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異世界冒険奇譚〜異世界行ったけどイージーじゃなかった〜  作者: ああるぐれい


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1/5

プロローグ

(1/3)今日は3話投稿します。


第一章「AIに支配された世界」開幕です。

「ティッシュ持った?」

「持ったよ」

「ハンカチは?」

「持ったよ」

「本当に?」

「本当だってば」


靴を履き、鞄を持ってドアを開ける。


「行ってきます」


ドアを閉め、つま先で数回地面に小突き、駅へと向かう。

今日は、死ぬほど勉強して合格した高校の入学式だ。

電車に揺られて数十分、高校の体育館に入る。


「新入生の皆さん、こんにちは。私は校長のーーーーです。あなたたちは────」


ねむ⋯⋯。


目を覆い、欠伸を噛み殺す。忙しなく足を組みかえながら、退屈な入学式が終わるように祈った。



◇◇◇◇◇◇



振り分けられたクラスでの自己紹介はうまくいき、今はトイレで用を足していた。

友達もできたし、これで高校生活は安泰だな。

そう思っていると、入り口の方からガラの悪い三人組がやってきた。

一応、偏差値は高い方の高校なのだが、どんな学校にもこんな奴はいるんだな。


チャックを閉め、トイレから出ようとした。


「そこの新入生。金、貸してくんない?」


校内用のサンダルの色で、先輩だとわかる。

下卑た笑みを浮かべて、指をクイッと曲げている。


「⋯⋯嫌です」


端的に言い、すぐさま教室へ向かった。


放課後、廊下を歩いていると。


「おい」


先ほど、俺に金を要求してきた先輩だった。周りからは「目をつけられたな」、「近づかないでおこう」などと聞こえてくる。それを一喝して黙らせると。


「ツラ貸せや」



◇◇◇◇◇◇



「ぐえっ」

「オレを舐めやがってよ!」


腹部を殴打され、くの字に体を折り曲げる。

それを残りの二人が囃し立てていた。それで調子に乗ってさらに殴りつけてくる。


「黙って金を貸しゃいいのによお!」


言いながら、俺の体を投げ飛ばす。動けなくなった自分を尻目に鞄を漁る。財布をとり出すと、中を検めた。


「コイツ、一万円も持ってやがらあ!」

「新入生の癖に!」

「お前、明日から毎日三千円は持ってこいよ!」


口から涎を垂らしながら、苦痛と屈辱に耐えた。そんな姿を見て、写真を撮った三人組は笑いながら去っていった。



◇◇◇◇◇◇



登校すると、俺の居場所は無くなっていた。あの三人組に目をつけられた俺に関わることで、自分も何かされることに怯えていた。昨日は積極的に話しかけてくれた友達も、俯いて黙る俺を遠巻きに見つめるだけだ。授業が終わり、休み時間になると、自分の周りだけ見えない壁が存在しているように、ぽっかりと距離がある。


自分だけがクラスの輪から外れるような、そんな感覚がした。


放課後になると、トイレに呼び出され、三千円をむしり取られる日々。

暴力を振るわれないように、痛い思いをしないように、ビクビクと周りの視線を気にしながら過ごす日々。そんな日々に嫌気がさしていった。


家に帰り、無気力にベッドに倒れ込む。親の言葉には全て生返事をしてしまう。

だんだんと起床する時間が遅くなり、ついに不登校になった。


「どうして、学校に行かないの?」


そんな親の疑問に「うん」とか「ああ」と気のない返事をして、毎日をのらりくらりと過ごしていく。夜、布団にくるまりスマホを眺めていたら、釣り専用アプリの通知がきた。


『今日は大潮で満月! 釣りに出かけよう!』


嘆息しながら、通知を上にスワイプした。ベッドから抜け出し、窓を開けてベランダに出る。少し肌寒い風を浴び、体を落ち着ける。


「やっぱ、まだ寒いな」


そう言い、振り返る。しかし、そこに自分の部屋はなかった。


「⋯⋯は?」

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