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柊兄妹の異世界四重奏  作者: ライトニング
Parallel Universe
25/61

Kiri , Famiry Meeting

 ◆◆◆


「また兄さんは突拍子もないことを……」


「ツバ姉、いつものことじゃないですか」


「……うん」


 あれ?妹達の視線が冷たいぞ?


「だって、ちゃんとした話し合いをまだしてなかったろ?」


「それはそうですけど……」


「テンションが……」


「……キモい」


 妹達がすごい辛辣だ。ヤバい泣きそう。


「お前ら本当は俺のこと嫌いだろ?」


「何言ってるんですか。大好きに決まってるじゃないですか」


「桜もです」


「……ウチも」


 そんな当然のように言われても、俺には分からんよ。


「……じゃあ、会議始めます。まず初めに、元の世界に帰りたいか帰りたくないかを聞きたいと思う」


「私は兄さんに着いていくのみです」


「桜もです」


「……ウチも」


 だからそんな当然のように言われても、俺には分からんて。

 ちゃんと自分の意志を持とうぜ、意志を。


「……はぁ、俺は帰る気は無い」


「そうですか。……良かったです。兄さんがもし帰りたいって言ってたら殴ってるところでした」


「桜もです」


「……ウチも」


「恐ぇよ。自分の意志があるなら言ってくれよ」


 そして桜と楓はさっきと同じこと言ってるし。

 適当なこと言ってるんじゃないかと、兄ちゃん疑心暗鬼になっちゃうよ。


「じゃあ、次。あの夢の自称神の元に行くかどうか」


「待って下さい兄さん。あの声は自分を神とは言ってませんよ」


「確かに。じゃあ、仮称神若しくは神(仮)で、そいつの元に行くかどうか」


「行くって、行けるんですか?」


「恐らく」


 ヤツは俺達をここに送る前に、『つまらなく感じたら今度は僕の所に来るといいよ』と言った。

 つまり、自発的にヤツの所に行けると言うことだろう。

 そして、偶然にもここにその手懸かりになるようなモノがある。

 “英雄と神子の十二物語”。この本の内容が本当なら、これらの条件を満たせばヤツの元に行けるのだろう。

 俺はこれを椿達にも伝える。


「俺はまだやりたいことも沢山あるから、これはひとまず置いといていいと思うんだけど……どうかな?」


 と言っても、十二の聖域や神器の場所も分からなければ、英雄や神子の事も全くと言っていいほど分からないからな。

 圧倒的に情報が足らなさすぎる。

 これは置いとくと言っても、常に同時進行で進めていく感じがいいかもな。

 見つかったらラッキー的な感じで……。


「それでいいと思います」


「桜もです」


「……ウチも」


 こいつら二人はいい加減怒ってもいいかな?


「はい、じゃあ次。魔法はどうする?今度は皆の意見を聞く」


 さっきから俺が全て決めてしまっているようなものだ。

 コイツ等のちゃんとした意見も聞きたいしな。


「……ティリカに教えてもらいましょう」


「うーん、ティリカは騎士団で忙しいだろ。この国に僅かしかいない魔眼持ちなんだから」


「じゃあ、ルナさんと一緒に訓練所に行きますか?」


「さっきまでお世話になってたしなぁ。それに訓練所が何処にあるか知らないし」


「……本で、調べる」


「まぁ、最初はそれが妥当かな。実践は分からないことがあったら後でルナに聞こう」


 取り敢えず魔法の事はこんな感じでいいかな?

 早く使ってみたいが焦りは禁物だ。何事も下調べは重要だからな。

 時間はまだ沢山あるから、ゆっくり覚えていこう。


 俺は火属性だから炎を出せるのか?

 確かファイヤーボールだっけ?あんな炎の玉が俺にも出せるようになるのか?

 というより、あの炎は一体どうなってるんだ?全く原理が理解出来んな。


 それよりまずは……。


「じゃあ、最後にこれからにとって重要な事を話し合おう」


「重要な事?」


「そう。それは……生活についてだ!いつまでも宿に泊まっているわけにもいかないだろうし、そもそも何か安定した仕事を見つけてお金を稼がなければ!」


 そう。この世界には俺達の家も無ければ、お金も無いのだ。

 生きていくにはどうしてもお金は必要なのだ。

 それをどうするのかを決めていかなければならないのだ。

 しかも正に俺は所持金ほぼ零という崖っぷち状態なのだ。

 これでは今日の夜を越すための宿を取ることさえ出来ない。

 というか、飯代も無い。腹へった。


「と言うことで、また皆の意見を聞きたい」


「あの、お兄ちゃん。桜は働かせてくれる所があるのでお金は大丈夫です」


「……ウチも、ここの、筆写師」


「…………あれ?」


 まさか、この状況は……下の二人が働いていて、長男長女がニート?

 まずいまずい。それはまずいだろ、兄として。


「これはまずいんじゃないですか、椿さん?」


「そうですね。下の二人が働いて、長男長女が……」


「それ以上は言ってはいけない!」


「それじゃあどうするんですか?このままじゃ……あっ」


「どうしたんだい、椿さん?」


「私、騎士団にスカウトされてたんだ」


「へ?」


 ……う、裏切りだー!


「裏切ったな、椿!くっ、こうなったら今すぐギルドに行って仕事をしてくる!……俺はニートじゃないんだからなぁぁぁぁ!」


 俺は椅子が倒れるような勢いで立ち上がり、逃げるように個室から走って出ていく。


「ちょっ、兄さん。魔法を調べるのはどうするんですか!?」


「楓、任せたぁ!」


「……おけ、任せろ」


 俺は椿の声に立ち止まり振り替える。そして、楓に全て丸投げにする。

 楓も快く了承し、親指を立ててサムズアップしてくるので、俺も同じように親指を立てサムズアップし返す。

 そして、俺はまた走り出す。


「兄さん!待って下さい。宿もまだ決めてないのに、またはぐれる気ですか!」


 椿が何か言っているようだが、俺にはもう聞こえない。

 もう俺は止まれない。


「楓、桜。兄さんを追うわよ」


「はいです」


「……えぇー」


「ほら、行くわよ」


 さぁ、仕事するゾー。

 だから俺はニートじゃないゾー。


 ◆◆◆

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