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マーシャ

 BL本の作者がトリシャさんだと判明し、俺は彼女を拘束して屋敷へと連行。それには何故か、彼女の母親であるマーシャさんもついて来た。


「どうしてついて来たんですか?」


「それは母親として娘が心配だからよ。多分!」


「「………」」


 うん、絶対違う気がする。多分って言ってるし。

 まぁ、ついて来ても害はなさそうだから一旦放置の方向でいこう。


「それじゃあ、話は地下の空き部屋……じゃないな。今は薬品倉庫だった。そこで話を聞くよ。良いね?」


「分かりました……」


 元々空き部屋だったが、作成したポーションなどのストック場所が欲しいと思い薬品倉庫にした。

 そこならうちでも最も人気が無く、アイリスたちの乱入によって有耶無耶にされる事もないだろう。

 トリシャも反論は無い様なので2人を連れて地下へと降りた。






「あぁ〜っ、なんて濃厚なお金の匂いなのぉ〜〜」


「ちょっ、マーシャさん!?」


 地下に降りて直ぐにマーシャさんの暴走が始まった。

 彼女はお金の匂いが本当に分かるのではないかといった感じで、知らない筈の宝物庫へとふらふら行ってしまった。


「一度だけ!一度だけで良いから!!」


「……一度だけですよ?」


 美女のお願いに弱い俺は宝物庫の鍵を開けた。


「まぁ、なんてお金の山なの!!」


 開け放たれた宝物庫の光景に目を輝かせるマーシャさん。

 そして、彼女は大胆な行動に出た。


「わぁ〜〜い、お金のプールだ!」


「ちょっ、お母さん! 恥ずかしいから止めて!!」


 金貨の山をプールに見立ててダイブするマーシャさん。そんな母親の行動に恥ずかしくなるトリシャさんだった。


「それじゃあ、出ますよ」


「嫌っ!! 私、もうここに住む!!」


 まぁ、予想出来たことだが、マーシャさんは金貨の山に潜ってなかなか出て来ない。

 仕方なくトリシャさんの拘束を解いて2人ががりで取り押さえる事にした。


「嫌ぁーーっ! す〜む〜のぉおおぉぉ!!」


「駄々を捏ねないで!」


 大人の女性とは思えない程に駄々を捏ねていが、何とか引きずり出す事に成功し宝物庫の鍵をかけた。





 それから薬品倉庫に移動して数十分後。


「BL本について聞きたいハーレム王。

 母娘を屋敷へ連れ帰り、地下の一室へと連れて行く。そこは人気が無く、怪しげな薬品が立ち並んでいた。

 そして、そこで事は起こった。母娘は液体を飲まされたのだ。

 熱い液体が喉を嚥下すると身体の内から熱が湧き上がった。

 熱に耐えられ無かった母親がハーレム王に懇願すると彼は貪欲な獣の様にその身体を貪ーー」


「らねぇよ!! 変なナレーション止めぃい!!」


「えぇ〜っ、事実だよ?」


「何処がだ!? 液体を飲まされたって、俺は紅茶を出しただけだよ!?」


 マーシャさんは宝物庫から引きずり出した仕返しなのか、それとも別の作戦なのか、俺を誘惑する様になった。


「でも、嘘は言ってないでしょ? ここで行われた出来事をちょっと既成事実に聞こえる様にしただけぇ〜」


「確信犯だったよ、この人!?」


 ヤバい。はやく何とかしないと外野への被害が出かねない!


