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森番とコボルト(上)

ルリユール<Langue de chat>は、製本及び痛んだ本の修復を致します。店内には素材の見本の他、製本後の本の見本もございます。本の試し読みも出来ますので、詳しくは店員にお訪ね下さい。

朝からコボルトがやってきます。

240森番とコボルト(上)


 四角くて深い耐熱皿に卵を割って溶き、少しの砂糖と肉桂シナモンを入れ、牛乳ミルヒを足す。カシャカシャとフォークで混ぜて、一口大に切った硬い黒パンシュヴァルツブロェートゥを投入する。耐熱皿の中でパンを転がし卵液に染み込ませてから、レーズンを散らす。

 森番小屋の管理人をしているへルマンは、食料は定期的に軽量配達人か一番近い村に住んでいる家族に届けて貰っている。パンは自分でも焼けるが、どうしても残るパンは固くなる。

「甘いのか?」

「ああ。食べる時に糖蜜や楓の樹蜜を煮詰めた物をかけると、美味しいそうだぞ」

 作業台の上でパンプディングを作る作業を見ていた緋色の火蜥蜴サラマンダーリンケに答え、へルマンはオーブンに耐熱皿を入れた。ペタペタと移動してリンケもオーブンに入る。

 森番小屋の裏には煉瓦建てのパンを焼く用と鍛冶用の窯場があるので、祖父の代からリンケが棲みついている。そちらの窯を使っていない時は、大抵台所のオーブンにいるリンケだ。

 パンプディングはへルマンの友人である軽量配達人テオに聞いたレシピで、テオは同居人の孝宏たかひろに教えて貰ったそうだ。

 トントン。

「ん?」

 森番小屋のドアが叩かれた。今日はへルマンの父親ホルストが肉類や野菜を持ってきてくれる筈だが早すぎる。そもそもホルストなら、勝手に入ってくる。

「リンケ、パンプディングを頼むな」

「任せろ」

 オーブンの中からリンケが答える。自分も食べる物なので、焦げないようにきっちり焼き具合を見ていてくれるので助かる。火蜥蜴は食べ物に煩い。

「はーい」

 へルマンは台所から居間に出て、ドアを開けた。

「ん?」

 一瞬誰も居ないのかと思ったが、足元に気配を感じて視線を落とす。

「頼もう」

 そこには青緑色の魔石の填まった杖を持った小麦色のコボルトが立っていた。フードの縁にふわふわの毛の付いた外套を着ている。杖も翼のある細い蛇が巻き付いている意匠なので、回復系のマイムエルムと魔石の色から氷の精霊(アイス)魔法が得意そうだ。

 コボルトはへルマンの膝より少し大きい位なので、平均的な成体だろう。

「ここはリグハーヴス側の〈黒き森〉の森番小屋だよ?」

「うん、解ってる。聞きたい事があるんだ」

「寒いから中にどうぞ」

有難う(ダンケ)

 ドアを支えるへルマンに礼を言って、コボルトが小屋の中に入ってくる。今日は雪が降っていなくて幸いだった。昨日へルマンが雪掻きしたあと、雪が積もっていなかった。もし雪が降っていたら、コボルトの下半身が埋まっていただろう。

