Kiri , Magic Discussion with Luna
◆◆◆
さて、世界の事はファンタジーってことで割り切るとして、ルナに色々聞いて考察してみたが、思うところがいくつかある。
いや、滅茶苦茶ある。
ということで、俺達柊兄妹とルナを交えてディスカッションをしていきたいと思う。
「ということで、ルナに俺の考えを聞いてもらおうと思う」
「ということって、どういうことよ」
「……まず、魔法についてから」
「え?無視?」
「ルナ、うるさいわ」
「えっ、すいません」
ルナが何やらぶつくさ言っているが、椿の一喝で強制的に黙った。
「話を続けるぞ。最初に属性の事についてだけど、話す前に聞いていいかな?知り合いでも有名な人でもいいんだけど、特殊属性一つと一般属性を二つ持ってる人とかいない?」
「えっと、有名な人なら……。確かゲイブルっていう研究者は氷属性と水と風を持っていたわ」
「他には?」
「ジョルノっていう冒険者が雷属性と火と風を持っているわ」
ふむ、なら俺の仮定も間違いじゃないかもしれないな。
「もしかしたら一般属性を二つ持ってる人は特殊属性も使えるんじゃないか」
「……何でそう思うのよ。そしたら私だって氷属性が使えるはずでしょ?」
確かにルナは水と風属性の二つ持ちだ。俺の仮定が正しければ使えてもおかしくないはず。
その理由も一応は説明出来るがあってるのかは分からない。
「魔水晶って一番得意な属性しか示さないんだろ?」
「えぇ、そうよ」
「例えばルナみたいに水と風を持っていて、両方同じくらい得意な属性だったとしたら?得意な異なる二色が混ざりあった結果、皆が言う氷属性になったとしたら?」
まぁ、どう考えても水の青色と風の緑色が混ざっても水色にはならないけどな……。
光の三原色ならぬ精霊の四原色ってか。
未知過ぎるな。
「こ、根拠は?」
「……精霊は一般属性にしかいない。これじゃ駄目か?元々、属性は一般属性の四つしか無いんじゃないか」
「……確かに、辻褄は通ってるけど……。風属性が苦手な私は氷属性は使えないってこと?」
「そんなことないと思うぞ。苦手なら得意になるまで練習すればいいじゃないか。俺等なんてそもそも属性一つしかないんだからな」
そんな俺の言葉に同調するように頷く妹達。それを見たルナは明らかにソワソワし始める。
恐らく訓練所とやらに行って、早速魔法の練習を始めたいのだろう。
だがルナには悪いが、俺が納得するまで付き合ってもらうからな。
「あの、私用事思い出したから帰ってもいいかな?」
「ダ~メ」
ハートが付きそうな程ニッコリ笑顔の俺にビクッとなるルナを見ていると面白い。
それにしても俺の笑顔を見て脅えるとは、失礼な奴だ。
「じゃあ、次は種族についてだけど………十二番目の種族って俺達みたいな異世界人じゃない?」
「……は?」
「こちらの世界で合わせるなら“異人族”的な?」
「……は?」
「はい、じゃあ次。この世界の言語についてだけど、この世界の言語は何?」
「……え?あぁ、この世界は全種族共通言語だから特に名前は無いし、というかそもそもそんなこと考えたこともなかった。」
「へぇ、便利な世界だな。俺等の世界なんて六千九百くらいの言語があるって言われてるのにな」
「六千九百!!」
「まぁ、それは置いといて。俺が喋ってるのに違和感無い?」
「え?…………あれ、口の動きが変」
「だろ?俺が喋ってるのは日本語。ルナが喋ってるのは共通語。なのに通じてる。何でだろうな?」
ぶっちゃけこれは俺にも全く分からない。
世界そのものに翻訳の魔法か神の力でも掛かっているのか。
そうすると共通語っていうのも怪しいけどな。
「楓、紙とペンを持ってきてくれ」
「……ん、分かった」
楓はダルそうに立ち上がると個室を出ていき、既に楓専用の仕事机となっているテーブルから紙とペンを持ってくる。
俺は紙に“魔法”“マホウ”“まほう”“magic”と書いていく。意味的には全て魔法だがルナにはどう伝わるか。
「なんて書いてあるか読める?」
「全部同じ文字で魔法って書いてあるわ」
「俺は今、四種類の文字を使ったんだ」
「え?でも同じ字よ」
「じゃあ、もう一回書くから書き順をよく見てくれよ」
また同じように魔法という文字をゆっくり四種類書いていく。
「確かに違うわね」
俺はそのまま次の実験に移る。同じ文字でも伝わるのかという実験。
俺は“弦”という意味を込めて“ツル”と書き、“蔓”という意味を込めて“ツル”と書いていく。
「なんか気持ち悪いわねコレ。同じ書き順なのに違う文字になっていくわ」
俺の思った通りになったようだ。
そうするとある仮定が立つ。
「複製出来ない魔方陣とかって、この本の十二英雄の頃に造られたんだろ?もしかしたらやっぱり十二英雄の中に俺等と同じ異世界人がいて、魔方陣はそいつが造ったのかも」
「何で?」
「俺等の国の文字には文字の形自体に意味があるものがあるから、それが重要なのかもな」
「……なるほど。こっちの共通語じゃ意味がないから複製出来ないと」
「まぁ、可能性の話だけどな」
そろそろ満足してきた俺はルナにこの世界の文字をゆっくり書いて教えてもらった。
奇跡的に日本の五十音と同じ数だけしかなく、覚えるのはとても簡単だった。
共通語と日本語の文字数も発音数も同じため言葉を覚えるのも結構簡単だった。
相手の口の動きを読むだけで発音は五十音をランダムしただけだった。
そろそろルナを解放してやるか。
ずっと訓練所に行きたいようだしね。
「ルナ、今日はありがとな」
「今日の事が実証されれば凄いことよ。発表しないの?」
「そんな面倒臭いことしないよ。ルナが発表すれば?」
「そんなこと出来ないわよ!発表すれば絶対すごい名誉もお金も手に入るのよ?」
「いいんだよ。目立つのは嫌いなんだ」
目立つのはもう懲り懲りだ。
椿達も同じ気持ちのようだし、これでいいのだろう。
「……はぁ、分かったわ。でも私も発表しないから。今日は充実した一日だったわ。また何かあったら言って頂戴」
「あぁ、ルナもな」
そう言ってルナは急いで個室を出ていった。
どんだけ訓練所に行きたかったんだよ。
さて、ルナもいなくなったことだし……。
「では、これより第一回異世界柊家家族会議を始める!」
◆◆◆




