Tsubaki , Magic Lecture with Luna
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私達はルナという名の女に着いてこの街の観光案内をしてもらった。
その後、他に何かないかと聞かれて兄さんは子供のようにはしゃぎながら魔法について聞きたいと言う。
兄さん可愛い。
ということで私達は図書館の六人部屋の個室を借りて集まっている。
個室は少し大きめのテーブル一つとイスが六つ。
たったそれしかない小さな部屋。
イスを引けば後ろを人が一人ギリギリ通れる位の幅しかない。
でも何故か机の上に既に本が数冊。
前に利用していた人達が忘れていったのでしょう。
本の背表紙を見てみると、“スライムでも解る生活魔法”、“世界の全て”、“英雄と神子の十二物語”と書いてある。
これを見た兄さんはとても微妙な顔をしている。
皆が席に着くとルナが話し始める。
「で?魔法を知りたいって何を?」
「うーん。簡単に言うと全部」
「はぁ、属性の事くらい知ってるわよね?」
「火と水と風と土?」
兄さんはそう言うが、私はもう一つ知っている。
「氷も視たことあるわ」
「そうね。キリが言った四つは一般属性。精霊魔法とも呼ばれているわ。ツバキが言ったのは特殊属性の一つ。特殊属性には氷の他に雷、霧、金、木、音という属性があるわ。そのさらに上の稀少属性と呼ばれる天、地、幻、重というのがあるわ。稀少属性は世界に一人ずついればいい方よ。あとはそれらのどれにも属さない無属性っていうのがあるわ」
一般属性が火・水・風・土の四つ。
特殊属性が氷・雷・霧・金・木・音の六つ。
稀少属性が天・地・幻・重の四つ。
整理するとこんな感じかしらね。よくある光や闇の魔法は無いのね。
「へぇ~。結構色々あるんだな」
「そういえば、アナタ達の属性は?」
「あっ、忘れてた。椿、視れるか?」
「もちろんです!」
兄さんに頼まれたのだから出来る。出来なくても出来る。
取り敢えず兄さんを凝視してみる。
暫くジッと視ていると兄さんの周りから赤い靄が見えてきた。
その靄は隣の人を覆うほど大きかった。
次に私は自分の手を視る。
私の靄は青く、靄の大きさは兄さんと同じ位だった。
続けて楓、桜と視るが、楓が緑で桜が黄色だった。
つまり兄さんが火属性で私が水、楓が風で桜が土ということだ。
兄妹で見事にバラバラになった。
皆にそれを伝えるのと同時に、ついでにルナも視てみた。すると、青と緑の靄が見えた。
「貴女は水と風?」
「……驚いたわ。ツバキは本当に魔眼持ちなのね。そうよ。私は水と風の二属性持ち。結構珍しいんだから!」
ドヤッと胸を張るルナにイラッとするが、更にイラッとすることがある。
私より胸がデカイ。
決して巨乳とは言えないが私よりデカイ。それより小さい私って……。
「なぁ、何で一般属性は精霊属性って呼ばれてるんだ?」
「その四つの属性には精霊がいると言われているのよ」
「じゃあ他は何でいないんだ?」
「さぁ?」
「さぁ?ってお前……」
「昔、精霊が見える人が四つの属性には精霊がいるって言ったから、それが事実かも分からないのよ」
ここら辺で一度、喉を潤したいところだが、ここは図書館で飲食厳禁。
今思い出したが起きてから飲まず食わずね。
「魔法ってどうやって使うんだ?」
「簡単に言えばイメージよ、イメージ」
「呪文とかは無いのか?」
「魔法が苦手な人は使うけど、基本使わないわね。そもそも呪文っていうのはイメージをより具体的にするための補助よ。あまりいないけど本当に得意な人は魔法名すら唱えない人もいるわ。魔法名っていうのはイメージを固定して覚えやすくするために付けただけだからね」
「なるほどねぇ」
感心したように頻りに頷く兄さんはとても楽しそうだ。
そういう私も魔法を使うのはとても楽しみで仕方ない。
私の日々鍛えた妄想りょ、もとい、想像力を持ってすれば、魔法の一つや二つあっという間でしょう。
「じゃあ、無属性っていうのは誰でも使える?」
「えぇ、使えるわ。と言うより無属性は買うのよ」
「買う?」
「そ、と言っても買えるのは一つしかないけどね。ボックスっていう異空間に収納を創る魔法。これが結構高いのよ」
「待て待て。無属性は何で買えるんだ?」
「無属性は魔方陣よ。幾つかある魔方陣だけど複製に成功したのはボックスの魔法だけ。他の魔方陣は昔の人が創ったものが今も使えるってだけで誰も創ることが出来ないの」
「見よう見まねで複製出来ないのか?」
「何故か出来ないみたいなのよ」
「じゃあ、使える魔方陣って?」
「大きなモノでいえば、この街を覆う結界かしら。塔に登った時、街がやけに整理されてると思わなかった?」
「あぁ」
「この街の建物の配置が魔法陣なのよ」
確かに私もそれは思った。上から見てもほぼシンメトリーだった。
それにこんな秘密があったなんてね。
「あと有名どころといえば各国の主要都市に配置されている転移陣かしらね」
おぉ、ファンタジーの定番。転移魔法がついに出たわね。
でもこの世界の転移魔法は使えなさそうね。
まぁ、兄さんならなんとかしてくれそうだけど。
「そういえば魔眼持ちって珍しいんだろ?属性を調べる時って一々魔眼持ちに頼むのか?」
「いいえ、魔眼持ちなんてこの国にツバキを入れて三人よ。だから大抵の人は魔水晶と呼ばれるもので調べるわ。でもこれは自分の一番得意な魔法しか分からないの。だから私が調べても水しか出ないわ」
「俺等が別の属性が目覚める確率は?」
「無いわ。魔眼持ちは魔力そのものを視るから一つしかなかったらずっと一つよ」
バッサリ切り捨てるルナの言葉に酷く落ち込む兄さん。
属性が一つしか無いのが悔しいのだろう。
心なしか楓と桜もガッカリしている気がする。
「次は何聞きたい?」
「じゃあこの世界について」
「……何で世界の事なんて聞きたいのよ?」
「うーん、ぶっちゃけ俺等異世界から来たんだ」
兄さんの突拍子もない発言はいつものことだが、これは流石に……。
ルナも絶句ね。
「……………………」
◆◇◇




