嫁が増えるって!やったね!(遠い目)
こんにちは、ラファエラです。お忘れかもしれませんが、ラズリちゃんのお母さんです。
いつもエルフの隠れ里に引き篭ってる私ですが、訳あってルイーズ様と一緒に、妖精の箱庭に来ています。
それと言うのも娘を含むユーリ君のお嫁さんたちがやらかしちゃったからですね。
「みんな集まったわね?」
緊急で集まって貰った彼女たちは、これから言われる事が分かっているのか苦笑いを浮かべています。
「ユーリ君とギルから大量に人を紹介して欲しいって連絡が来たから何かと思えば……全員が妊娠? はぁ〜〜っ……本当に何をやってるのよ? 産めよ増やせよって、そりゃあ孫は嬉しいわよ。でも、こういうのは計画的にやるにしても程々にしないと……」
ルイーズ様は怒りを通り越して呆れています。
うんうん、分かる分かる。私も同じ話をされた時にはびっくりしたと同時に呆れてしまったもの。
まぁ、子供が多いのは決して悪い事じゃないけど、それで生活に支障が出るのは大問題よね。実際、二国合同の調査にユーリ君単身で赴く事になってるし。
「でも、避妊対策はしっかりしてたんじゃなかったの? 秘伝の魔法も教えた筈よね?」
「その話は私も聞いてるけど、実際どうなの? 範囲内での出来事を無かった事にする結界魔法だった筈よね?」
避妊対策として【蠱惑の蝶】と呼ばれる魔法が伝授された。これは人の欲望のなせる極地といえる魔法だ。
元は【夢幻の結界】と呼ばれる範囲内の物理現象無効化する古代魔法だったものを長い年月を掛けて色事用に調整し生まれたものなのだ。
ただし、問題もある。準備や消費魔力の関係で常用は難しいので一部の王侯貴族や高級娼館にひっそりと伝わり使われているのだとか。
「はい、ユーリさんが屋敷に施してくれたのでいつもお世話になってます」
「うんうん、超有能。しかもプレイに合わせてシチュエーションも調整可能とか業が深すぎだよね!」
「そうよね。教室、森林、人混み。娘たちに夜に習ってお散歩プレイに興じるのもーー」
「「「よし、戦争だ!!」」」
「もがっ!?」
高速で部屋を出ていく母娘の姿がそこにはあった。
リリィったら相変わらずね。娘を揶揄うにしてももう少し考えてから喋ればいいのに……。
「そういえば、あの人たちってどうなってるんでしょうか?」
「確かに気配はするし、妙な存在感あるよね?」
「アレは魔力でガワを作って誤認させてるみたいですよ」
へぇ〜、思ってたよりなかなか凄いのね。うちの里でも使ってみましょうか?
閑話休題。
「なら、何でこんな事になってるの?」
「それはちょっと予想外な事がありまして……」
「少し考えれば分かったはずなんだけどね」
どうやら、イレギュラーな事があったみたいだ。
「予想外……マリー、具体的にどんな事があったの?」
「はい、実はーー」
そもそもの発端は闘技大会における欲求不満だ。それを解消すべく、狂乱の小世界の中で大乱闘に継ぐ大乱闘を行い気分は超スッキリ。するかに見えたが……。
迎えに来たユーリ君を見て、別の欲求が湧き上がる。みんなで挑めば"今なら勝てるのでは?"と思い立ち、彼を巻き込んでのお嫁ちゃんズvsユーリ君の戦いが勃発。ユーリ君は訳が分からず混乱するもアレやコレやで押さえ込み大勝利。その強さにお嫁ちゃんズは再度惚れ直しーー
「もう戦わなくて大丈夫です」
「あっ、やっと落ち着いた?」
「えぇ、落ち着きました。私たちの負けです。大敗と言って言いでしょう」
「そうか、それは良かった。あれ? なら、なんでみんなは俺を取り囲んでいるのかな?」
「ユーリさんがいけないんですよ。あんなに強さをまざまざと見せ付けるからキュンキュン疼いて……ほら大洪水」
発情した。
誘惑するようにスカートをたくし上げるマリー。
「それに負けたままなのも悔しいので、ここはアレで勝負を決めようかと?」
「あれれ〜、おかしいぞ? 何か冷や汗が出てきた……」
「大丈夫です。天にも登る心地良さを提供します。さぁ、限界に挑戦ーー」
ダッ ガシッ ポワポワン! ジャラッ?