「座って」

「うん」

 コボルトは外套を脱ぎ、布張りのソファーの上に杖と一緒に置き、その隣によじ登って座った。へルマンは向かいのソファーに手帳と鉛筆を持って座る。

「俺は森番のへルマン。聞きたい事ってなんだい?」

「ツヴァイ。末の弟を捜している。ハイエルンのコボルト解放令が出たから漸く捜せるようになった」

「弟って言うと北方コボルトだよね? 特徴は?」

「とても可愛い」

 真顔でコボルトが言い切った。

「……うん、可愛いんだね。それ以外で特徴ないかな、毛色や何処かに模様があるとか、居なくなった時の身体の大きさとか、通り名だね」

 鉛筆の尻でこめかみを掻き、辛抱強くへルマンは訊ねた。

「居なくなった時、まだ産まれて一年経ってなかった。ツヴァイのこの位しかなかった」

 この位、前肢で示したのは赤ん坊の大きさだった。保護されていなければ生き延びるのには難しい大きさだ。

 ところで、ツヴァイというのはこのコボルトの通り名だろう。恐らく二番目に産まれたに違いない。

「身体の色は白くて、目は紅茶色だった。だから通り名はシュネーだった」

「んん? それって幸運グリュック妖精フェアリーか?」

「人族はそう呼ぶらしい」

 比較的最近現れた白くて小さなコボルトに、へルマンは心当たりがあった。

 へルマンはこの森番小屋から殆ど移動しないのだが、友人であるテオとルッツは定期的に来て泊まっていく事もある。

 ルッツはお喋りで、一緒に住む妖精フェアリー達の話も良くへルマンにしてくれた。

「ツヴァイの弟かどうか断定は出来ないんだが、友人が下宿しているルリユールに白いコボルトが居る。名前はシュネーバル」

 びょん!とツヴァイがソファーから飛び上がった。

「それは何処だ!?」

「待て待て、リグハーヴスの街だからここから行くには少し遠いんだ」

 今にも飛び出して行きそうなツヴァイを、へルマンは慌てて止める。

「シュネーバルは保護されて大切に育てられているから、命の危険はないんで落ち着け。ここに来たことのある妖精に〈転移〉を頼んでやるから」

「うう」

 項垂れたツヴァイの腹が、ぐうーと鳴った。

「食事は?」

「干し肉を齧った」

「腹が鳴るなら大して食べていないんだろう? 俺達はこれから食事だから一緒に食べよう」

 折よく台所から甘い香りと「焼けたぞー」というリンケの声が聞こえた。

「運んで来るから待ってて」

 へルマンはソファーから立ち上がって台所へ向かった。

 オーブンの扉を開けると、熱気と甘い香りがむわりと顔に当たった。

 鍋掴みを使って耐熱皿とリンケをオーブンから取り出す。

「へルマン、客か?」

「ああ、弟を探しているコボルト」

 盆の上の皿にパンプディングを取り分け、楓の樹蜜を垂らす。熱い料理なので、水のピッチャーにミントの葉とレモンを入れた物とコップを盆の上に追加し、へルマンは居間に運んだ。リンケもしっかり盆の端にいる。スプーンが転がらないように押さえてくれていた。

「お待たせ。熱いから気を付けて」

「うん」

 妖精も子供一人分は食べるとルッツで知っている。目の前のテーブルにプディングの皿を置かれたツヴァイの白い尻尾が左右に揺れた。身体は小麦色なのだが、尻尾だけが白いのだ。

 チラチラと少しだけツヴァイの皿に雪の結晶が降った。

「今日の恵みに、月の女神シルヴァーナに感謝を」

「今日の恵みに」

 熱々で甘いパンプディングは美味しかった。プチプチとするレーズンも良い。時々水で舌を冷やしつつ食べ終え、食器を台所に片付けたへルマンは紙とペンを用意した。

「テオとルッツが良いんだが、仕事で何処に行ってるか解らないんだよな……」

 流石にあの二人がいつ仕事に行っているか、へルマンは知らない。

 へルマンが直接会った事のある妖精は少ないのだ。

「仕方がない御大おんたいにお出まし願おう」

 へルマンは手紙にシュネーバルを捜していると思われるコボルトが居るので、〈Langue(ラング) de() chat(シャ)〉に案内して欲しいと書いた。封筒にギルベルトの名前を書いて手紙を入れ封をし、ドアを開けて風の妖精(ウィンディ)に配達を頼んだ。お駄賃をあげると喜ぶとテオとルッツに聞いていたので、飴玉ボンボンを風の妖精に渡した。手紙を持って飛び立っていく風の妖精を見送り、へルマンはドアを閉めた。

