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柊兄妹の異世界四重奏  作者: ライトニング
Parallel Universe
23/61

Kiri , World Lecture with Luna

 ◆◆◆


「はぁ、なるほどね。それならこんな常識知らずも納得いくわ」


「あれ?驚かないのか?」


「ウン。オドロカナイワ。ダッテキリダモノ」


「ルナ、バグってるぞ」


 ルナなりに驚かないように頑張ったんだろう。

 端から見ればかなり面白いことになってるけどね。

 取り敢えずルナが復活するのを待ってから、俺達がこちらの世界に来た経緯を話した。

 ルナは信用出来ると思って話している。


「……そんなことが……。分かったわ、誰にも言わないし、なるべく助けにはなるわ」


 流石ルナ、話が早い。


「そうねぇ、何から話そうかしら」


 そう言いながらルナは机の上に置いてあった一つの本を手に取る。


「ちょうどいいのがあるわね。この本“英雄と神子の十二物語”っていう話が記録されてる中で一番古いお伽噺。というか伝承よ」


 手に取った本の表紙を上に机の上に置く。

 表紙にはどこかの景色とタイトルしか書いてないシンプルなものだ。


「この話は十二種族の英雄と神子と呼ばれる神の話声を聞く者が、十二個の神器を持って十二ヵ所の聖域に到達して神に挑むという話よ」


 やたら十二を推してくるな。


「何で神に挑んだんだ?」


「その時に凄まじい自然災害が幾つも発生して神の仕業じゃないかと思ったらしいわ。事実はどうだか知らないけどね。でもそれから、今の世界体制が成り立ったらしいわ」


「じゃあ十二の種族は?」


 ルナの話によると、ルナ達みたいな人間と小人の事を“地人族”。

 獣の耳と尻尾を持ち、その特徴を持つ“獣人族”。

 龍の強靭な肉体と炎を吹く肺を持つ“龍人族”。

 知性なき魔物の特徴や能力を持つ“魔人族”。

 身体のどこか一部が機巧(カラクリ)になっている“機人族”。

 魔法の得意なエルフや妖精の“森人族”。

 凄まじい臀力を持つドワーフや巨人の“山人族”。

 背中に翼を持ち、空を自由に飛ぶ“天人族”。

 海に棲むマーメイドやマーマンの“海人族”。

 神の力を持つと言われている“神人族”。

 そして、それらのどれにも当てはまらない能力を持つ者を“妖人族”と呼ぶようだ。


「でも十二番目の種族が今でも分からないのよ」


「……ふぅーん。神子っていうのは?」


「さっきも言ったけど神の声が聞こえる人の事よ。でも、なんでも神子は自分から神子と名乗っちゃダメらしいの」


「どうやって見つけるんだよ。つぅか、神子が神にとっては敵の英雄の味方に着いていいのかよ」


「……確かに」


「おい」


 大丈夫かこの世界?


「はぁ、じゃあ次。大陸は一つだけか?」


「いいえ。大陸は五つあるわ。それと空中都市と海底都市というのがあるわ。大陸は中央のケントロ大陸を中心に東のアナトリー大陸、西のディシィ大陸、南のノーティア大陸、北のボレイア大陸で、空中都市ウラノスと海底都市ヴィソスよ。因みに空中都市は同じ周期で世界を回っているわ」


 流石ファンタジー。都市が空中にあるなんてな。

 海底もおかしいと思うが……。


 その後もルナの説明は続き、要約するとこうだ。


 俺達がいる東のアナトリー大陸は主に地人族と妖人族の大陸。

 北のボレイア大陸は龍人族と山人族の大陸。

 西のディシィ大陸は機人族と魔人族の大陸。

 南のノーティア大陸は獣人族と森人族の大陸。

 中央のケントロ大陸は神人族の大陸。

 空中都市ウラノスは天人族の、海底都市ヴィソスは海人族のモノらしい。


「そういや、魔王とかっているのか?」


「いるわよ。他にも龍王とか海王とかそれぞれいるわよ」


「……因みに戦争とかは」


「全く無いわね」


 本当に魔王討伐やら戦争に参加しろっていう理由でこっちに来たわけじゃないんだな。

 なんとなくホッとした。

 確かに暇は嫌いだが、面倒な事はもっと嫌いだからな。


「基本的に他種族同士でも仲は良いわよ。それにこの街にもいろんな種族の人がいたでしょ?」


 確かにいろんな種族の人を見たし、関係も悪そうな感じは一切無かった。

 ギルドでも他種族同士でパーティーを組んでいる人達もいた。


「人間の国はこの国だけか?」


「他にもあるわよ。モーラン山脈を越えたディラン帝国。リンド河を渡ったナブディス皇国。グラム森林を抜けたアルケイディア聖国。そしてここ、セレスティア王国よ」


 話を聞く限りじゃ同種族同士のいざこざや戦争も全く無いらしい。

 平和なことだ。


 俺はそんなことを思いながら、この間借りたが読めなかった“世界の全て”を取り、目次を確認してからセレスティア王国のページを開く。

 王国の成り立ちやら特産品やら、結構詳しく書かれていた。


 そこで思ったことを口に出してみる。


「…ルーナ・フォン・ルミナティア」


 するとルナが勢いよく立ち上がり、椅子が後ろに倒れる。

 椿達も行きなりのことに驚いているようだ。


「貴方やっぱり私の地位が目的で近づいたのね!!」


「落ち着けよ。俺等は一昨日こっちに来た異世界人だぜ」


「じゃあ何で私の本名を知ってるのよ!」


「…一昨日、一緒にギルドに行ったとき隣の受付にいたろ?受付のお姉さんにルーナって呼ばれてたぞ」


「うっ」


「それに、兵士に様付けで呼ばれてるし、この本のここ。ルミナティア公爵って書いてあるだろ?偽名を使うのが下手なお前だ、ルミナスも少し文字っただけだと思ってね」


「じゃあ、カマ掛けられたの私」


「そう言うこと」


 まさか本当にルナが王族だとはね。


「それにしても偉い貴族様がこんなにお転婆でいいのか?」


「いいのよ。私、家の方針嫌いだし。それのせいで、お姉様も出てっちゃったし」

 

 ルナにも色々あるんだな。

 王族の地位が嫌になるなんて相当嫌なんだろうな。


「話を戻して、他の大陸に行くにはやっぱり海か?

 」


「それもあるけど、一番簡単なのは転移よね」


 あぁ、そういえばそんな距離なんて関係ない反則級のモノもあったな。

 一度でいいから転移を使ってみたいな。


「じゃあ、海で行ったらここから一番近い大陸はディシィ大陸か」


 俺は“世界の全て”のあまり出来が良いとは言えない世界地図のページを開く。

 アナトリー大陸のセレスティア王国を指差し、ディシィ大陸と反対に進み、一気にディシィ大陸の左側に指を動かす。


「はぁ?何言ってんの?そんな無茶苦茶な移動を船で出来るはずないでしょうが」


 は?


「お前こそ何言ってんだ。世界は球た……」


 ここまで言って、まさかとは思う考えが頭の中を過った。


「世界は平らよ。常識でしょ。ここは世界の果てって呼ばれてるんだから」


 俺達からしたらそれこそ非常識他ならない。

 世界が平らとかいつの時代だよ。

 でもそしたら海の水は何処に行くんだ。垂れ流しだとしたら、直ぐに海が干からびるぞ。


「流石ファンタジー」


 もう、何度目のセリフだろうか。


 ◆◆◆

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