Kiri , Famiry Meeting
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「また兄さんは突拍子もないことを……」
「ツバ姉、いつものことじゃないですか」
「……うん」
あれ?妹達の視線が冷たいぞ?
「だって、ちゃんとした話し合いをまだしてなかったろ?」
「それはそうですけど……」
「テンションが……」
「……キモい」
妹達がすごい辛辣だ。ヤバい泣きそう。
「お前ら本当は俺のこと嫌いだろ?」
「何言ってるんですか。大好きに決まってるじゃないですか」
「桜もです」
「……ウチも」
そんな当然のように言われても、俺には分からんよ。
「……じゃあ、会議始めます。まず初めに、元の世界に帰りたいか帰りたくないかを聞きたいと思う」
「私は兄さんに着いていくのみです」
「桜もです」
「……ウチも」
だからそんな当然のように言われても、俺には分からんて。
ちゃんと自分の意志を持とうぜ、意志を。
「……はぁ、俺は帰る気は無い」
「そうですか。……良かったです。兄さんがもし帰りたいって言ってたら殴ってるところでした」
「桜もです」
「……ウチも」
「恐ぇよ。自分の意志があるなら言ってくれよ」
そして桜と楓はさっきと同じこと言ってるし。
適当なこと言ってるんじゃないかと、兄ちゃん疑心暗鬼になっちゃうよ。
「じゃあ、次。あの夢の自称神の元に行くかどうか」
「待って下さい兄さん。あの声は自分を神とは言ってませんよ」
「確かに。じゃあ、仮称神若しくは神(仮)で、そいつの元に行くかどうか」
「行くって、行けるんですか?」
「恐らく」
ヤツは俺達をここに送る前に、『つまらなく感じたら今度は僕の所に来るといいよ』と言った。
つまり、自発的にヤツの所に行けると言うことだろう。
そして、偶然にもここにその手懸かりになるようなモノがある。
“英雄と神子の十二物語”。この本の内容が本当なら、これらの条件を満たせばヤツの元に行けるのだろう。
俺はこれを椿達にも伝える。
「俺はまだやりたいことも沢山あるから、これはひとまず置いといていいと思うんだけど……どうかな?」
と言っても、十二の聖域や神器の場所も分からなければ、英雄や神子の事も全くと言っていいほど分からないからな。
圧倒的に情報が足らなさすぎる。
これは置いとくと言っても、常に同時進行で進めていく感じがいいかもな。
見つかったらラッキー的な感じで……。
「それでいいと思います」
「桜もです」
「……ウチも」
こいつら二人はいい加減怒ってもいいかな?
「はい、じゃあ次。魔法はどうする?今度は皆の意見を聞く」
さっきから俺が全て決めてしまっているようなものだ。
コイツ等のちゃんとした意見も聞きたいしな。
「……ティリカに教えてもらいましょう」
「うーん、ティリカは騎士団で忙しいだろ。この国に僅かしかいない魔眼持ちなんだから」
「じゃあ、ルナさんと一緒に訓練所に行きますか?」
「さっきまでお世話になってたしなぁ。それに訓練所が何処にあるか知らないし」
「……本で、調べる」
「まぁ、最初はそれが妥当かな。実践は分からないことがあったら後でルナに聞こう」
取り敢えず魔法の事はこんな感じでいいかな?
早く使ってみたいが焦りは禁物だ。何事も下調べは重要だからな。
時間はまだ沢山あるから、ゆっくり覚えていこう。
俺は火属性だから炎を出せるのか?
確かファイヤーボールだっけ?あんな炎の玉が俺にも出せるようになるのか?
というより、あの炎は一体どうなってるんだ?全く原理が理解出来んな。
それよりまずは……。
「じゃあ、最後にこれからにとって重要な事を話し合おう」
「重要な事?」
「そう。それは……生活についてだ!いつまでも宿に泊まっているわけにもいかないだろうし、そもそも何か安定した仕事を見つけてお金を稼がなければ!」
そう。この世界には俺達の家も無ければ、お金も無いのだ。
生きていくにはどうしてもお金は必要なのだ。
それをどうするのかを決めていかなければならないのだ。
しかも正に俺は所持金ほぼ零という崖っぷち状態なのだ。
これでは今日の夜を越すための宿を取ることさえ出来ない。
というか、飯代も無い。腹へった。
「と言うことで、また皆の意見を聞きたい」
「あの、お兄ちゃん。桜は働かせてくれる所があるのでお金は大丈夫です」
「……ウチも、ここの、筆写師」
「…………あれ?」
まさか、この状況は……下の二人が働いていて、長男長女がニート?
まずいまずい。それはまずいだろ、兄として。
「これはまずいんじゃないですか、椿さん?」
「そうですね。下の二人が働いて、長男長女が……」
「それ以上は言ってはいけない!」
「それじゃあどうするんですか?このままじゃ……あっ」
「どうしたんだい、椿さん?」
「私、騎士団にスカウトされてたんだ」
「へ?」
……う、裏切りだー!
「裏切ったな、椿!くっ、こうなったら今すぐギルドに行って仕事をしてくる!……俺はニートじゃないんだからなぁぁぁぁ!」
俺は椅子が倒れるような勢いで立ち上がり、逃げるように個室から走って出ていく。
「ちょっ、兄さん。魔法を調べるのはどうするんですか!?」
「楓、任せたぁ!」
「……おけ、任せろ」
俺は椿の声に立ち止まり振り替える。そして、楓に全て丸投げにする。
楓も快く了承し、親指を立ててサムズアップしてくるので、俺も同じように親指を立てサムズアップし返す。
そして、俺はまた走り出す。
「兄さん!待って下さい。宿もまだ決めてないのに、またはぐれる気ですか!」
椿が何か言っているようだが、俺にはもう聞こえない。
もう俺は止まれない。
「楓、桜。兄さんを追うわよ」
「はいです」
「……えぇー」
「ほら、行くわよ」
さぁ、仕事するゾー。
だから俺はニートじゃないゾー。
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