「これで長くても半日位まてば、連絡が来る筈だ。それまでここでゆっくり待ってな」

「うん」

 頷いたツヴァイは前肢で目を擦って欠伸をした。

「疲れてるんだろ? 客間があるからベッドで寝な」

「うん……」

 返事はしたものの、ツヴァイはそのままころりとソファーに横になってしまった。スピースピーと寝息が聞こえる。

「風邪引くから運ぶぞー」

 一応断って、へルマンはツヴァイを抱き上げて客間のベッドに運んでやった。森番小屋は避難小屋でもあるので、常に客間は用意してある。

 ツヴァイの靴を脱がせて上掛けを掛けてやり、ドアを開けたままで部屋を出る。小屋の中は暖かいし、知らない場所なので、ドアは閉まっていない方が良いだろうと思ったのだ。

「へルマン、あの子もかなり若い子だぞ」

 居間に戻ったへルマンにテーブルの上にいたリンケが言った。

「そうだろうなあ」

 満腹になった途端に眠るなど、人の子供と同じだ。

「一人でハイエルンからこんな場所に来るなんてなあ。あ、杖を忘れてた」

 ソファーの上にツヴァイの外套と置いたままだった。

「どれ、リンケもあの子の傍に居よう」

「宜しく」

 へルマンは杖と外套とリンケを、ツヴァイが眠るベッドの足元に置いてやった。身体が小さいので、ベッドの大半は使われていないし、邪魔にならないだろう。

 リンケはのそのそとツヴァイの枕元に移動して丸くなった。

 ギルベルトに手紙が届くのと父親のホルストが来るのとどちらが早いかと思いつつ、へルマンは茶碗を洗う事にした。


 冬の森番小屋は暇である。

 冬場は地下迷宮ダンジョンが閉鎖されるので、通り掛かる冒険者もいないからだ。地下迷宮に入る冒険者も、一応森番小屋で記名をする決まりだが、最低限地下迷宮入口の管理小屋での記入でも許されているので、へルマンの小屋のドアを叩く真面目な冒険者は少ない。

 ちなみに森番小屋で記名せず、地下迷宮入口の管理小屋に辿り着く前に森で迷子になった場合は捜索されない。初心者こそ森番小屋で記名をするべきである。

 朝食の食器を洗ったへルマンは、音を立てないようにして、簡単に部屋の掃除をした。それから早めに昼食作りに取り掛かった。ツヴァイもいるし、昼にはホルストが来るからだ。

 食料庫から夏に作っておいたトマトソースの瓶と乾燥パスタが入った缶を取り出す。木箱から玉葱も二つ。使い掛けの薫製肉ベーコンは、保冷庫にある。

 鍋に細かく刻んだ玉葱と薫製肉を入れて炒め、トマトソースを入れて少し煮込み、塩胡椒で味を整える。ソースを作る時にハーブを使っているので、仕上げ程度で充分だ。パスタは食べる時に茹でれば良い。

 一服しようとへルマンが水の入った薬缶を焜炉に載せると同時に、小屋のドアが勢い良く開いた。

「へルマン、ちゃんと飯食ってるか!」

 現れたのは父親のホルストだった。典型的な採掘族のホルストは、頑健な身体付きで声が大きい。へルマンはどちらかというと母親似で、採掘族の男としては細い方で、身長は高めだ。頭の天辺がテオの肩より少し超える程度だが。