「………」


 助けを求めてトリシャを見たが彼女は我関せずと無言を貫いていた。


「そもそも最後とかは完全に嘘じゃん!」


「でも、宝物庫で羽交い締めにされた時に胸を触られたわ」


「それは不可抗力じゃん! それに服の上から触れたくらいだよ!!」


 引きずり出す時に色々触ってしまったのは事実だ。

 でも、意識して揉んだり直接とかはしていない。


「確かに……服の上から揉まれたくらいだったわね」


 思い出して残念そうな顔をしているマーシャさん。

 しかし、次の瞬間には良い事でも思い付いたのか、パアッと笑顔になった。


「今から直接触って貰えば良いじゃない! それに私のは自慢じゃないけどトリシャちゃんの影響でね。先端が大きくてとてもエロいのよ?」


「「ぶっ!?」」


 コレにはトリシャさんも無視出来なかった様だ。


「それじゃあ、お披露目〜♪ 直ぐに服を脱ぐから♪」


「ぬっ、脱がなくて良いよ!」


 俺は自身の服をはだけさせにかかるマーシャさんの手を取って元に戻した。全く油断も隙もあったものでは無い。

 とりあえず、このままでは話が進まないので、トリシャさんに許可を取ってマーシャさんの口を塞ぎ拘束した。


「……お母さんには手を出さないんですね? てっきり節操なしだと思ってました」


 誘惑には弱いけど側からはそう思われているんだなと知って軽くショックを受けた。


「美人だし、男として嫌いじゃ無いけど……完全にお金目当てだよね?」


 流石に美人だとしてもお金目当ての女性はちょっと……。


「そこは大丈夫です。夫によく尽くす人ですし、本人も言う通り男に好かれ易い身体をしてますよ。……ただ、性格に超お金好きが加わるだけです」


「うん。アウトだよ?」


 なんで、俺の周りの天使さんたちは、皆こんなにも変な人ばかりなのだろうか?


 もう、種族的な問題な気がしてきた。

 俺は、うちの娘がこんなにならない様に注意しようと心に決めるのだった。


「さて、BL本の事を聞こうか?」


「それは……」


 トリシャさんは結構渋っていたが話をしてくれた。

 その話によるとBL本自体は向こうよりもかなりポピュラーな文化らしい。

 何故かというとこの世界での男女差が絡んでくる。

 男性が少ない事でオカズとして男性の姿絵の方が出回るのだ。


「そもそもBLが嫌いな女の子は存在しません!!」


「言い過ぎでしょ?」


「いいえ、事実です! それで皆は性を学ぶのです!!」


 それで私も大人になりましたというトリシャさん。BLは女性の嗜みの一つらしい。


「それに近場にいる分、よく妄想の的にしちゃうんですよね」


 まぁ、近場にいる男性は俺たちくらいなのだから仕方ないだろう。


「それにルイ様がよくユーリさんたちが纏まった写真をくれますので」


「………」


 今度からはルイさんがカメラを持ってる時は気を付けるようにと周知しておこう。


「でも、残念です。今後は警戒されて写真ダメそうですし……」


 彼女は今後の事を考えて、残念そうに項垂れた。

 まぁ、当然だろう。俺たちとしても分かった以上は優先的に警戒するからな。


「だったら仲介を挟まずに直接見れば良いのよ。私とユーリ君が結婚すれば貴方は娘。間近で彼らのやり取りを見て問題ないわ」


「そっ、その手があった!」


「えっ? いつの間に拘束から抜け出し……っ!?」


 声のした方を振り向くとあられも無い姿のマーシャさんがいたので直ぐに顔を背けた。

 背ける直前に足元に落ちているロープと一緒に服を見付けた。

 どうやらロープを抜ける際に服ごと脱いだ様だ。


「という訳で、トリシャちゃんは協力してくれるよね?」


「全く……仕方ないですね。協力しますよ」


「そこは仕方なくじゃなくて止めるところ!」


「そうそうカリカリしないの。ほら、背中越しでも分かるでしょ?」


「くっ!?」


 マーシャさんが背中に抱き着いた事でしっかりと伝わってきた。

 正面からはトリシャさんが一肌……文字通り一肌脱ごうとしている。

 このままでは俺の息子が暴走してしまうのは時間の問題だった。


 どうすればこの状況から逃げ出せる?


「じぃ〜〜っ」


「ん?」


 視線を感じて顔をあげるとリリィがいた。


「薬品を取りに来てみれば……。こんな所で何してるの、ユーリ君?」


「良いところにリリィ! 助けて!!」


 俺は藁にも縋る思いで、リリィに助けを求めた。

 察しの良い彼女はこの場の状況と俺の反応で直ぐに理解した様だ。


「なるほど。分かったわ。トリシャちゃんたちに迫られている訳ね。私が助けてあげるわ」


 そういうと彼女は薬品倉庫の入口へと向かった。

 俺は嫌な予感がしてリリィに問いかける。


「あの……何から助けてくれるの?」


「う〜んと……ユーリ君の葛藤から♪」


「ちょっ!?」


 薬品倉庫の扉がパタンという音を立ててしまった。

 ついでに何かしらの魔力の気配を感じた。どうやら転移妨害までされたようだ。

 さっさと転移しなかった事がとても悔やまれる。


「くっ、こうなったらせめて片方だけでも……」


「えっ?」


 俺は部屋に設置されたトラップを起動した。

 それにより落とし穴が起動してトリシャさんの姿が消えた。

 行き先は屋敷の檻だけどきっと彼女なら大丈夫だろう。


「トラップがあるのね。でも、諦めない!」


「俺は色々諦めたけどね」


 もう色々限界なので、俺は諦める事にした。

 その結果、俺に大きな娘が出来るのだった。

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