Kiri , Tour Guide with Luna
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「ん、……ふぁ~。……ん?身体が動かないぞ。金縛りってやつか?……って、最近無かったから忘れてたけどアイツ等また潜り込みやがったな」
そう言いながら、ほぼ動けないので首を少し上げて視線だけを下げ、身体の方を見る。
この宿の薄い毛布が見えるが、明らかに不自然な盛り上がりが三つ。
起こしても全く起きる気配がないので、なんとか抜けそうな左手を抜き、毛布を勢いよく剥ぐ。
すると未だに起きることなく寝ている三人の妹が器用に寝ている。
右腕には椿ががっしりと固定していて、左腕には楓が腕を抜かれた状態のまま寝ていて、胸の上には桜がヨダレを垂らしながら気持ち良さそうに寝ている。
こんな顔を見ていると起こすのも可哀想に思うが、そろそろ俺も身体が痺れて感覚がヤバいので起こす。
やはりと言うべきか、一番に起きたのは末っ子の桜。元々、桜が寝過ごすのも珍しい。余程昨日の事が疲れたのだろう。
次に起きたのは楓。いつもと変わらないような眠たそうな目を擦りながら、のそのそと起き上がる。
そして、こちらもやはりと言うべきか椿がなかなか起きない。右腕はがっしりと掴んだままだ。
寧ろ先ほどより強くなってる気がする。
あれ?コイツ起きてるんじゃね?
「おーい、椿。起きないとチューしちゃうぞ」
ビクンッと椿の身体が揺れる。
これはもう疑う余地もない完全に黒だ。
「おい!やっぱり起きてるじゃねぇか!」
「兄さ~ん。寝てるからチューして~」
「ダメだアホ」
椿は目を瞑ったまま両手を突きだしそんなことを宣う。
腕の拘束が外れたので、椿を放置して直ぐ様ベッドから抜け出す。
先に起きた楓と桜は既に身仕度を終え、暇をもて余しているようだ。
「ほら、椿も早く準備しな。今日はお昼、に……」
俺は慌てて窓の外を見ると、既に太陽はほぼ真上。つまりお昼だ。
「って、もうお昼じゃねぇか!椿早く準備しろ!置いてくぞ!」
俺達は急いで宿を出る準備をして、走ってギルドに向かう。
ギルドに入ると、お昼なのにやけに人が多い。
まぁ、ルナみたいな学生が休みだからだと思った。
確かに学生も多くいたが、それ以外の人も大勢いた。
そんな中でも目立つ綺麗なプラチナブロンドを見つけるのは簡単だった。
「悪い。遅くなった」
「大丈夫よ。それより早く外に出ましょ。今日は何だかギルドが騒がしいわ」
「やっぱり珍しいのか?」
「そうね。大規模討伐があるとこの位集まるけど、何も聞いてないしね」
凄まじい喧騒でまともな挨拶もせずにギルドを出ていく。
「ふぅ、それで?その娘達は?」
「あー、なんと言うか妹です」
「はぁ、何で生き別れの妹が一日で全員見つかるかな」
「そこは俺もびっくりだ」
「まぁ、いいわ。私はルナ・ルミナスよ。よろしく」
その後、妹達も軽く自己紹介をする。
椿が俺に冷たい視線を送って来るが何事も無くてよかった。
後の話しは歩きながらしようと言うことになり、ルナに着いて歩き始める。
「そういえば昨日大きな爆発があったみたいね」
「あー、それね。その事件なら解決したぞ」
「へぇ。あんな大きな事故がもう解決したんだ」
「事故じゃなくて殺人事件だった」
「ふぅん。っていうか、よく知ってるわね」
「え?さっき言ったじゃん。事件なら解決したって」
「………はぁぁぁ!?アンタが解決したの!?」
「おぅ、そうだ」
「…はぁ。もうアンタについては驚かないわ」
その後は普通にルナによる観光案内が続いた。
「ここがこの街の唯一の図書館よ。かなりの蔵書があるわ。因みにクリムさんっていう司書さん一人しかいないから迷惑掛けないようにね」
昨日も来た図書館。
本当にあの人一人だったんだ。
「ここは有名な武器屋よ。店主が偏屈な頑固オヤジっていうのも有名だけど武器の質は超一品よ」
店先の看板には金槌と剣が交差したデザインが入っていて、如何にも武器屋っていう感じだ。
やっぱり武器屋と言ったらドワーフだろうか?
「ここはこの街最大の商会。ヴィレッジ商会よ。ここは質も良くて安いの」
大勢のお客がいて目に見えて繁盛しているのが分かるほどだ。
食品や衣類、日用品。何でも売っているようだ。しかも二十四時間営業らしい。
コンビニか。
「ここは一番大きな教会よ」
確かにかなり立派な教会だ。隣には塔のようなものも建っている。
祷りに来ている人も結構な人数がいる。
「神父さん。塔の上に登っていいですか?」
「えぇ。いいですよ」
ルナは神父さんに許可を取ると俺を連れて塔の上まで登る。
内部にある螺旋階段を登るが、階段が長くてこれが結構キツイ。
楓は途中でギブアップして俺が背負って登ることに。
「ほら、ここから街が見渡せるでしょ?」
鐘の付いた天辺まで登ると確かに街を見渡すことが出来る。
それは絶景と言ってもいいほど綺麗な街並みだった。
因みにこの塔の鐘は日の出と日の入り、それとお昼に鳴らすらしい。
そう言われてみれば、鳴っていたかもしれない。
「ほら、あそこに見えるのが私が通っている学園よ」
ルナが指差す先には有名な映画の某魔法学校のようなお城みたいな建物がある。
流石ファンタジー。
「それで知ってると思うけどあれがこの国のお城。セレスティア城よ」
それは明らかに学園より大きなお城。
確かにあの城は時々目についていたが、しっかり見るのはこれが初めてだな。
その後はさっき見てきた建物を指差しながら紹介し直したり、あれはあぁだ、これはこぅだと他の有名どころをかなり細かく紹介してくれたりした。
ルナのおしゃべりな面を見た気がする。
この街は一日ではとてもじゃないが回れない。
それほど広い街を紹介するには、ここは確かに効率がいい。
ルナに感謝しながら塔を降りる。
帰りももちろん楓を背負って降りる。
「さて、このくらいかしら?」
「あぁ、助かったよ。ありがとう」
「どういたしまして。他に聞きたいことある?」
「そうだなぁ……」
これを機にアレについて聞いておくか?
「じゃあ、魔法について教えてくれ!」
「魔法?」
「そう!魔法!」
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