「父さん、寝ている子がいるから静かにしてよ」

「おう、すまん。ルッツ坊やでも来てるのか?」

 ホルストが声を潜めて、抱えていた木箱を台所のテーブルの上に静かに載せた。

「ううん。迷子の弟を捜しているコボルト。朝御飯食べさせたら寝ちゃったんだよ。リンケが一緒にいてくれてる」

「街に送るのなら馬橇ばそり使うか?」

「今知り合いの街住み妖精に声を掛けてるところ」

「そうか。俺がここに何日か泊まっても良いから、お前が付いていってやるといい。〈氷祭〉もやってるしな」

 笑ってホルストは木箱から、運んできた野菜や肉を取り出した。へルマンと二人で保冷庫や食料庫に肉や瓶詰めをしまい込み、沸いたお湯で紅茶シュヴァルツテーを淹れて飲む。

「摘まむものないか?」

「はいはい」

 へルマンは焼き菓子を入れている缶を開けて、干し果物がどっさり入った褐色の細長いケーキを取り出した。へルマンの母方に伝わるレシピで作ったジンジャーケーキだ。

 へルマンが子供の頃は両親と兄とこの森番小屋に暮らしていた。その頃にへルマンは森番を継ぐと決めたので、家事は一通り母親から教わっている。

 今、両親は祖父母が暮らす村に移り、兄はリグハーヴスの街の腕利き鍛冶屋の弟子になった。既に職人になっているが、工房の娘と結婚が決まっており、そのまま親方の跡を継ぐらしい。

 ジンジャーケーキを厚く切って、ケーキ皿に二切れ載せてやる。

 採掘族には珍しいのだが、ホルストもへルマンも余り酒は飲まないのだ。その代わり、お茶の時には菓子を好む。

「美味そうだな」

 ホルストはフォークでケーキを刺して、一口で半分齧りとった。

「うん、美味い」

「食べ過ぎると昼飯入らないよ」

「大丈夫だ」

 ホルストはへルマンより良く食べる。

 ポンッと音がして、居間にギルベルトが現れた。

「へルマン、呼んだか?」

「来てくれたんだ、ギルベルト」

「その方が早い」

 とことこと台所にやって来たギルベルトに、ホルストは目を剥いた。

「おい、へルマン……」

「元王様ケットシーのギルベルトだよ。こっちは俺の父のホルスト」

 失礼な事を口走る前に、ホルストにギルベルトを紹介する。

「ギルベルト!」

「ホ、ホルストだ」

「ギルベルトは薬草採取家のリュディガーに憑いているんだ」

「そ、そうか」

 大きなケットシーのギルベルトを初めて見る人は大抵吃驚する。大きいケットシーは王様だからだ。

「コボルトは?」

 きょろきょろとギルベルトが辺りを見回す。

「疲れていたみたいで、今は客間で寝てるんだよ」

「ふうん。待ってる」

「そろそろお昼だし起こしてくる。ギルベルトも食べていくか?」

「うん」

 へルマンはホルストの隣の椅子に座ったギルベルトに、お茶とジンジャーケーキを出してやってから、客間にツヴァイを起こしに行った。

「おー、可愛いな」

 ツヴァイはリンケに抱き付いて寝ていた。リンケが暖かいからだろう。

「ツヴァイ、お昼だぞ」

「ごはん……」

 寝惚けている。額をリンケの腹に擦り付けているが、火蜥蜴は黙って尻尾でぺしぺしとツヴァイの腹を上掛けの上から叩いた。

「お昼ご飯もだけど、街から呼んでた案内人も来たんだ」

「街!」

 勢い良くツヴァイが起き上がった。そして部屋を見回し首を傾げる。

「どこ?」

「森番小屋の客間だよ。さっきソファーで寝ちゃったから運んだの」

「有難う」

「ほい」

 へルマンはツヴァイを抱き上げて、床に下ろしてやった。カチカチと爪音を立ててツヴァイが居間へ走っていく。すぐに「わうー!?」と言う叫び声が聞こえた。ギルベルトを見たのだろう。