「「「確保!!」」」
「早ッ!?(あと何処にこんなパワーがっ!?)」
危機を感じたユーリが逃亡。それより早く嫁たちが手足に抱き着き、ユーリは柔らかさとパワーを振り解けない。ついでにダメ出しの魔法による妨害発動。さらに何故か嫁たちごと鎖にて拘束?
「それでは夜戦にご案内〜〜♪」
「「「「「まさか、これでも逃げる?」」」」」
「やっ、やってやらーーーっ!!」
そして、戻ってみれば全員妊娠。それもその筈、小世界とはユーリが空間魔法で作り出した異界を固定化した魔導具なのだ。
つまり別世界という事で屋敷に施された魔法の影響を受ける事はない。
「ーーということがありました(テレ///)」
「「(絶句)」」
お嫁ちゃんたちの暴走とか、ユーリ君が可哀想になったとか、そんな簡単に妊娠するものなのかとか、まぁ色々な意味で絶句した。
「りっ、リリィ。異種族間って妊娠しづらかった気がするんだけど……」
リリィが秘密裏に売りさばいてると聞く、特急妊娠薬でも使った? そうじゃないとここまでの結果は有り得ない気がするのだけど?
「あぁ、それね。なんか、種族特性みたいな? 神話の神々が色々な種族と交われた様にユーリ君も作れるみたいよ」
「えぇっ……」
「性獣顔負けの量と命中率で種族の壁もなんのそのってね♪」
それ結構ヤバめの話では?
だって、異種族間で簡単に子供が作れるって、種族によっては喉から手が出る程欲しいものだし。ユーリ君の実績や能力を考えると戦争も辞さないかも……。
「尚更一人で行動させるのは不味いじゃない……。その話が本当ならユーリ君は今後色んな人に狙われる事になりそうね。この事は里の住人の皆は知ってるの?」
「いえ、今までに開発したラブポーションとかで色々あったのでその……延長だと思われてるみたいです」
「なら、そのまま事実は伏せてラブポーションの線で進めましょう」
「「「「はい」」」」
「それじゃあ、これから人員の話に戻るけど希望はあるのかしら? 移住を希望してる有翼人種の子達がそこそこいるのだけど?」
「あぁ、あの子たちの事ですね。そのまま進めて貰って構いませんよ。ここでの相性も良さそうですし」
「分かったわ。早速戻ったら話をしておくわ」
「それじゃあ、私からも。私の師匠がユーリ君の体質とここの薬草畑に興味を持っちゃったみたいでね。薬師見習いを数人伴って来たいそうなのよ。むろん、育児も手伝ってくれるって」
あら〜っ、何やら新しい嫁のフラグの気配がするわ!
またまた増えるの? 増えちゃうの? エルフはどうかしら?
「良いんじゃない? リリィさんの師匠ならどう転んでも面白そうだし。私は採用で。他に誰かいる?」
「ふっふっふ、それなら満を持して妾からあります! なんと皆が待ちに望んだあの種族!! フィーネの負担を減らすべく交渉していたあの種族が来るのよ!!」
「「「「おおおぉぉ!!」」」」
「決め手はユーリの体質と実績ね。やはりめっちゃ食い付いたわ。ユーリの頑張り次第では定住……いや、これは決まったも当然!早速、ユーリが帰ってきたら会ってくるわ!!」
「必要な物があったら言って下さい!うちの商会で集めてみせます!」
「書類関係が必要なら私たちが受け持つわ! 確実に落として貰いましょう!!」
どうやら妖精の箱庭に新しい住人が増え賑やかになる予感がする今日この頃であった。




