シュネーバルの近くを選んで〈転移〉をしたのだが、出たのは小屋の中だった。いつもなら居間にヘルマンやエンツィアンが居る事が多いのだが、今日は誰も居なかった。
「静かだな。ヘルマン達は畑かな?」
エンデュミオンはとことこと歩いて、シュネーバルの気配がある小屋の奥へ向かった。
「ここか」
エンデュミオンが通れる位にドアを開けてある部屋があった。
「お邪魔するぞ」
部屋の中に入ると、ふわりと薬草の匂いがした。ベッドが盛り上がっているので、誰か寝ている。
エンデュミオンはベッドの脇に置いてあった椅子に上った。
「ふむ」
ベッドに寝ていたのは銀の筋の混じる黒曜石色の髪の人狼だった。孝宏と同じ位の背格好で、歳も同じくらいだろう。少し呼吸が荒いので、熱が高いのかもしれない。
その人狼の隣で、シュネーバルが寝ていた。
エンデュミオンは前肢を伸ばし、肉球で人狼の頬に触れてみた。やはり熱い。
「……ケットシー?」
エンデュミオンの気配に気付いたのか、人狼が目を覚ます。
「エンデュミオンだ。喉は乾いてないか? 水を出そう」
エンデュミオンは〈時空鞄〉から水筒を取り出した。ベッド脇の小物箪笥の上に置かれていたコップに中身を注ぎ、硝子のストローを挿して口元に運んでやる。
「精霊水に薄荷の葉とベリーを浸しておいたものだ」
「有難う」
一口飲んで、人狼が微笑む。
「……すうっとする。美味しい」
「熱があるなら、水分を摂らないと。えーと」
「僕はハシェ」
「ハシェか。ヘルマンとエンツィアンは畑か?」
「うん、兄さんも。兄さんの名前はクレフ」
シュネーバルは連絡用に残っていたのだろうが、寝てしまったらしい。まだ幼児なので良く寝るのだ。
「お?」
バタンと玄関のドアが勢い良く開く音が聞こえ、誰かが走ってくる。
「うう?」
むくりとシュネーバルが起き上がって前肢の甲で目を擦った。
「ハシェ!」
現れたのはハシェより年上の人狼だった。エンデュミオンを見て青灰色の目を丸くする。
「やあ、エンデュミオンだ。クレフか?」
エンデュミオンは尻尾を上げて挨拶した。前肢にはコップを持っていたので。
「エンデュミオン? 突然魔力の塊が出現したから驚いたんだ」
「ここまで歩いて来るには遠いからな、〈転移〉してきた。ほら、ハシェもう少し飲め」
「うん」
ハシェが飲む精霊水を、クレフが指差した。
「水か?」
「精霊水だ。浄化作用があるから解毒も進む。樽で持ってきたから飲み水に使うといい。金は要らんぞ」
「有難いがいいのか?」
「〈黒き森〉には何ヵ所か〈精霊の泉〉があるんだ。リグハーヴス側のものはケットシーが管理してるからな、運んでくれるように頼んでおく。定期的にここにケットシーが来ているみたいだからな」
ヘルマンとエンツィアンが、訪れるケットシーの毛繕いをしているのは、エンデュミオンも知っていた。なにしろ、エンデュミオンの温室とケットシーの里は繋がっているのだ。
「沼蛇の毒にやられたのはハシェか。後遺症が出たのか?」
「左脚に麻痺が残った」
「ふうん。ケットシーの里に温泉があるから、浸からせてもらえ。エンツィアンに連れていって貰うと早い」
森番小屋からだと森の中を歩かないとならないが、エンデュミオンの温室経由ならすぐだ。
エンデュミオンは、クレフの指にある幸運魔石の指輪に視線を走らせた。
「シュネーバルに幸運魔石を貰えたか」
治療効果を上げる為にエンツィアンが作らせたのだろうが、シュネーバル自身もハシェとクレフに懐いているようだ。元々人狼とコボルトは友好度が高い。
「そういえばヘルマンがこれをエンデュミオンに見せろと言っていたんだが。その、俺が打ったナイフだ」
クレフがナイフを鞘ごとエンデュミオンに差し出した。
「ほう」
エンデュミオンはコップを小物箪笥の上に置き、ナイフを受け取った。鞘からナイフを抜き取り、角度を付けて刃の出来を見る眼差しは真剣だ。
「良い物だ。握り部分の革細工も素晴らしい。銀貨五枚でも売れるだろう」
「そんなに高く?」
「イシュカは雑貨に関しては儲けを考えていないから、委託販売みたいなものなんだ。銀貨五枚で仕入れたら銀貨五枚で売るんだ。つまり、売値で買い取る。冒険者も買うだろうが、息子への最初のナイフとしても売れそうだ」
黒森之國では、生まれた男児にナイフを贈る慣習があるのだ。良い物を選べば一生使える。
「漂泊の民の作ったものだぞ。そんな値段で売れるのか?」
「ナイフは護身用のものだろう? 昔は漂泊の民が作るものは、悪運を吸い取ると言われたものなんだがな。ナイフや金属の胸飾りなんかが有名だったんだ。女の子へのお守りに、魔石ビーズの首飾りとか」
