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異世界に行く羽目になった死んだフリの天才  作者: ブルータス
成長編
38/68

冒険者ギルド 5

(いやぁ、受付嬢にステータス見られなくてよかったー。見られたら"強力な魔具持ってます設定"でごり押ししないといけないからなー)


「うーん、これ以上やったら金目のもn…慰謝料が無くなっちゃうなー」


パチンッ


パリンッ


ミストが指を鳴らした瞬間、ウォルスを覆っていた黒い何かでできた棺のような物が音を立てて崩れる。


ドサッ


完全にそれが無くなったことで中が露わになり、黒コゲのウォルスが力なく崩れ落ちる。

その姿にはミストに絡んだ時の威圧感は欠片も無くなっており、


"無惨"


この一言につきた。


しかしミストは全く気にせず、


ガサガサッ


「あーあ、いろいろ焼けちゃってるよ。……おっ!この剣なかなかの業物だな。これと、財布で許してやるか」


「ま、待ってください!大佐さん、武器まで奪うのはいくら何でもやり過ぎです!」


ウォルスの焦げた衣服を漁って財布を抜き取り、剣まで持って行こうとする。

これにはさすがに受付嬢も止めに入った。

が、


「えっ、でも身ぐるみ全部差し出したら許すって約束なんで。というかギルドは不干渉じゃないんですか?」


「ぐっ、しかし武器を奪ったら彼は冒険者として働けなくなってしまいます。そうなったらギルドの不利益となるので止めてください!」


「えー、でも武器返したら絶対根に持って"し返し"してきますよ、こい…この人。だったら後腐れの無いように殺s…」


「あー!もういいです!」


しつこく食い下がるミストに受付嬢は説得を諦めた。

しかし、その選択は正しかった。

何故なら武器を返した場合、次の日には裸のウォルスの死体がスラム街に転がる羽目になっていたのだから。

ミストは嬉々として剣とウォルスの財布を【空間収納】にしまう。

それに受付嬢が食いつく。


「それ、アイテムボッk……いえ、さっきのナイフの時に使った空間の魔導具ですか。まったく、大人しそうに見えてとんだ狸ですね。もしかしてマッシュさんを暴れさせたのもあなたですか?」


なかなかに核心を突いた質問だな。

アレはバレるとヤバいし、実は質問の答えになってない上に虚実織り交ぜた解答で(とぼ)けとこう。


「えっ?さすがにそのレベルの魔具は持ってないですよ。まぁ、タイミング的にそう思ってもしょうがないですね。あんな事が出来るなんて【洗脳】とかですかねー」


「そう、ですね。しかし【洗脳】だったらマッシュさんの意識が正常だったのはおかしいですし……ギルドマスターには【洗脳】の派生スキルによる物と報告することにします。貴重なご意見をありがとうございました」


ギルマスに報告とか、絶対逮捕(パク)る気だっただろ!

しかし、さすがは【究極偽装】。

全く疑問に思われんかった。

絶対バレねえな、これ。


「ーーところで、

僕はランクアップできそうですか?」


「は?」


ミストがこの決闘もどきの本来の目的について聞くと、エリザ(受付嬢)は一瞬何を言ってるのかわからないという顔をした後、ハッとした顔になってから言った。


「あ、ああ、ランクアップですね。Dランクのウォルスさんに勝利したので十分な実力があると判断し、貴方をFランクからEランクへ昇格させます。ギルドカードを渡してください」


ミストはギルドカードを渡す。

ミストのギルドカードは例の魔道具に差し込まれ、エリザが受け付けの引き出しから出したキーボードで何かを打ち込むと、登録の時のように魔道具が光った後にギルドカードが外れた。


ボワッ

ガチャッ


「これであなたEランク冒険者です。以後、ランクを上げる為に他の冒険者と争う事は無いようにお願いします」


神妙な顔で言われてもなー。

俺は悪くなかろう。


「あっちから何もしなければ何もしませんよ」


「ハァ、そうですか」


エリザは予想のついていた解答に溜息を吐いた。



-------------------------



ミストとララは冒険者ギルドを出てエリザに勧められたいくつかの店の一つである服屋に向かっていた。

理由はララの服があまりにもボロかったからである。


「ごs…大佐。あの『裸王(ラオウ)』って魔剣は結局、本当に持っているんですか?」


やっと聞けそうな場所に来たのを確認し、ララはずっと気になっていた事をミストに尋ねる。


「あ、やっぱり『裸の王様』知ってる?想像通りあれは反発の磁力を剣の形にした物で受け止めただけだよ。ついでにナイフは空間魔法で出した物を磁力で飛ばしただけで、最後のは大罪系スキルの【黒装】を使った【雷魔法】と【磁魔法】を合体させた物だ。それっぽかっただろ」


ミストは自慢げに説明する。

しかし、現実は残酷だった。


「なるほど。

あ、最後のはちゃんと『破道の九十』って言えてればそれっぽかったです。あれのせいで台無しでした」


「クソぉぉおおおおッッ!!!九十だったのか!!!

あ、でも九十二って言わなくてよかった、チクショウッ!」


そんなこんなで服屋に到着した。



さ、作者はちゃんと九十ってわかってましたからっ!

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