石ころが磨けば光った件
服屋に着いた。
しかし、俺はある事に気付いた。
気付いてしまった。
「服、要らなくね?」
「何言ってんですかッ!?要りますよ!要るに決まってるでしょうッ!ご主…大佐も自分の眷属の裸が他人に見られるの嫌でしょうッ!」
「え、でも俺の幻覚で見えなくすればよくない?俺以外に。……あ、やっぱいいわ。裸に対する興味も微妙だし、幼女とかさらに興味無いし」
「幻覚で決定っ!?やめてくださいよッ!そんな事になったら自殺しますよッッ!!!」
「しょーがないなー。どんな服でも文句言うなよ」
転性者のこいつが女物の服を着るわけがない事を。
ついさっき解決したが。
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「これ、着るんですか……?」
客がミストとララだけしかいない服屋の中で、ララは世界の終わりのような表情を浮かべていた。
おそらく先ほどの会話がこの時の為のものと気付いていない。
ララの目の前にあるのはフリルの付いた女物の服の数々。
転性者のこいつには受け入れがたいだろう。
それを着なければならない状況を作る為に全裸と言い出してから文句を言わない事を条件に譲歩したフリをしたのだ。
案の定、効果は抜群。
こいつは嫌々だろうが全裸が嫌だから着るしかない。
自分の目的を達しながら恨ませず、恩を売りつける。
ミストは二年間で冒険者ギルドの件でもわかるように謀略的な才を開花していた。
自分の運命なんか確定してるのにララはなかなか服に手をつけない。
すかさずミストは追撃する。
「あ、ごめん。やっぱ女物は嫌だよね」
『全裸にしよっか?』
耳ではなく頭に響くように幻覚を使う。
そうする事でララは、「幻覚」による物ではなく暗にそう匂わせている風に感じる。
実にセコい。
「うっ……!せっかく今日まで曖昧な服で過ごしてきたのに……」
渋々試着室に入るララ。
入った瞬間イラっとする笑顔になるミスト。
カシャン
数分でカーテンがスライドしてララが出てくる。
銀色の長い髪、ピョコンと頭の横から生えている銀色の毛で覆われた三角の耳、濁りの無い碧い目、モチっとした白い肌。
……思ったより上玉だった。
完全に並みの服じゃ足を引っ張るような美幼女。
やはり俺の幻覚でピッタリの服を作った方がいいんじゃないかと思えてくる。
フリルの付いた白い服を着た美幼女が遠慮がちに聞いてくる。
「あ、あの、どうですか?ご主人様…じゃなくて大佐」
ヤバいな、「ご主人様」の後が♡だったら危なかったかもしれん。
精神年齢まで5歳だったら確実に墜ちていた。
「あ、うん、いいんじゃない?ただ、服が足を引っ張ってる風に感じるからやっぱり幻覚にするか、もっと高級な服にした方がいいと思うよ」
【究極偽装】によるポーカーフェイスでまったくの真顔で言う。
「服が足を引っ張るって……僕そんなにかわいいですか?……あ、幻覚は論外なので、申し訳ないですが高級な服でお願いします」
ララは俺の言葉に疑問を覚えたようだ。
こいつナチュラルに人の劣等感を煽る系だな、たぶん。
「別に申し訳なく思わなくていいよ。金が無くなったらムカつく商人の金庫奪うだけだし」
「ちょっ!?店の人に聞かれたらどうするんですかッ!」
「………殺る?」
「最悪すぎるッッ!?」
十年後にこの幼女がどんな姿になるか楽しみだ。
光源氏計画、始動!
……俺も幼児だけど。
頑張って具体的にララの容姿を説明してみました。
主人公の容姿を説明する日が来るか?
まぁそりゃいつかはね。