「へルマン、運んでくれ」

「はいはい」

 リンケをベッドカバーの上から掬い上げて肩に乗せる。自分で〈転移〉も出来る癖に、へルマンに運ばせるのが好きな火蜥蜴である。

 へルマンが台所に着いた頃には、ツヴァイはギルベルトの膝の上に座り、肉球で頭を撫でられていた。カチカチになったまま、ツヴァイがへルマンを見上げた。

「なんで王様……?」

「ギルベルトは元王様なんだよ。俺の知り合いの街住み妖精って、配達人のケットシーかギルベルトだけなんだよ」

 結構極端だとは思うのだが、そもそも妖精憑き自体少ない。

「ギルベルトはシュネーバルにも会っているし」

「うん、シュネーバルと似た匂いだな」

 フンフンとギルベルトがツヴァイの匂いを嗅ぐ。へにょ、とツヴァイの耳が伏せる。

「お昼ご飯食べてから街に行こうか。俺も連れていって貰っていいか? ギルベルト」

「構わない」

「だけど泊まるところないか」

 冬のリグハーヴスの宿屋は、雪が解けたら地下迷宮に潜る冒険者達が逗留している。

「〈Langue de chat〉に泊めて貰えば良い。テオとルッツの友人なのだから平気だ」

「まあ泊まれなければ送ってくれ」

 へルマンは鍋でお湯を沸かし、ギルベルトやツヴァイがスプーンやフォークでも食べやすいようにパスタを短く折って茹でた。

 湯で上がったパスタのお湯を切って皿に盛り、温め直したトマトソースをたっぷり掛ける。

「チーズいる人は?」

 さっと全員手を上げる。特にツヴァイは目がキラキラしている。チーズが好物らしい。

 おろし金でおろしたチーズをトマトソースの上からたっぷり掛けてやる。

「今日の恵みに!」

 食前の祈りを皆で唱え、フォークを取る。

「うまー」

 へルマンの隣の椅子に木箱とクッションを敷いて座ったツヴァイが、ペロリとピンクの舌で口元を舐める。

「へルマンは料理が美味い」

 時々薬草採取に来る度に、リュディガーと森番小屋に寄っているギルベルトがふさふさの尻尾を立てて満足そうにパスタを口に運ぶ。

「こいつはうちのかみさん譲りでな。お陰で森番小屋に来ても美味いものが食える」

 ミントとレモンを入れた水を飲み、ホルストが豪快に笑った。

 昼食のあとの食器洗いはホルストに任せ、へルマンは持っていく着替え等を鞄に用意し、ジンジャーケーキを一つ蝋紙とざら紙に重ねて包んだ。

 ツヴァイと一緒に外套も着込んでから、ギルベルトの待つ居間に集まる。ギルベルトは室内から来たらしく、外套は着ていなかった。

「お待たせ、ギルベルト。父さん、行ってくるよ」

「〈氷祭〉で転ぶなよ」

「では行こうか」

 足元に銀色の魔法陣マギラッドが広がる。

「おっきい転移陣」とツヴァイの驚いた声が聴こえ、目の前が一瞬銀色の光に包まれ──知らない店の中に立っていた。

「え……?」

 革とインクと甘い香り。目の前には一枚板のカウンターがあり、右手には綺麗な色の革表紙の本が並んだ足付きの棚が置かれている。

「ここは〈Langue de chat〉だ。エンデュミオン!」

「ギルベルトか?」

 カウンターの背後にある開いたドアの間口から、鯖虎柄のケットシーが出てきた。

「ん? 客を連れてきたのか」

「テオとルッツの友人の森番のへルマンと、シュネーバルを捜しに来たコボルトのツヴァイ」

「シュネーバル?」

 エンデュミオンは近付いて来るなりツヴァイの匂いを嗅いだ。

「ふむ、確かに似ているな。今シュネーバルはイシュカとヴァルブルガと温泉に行っているんだ。テオとルッツと一緒にな」

「あ、今日は二人とも居たんだ」

「しかもかなり近い場所に居たな」

 ニヤリとエンデュミオンは笑った。近い場所、の意味は解らなかったが、エンデュミオンはへルマン達を前肢で招いた。

「まあ、ゆっくりしていけ。へルマンもツヴァイもうちに泊まっていくといいだろう」

 くるりと背を向けエンデュミオンが奥に歩いていく。ギルベルトもエンデュミオンについていくので、へルマンとツヴァイも後に続いた。


テオとルッツの友人の森番ヘルマン。森番の前任者は父親のホルストでした。

エンデュミオンと面識がないのは、エンデュミオンは孝宏を連れて森を出る時、森番小屋を避けたから。

最初の頃は猫を被って、普通のケットシーのふりをしていたりします。すぐに化けの皮がはがれている……。


ツヴァイの正式な通り名は「魔女の二番目ツヴァイの息子」。新米魔女のツヴァイです。

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