ぽしぽしとエンデュミオンは前肢で頭を掻いた。エンデュミオンが言う昔とは百年単位の昔だろう。
エンデュミオンは頭の毛が跳ねたのを気にせずに、ナイフをクレフに返す。
「これを打ってくれるなら、イシュカに銀貨五枚で買ってもらう。定期的に欲しいから、クレフ達に移動されると困る。アルフォンスに定住許可証を発行してもらおう」
「アルフォンス?」
「リグハーヴスの領主だ。現在の領主はアルフォンス・リグハーヴス公爵だ。シュネーバルの指輪をしていれば、一般的な者より幸運値は高いくらいだ。定住しても問題ない。そもそも漂泊の民は不運を他人に押し付けないだろうに」
不運なのは漂泊の民本人なのである。天災に関しては漂泊の民の責任では無い。しかし、そういったものの責任を負わされたからこそ、彼らは定住出来なくなった歴史があるのだが。黒森之國に漂泊の民が定住してはいけないと言う法律はない。
「漂泊の民が近くに住むのは好まれないと思うが」
「ここに住めないのか? 街から離れているし、ヘルマンとエンツィアンの護衛も兼ねて。森の端に暮らしている割には無用心だからな」
ヘルマンは剣より鍬を持っているので、戦闘能力は高くなさそうだし、エンツィアンは魔法が使えるが身体が小さい。
「確かにそうだが……」
ゆらゆらとクレフの垂れた尻尾が揺れる。
「ヘルマンに聞いてみるか? シュネーバル、ハシェと居てくれ」
「う!」
シュネーバルが返事をして、ハシェに抱き付いた。
「ハシェは熱があるから、寝かせてやれ」
「う! ……にゃにゃん、にゃーん」
シュネーバルがハシェの頭を撫でながら、ケットシー言語で子守唄を歌い始める。コボルトなのに何故ケットシー言語なのかと言えば、ヴァルブルガがシュネーバルを寝付かせる時に歌っているから覚えたのだろう。
「よいしょ」
エンデュミオンは椅子から飛び下り、クレフの前に立って歩く。そして森番小屋を出てから、クレフの膝をぽんと叩いた。
「無理に地下迷宮に入って寿命を縮める事はない。鍛冶師の方が長生き出来る」
「……解っている。今の生活では俺は兎も角、ハシェの身体に負担が大きい」
頑健な人狼の中にも弱い個体は生まれる。ハシェは生まれつき小さく弱い。クレフだって出来る事なら安全な場所で弟を育てたい。
「先程のナイフをアルフォンスに見せたら、二つ返事で定住を許可してくれる。あれは見る目があるからな」
腕のいい鍛冶職人が領内に来たのに、わざわざ手放すような勿体ない事はしないだろう。
小屋の近くにある畑では、ヘルマンとエンツィアンが畝を作っていた。エンデュミオンとクレフを見て、ヘルマンが片手を上げた。クレフの尻尾の揺れが明らかに大きくなる。
「やっぱりエンデュミオンだった」
エンツィアンが白色の巻き尻尾を振って笑顔を見せる。
「薬と精霊水を持って来たぞ。ハシェの体調が落ち着いたら、温泉に連れて来い。今は少し熱が高かったな。精霊水を飲ませて来た」
「助かる。様子を見て、熱冷まし処方する」
水の精霊に頼んで手を洗い、エンツィアンは森番小屋へ走って行った。
「なあ、ヘルマン」
エンデュミオンがヘルマンを手招きする。ヘルマンは鍬を畑に突き刺し、手についた土を払った。
「何だい?」
「エンデュミオンはクレフとハシェに定住許可証を出して貰えないか、アルフォンスに頼もうと思うんだが、森番小屋に住まわして貰ってもいいか?」
「構わないよ。たまにテオとルッツが遊びに来る以外、泊まる人なんてほぼいないからね。父さんも日帰りが多いし」
ヘルマンは即答した。
森番小屋まで来れば森を抜けたのと同じだ。馬車や馬を森番小屋に預けていたとしても、それらを受け取ったら冒険者達はこの先にある村やリグハーヴスの街を目指す。きちんとした宿があるからだ。
「ならば話は早いな。アルフォンスの所に行ってくる。そうだ、薬と精霊水を出していなかった」
エンデュミオンは薬草茶の袋と精霊水の樽を〈時空鞄〉から取り出し、ベンチの上に置いた。樽はヘルマンが抱えて持てる程の大きさの樽で、注ぎ口付きなのが有難い。
「これから領主様の所に行くの? シュネーのお迎えに来たんじゃないの?」
「後でもう一回来るが、シュネーバルはハシェの熱が下がるまでここに居ると思うぞ。家に帰っても心配だろうからな」
小さいがあれでも魔女見習いだからな、とエンデュミオンは笑みを浮かべ〈転移〉していった。
ヘルマンとクレフは顔を見合わせた。
シュネーバルのお泊りはもう少し続きそうだ。
弱っている人の傍に寄り添うシュネーバル。
実はシュネーバルは、自分が他人に幸運を与えている事に無自覚です。