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アフロディーテ

 アディさんがここに来て1週間。


 彼女は、ここで教師をやっている。主に、夜の営み専門。エロースの知識は、彼女からのものだった。


 うちの娘たちが、エロくなるので止めるのは辞める事にした。


「なぁ、この手紙の山は何?」


 俺は、一休みしようと立ち寄った談話室で手紙の山を発見した。


「あっ、それね。アディさん宛の手紙だよ。さっきから投函魔法でどんどん送られて来るの」


 疑問に答えてくれたのは、ソファでごろごろしているアイリス。彼女の仕事は、眷属任せなので、基本暇なのである。だから、出かける時にはいつも一緒に行ける訳でもある。


「何の手紙かな?」


「全部ラブレター」


「はぁ?」


「それ全部アディさん宛のラブレターみたい。落書き紙にどうぞってくれた」


 アイリスが手元に有る紙を数枚ひらひらして見せた。俺はそれを受け取り読んで見る。


 いやいや、ラブレターを落書き紙にって……。


「うわ〜……」


 マジでアディさん宛のラブレターだったわ。コレを落書き紙にって何考えているんだ?


 そこには、アディさんへの熱烈な想いが綴られている。しかも、後半に行くに連れ、自分ならどんなプレイが出来ますやらアディさんにして貰ったプレイをもう一度したいやら書かれていた。


「とりあえず、この貴族の弱みをゲットだぜ!使う機会なんてなさそうだけど」


「だよね。立場だけならマリーのお陰で高いし」


「ついでに、名誉と金もついて三拍子揃ってるわ」


 ただの貴族相手なら圧力掛けようと思えば、簡単にかけれる訳だよ。


「所で、アディさんは?」


 実は、朝食以降見ていない。何をしているのか気になる。


 うちの男連中に手を出してないだろうな?


「アディさんならローシュ君に特別授業してあげるって、平穏なる小世界(イレーネコスモス)にーー」


「アウトォオオーー!」


 俺は、ローシュの元へ直ぐに向かう事にした。もしもの時に備えてアイリスも連れて行こう。






 結果から言うとローシュは食われていなかった。まだ、童貞のままだ。


「なかなか私好みの子っていないのよね。だから、私は決めたのよ。男の子を自分好みに育てるのはどうかって」


 何処かで聞いた様な、もしくは言った様なセリフだな。


 とりあえず、後2ヶ月程で9歳になる。そこから1年待って下さい。男の子の場合、10歳なら元服だから見ぬ振りしてあげます。


「お兄ちゃん!ボクも決めたよ!アディお姉さんのお婿さんになる!」


 その為に強くなるって言って、ローシュは剣を振り鍛錬を続けた。


 もし、くっついたらかなりの年の差だな。確か、エロースの話だとアディさんの年齢は……。


「ユーリ君。何か、変な事考えてない?」


「イエナニモ。ただ、年の差カップルだなと」


 バレたと思ったので、一瞬片言になってしまったわ。


「あら、やだ。でも、愛に年の差は関係ないわよね」


「アディさん、今更だけど、何、少年を邪な道に引きずり込もうとしてるの? 止める気ないけど」


「あら? お姉さんみたいな人をお嫁さんにしたいって言われたから色々したら告白されただけよ? なら、食べちゃっても良いかしら?」


 色々って、告白までの過程で何があったの!?


「保護者の為に、まだ止めて。……鍛錬してるのは、その一環」


「ええ、ローシュ君の願いもあって、強く可愛い子になって貰う事にしたの。ここなら成長も速いみたいだしね」


「そりゃ、1日が3日だから……」


 そこで気付いてしまった。ここにずっといたとすると……。


 ローシュが元服するまで18ヶ月。現実だと6ヶ月で済む。


「何故そこまでする? 成長したら嫌になったりしない?」


「あの子の姿に一目惚れしたのよ。それに私好みにするから問題ないわ」


 アディさんは、半ズボンを履いたローシュをうっとりしながら見ている。


 これは、ホントに当人たちへ丸投げで良いかな?


「お兄ちゃん」


「なんだい?」


 ローシュは、休憩らしく剣を振るのを止めて俺の元へときた。


「ボクにあった武器を教えて下さい!リリス先生に武器は速い段階で決めると良いって教わりました!」


「あ〜っ、確かにな。武器毎に動きが違うし。ローシュ、得意な事って何かあるか?」


「魔力コントロールかな? エロース先生やリリス先生が、生徒の中で一番上手いって褒めてくれた」


 魔力コントロールね……。なら、アレをいってみるか?


「良い武器がある」


 俺は、アイテムボックスから黒刀を取り出した。グレイたちの為に造ったのに余った奴だ。


「この武器は、刀って言うんだ。卯月たちも持ってだろ?」


「卯月お姉ちゃん? うん! それに似た奴を持って模擬戦してた」


「魔力コントロールが上手いなら、これと相性が良いんだよ。ちょっと見てな。アースバレット」


 的として石の杭を数本用意した。俺は、刀を納刀した状態から一瞬で駆け抜ける。


「斬!」


 キンという鍔鳴りと共に、石杭は両断された。


「!?」


「居合い抜きという高速抜刀術だ。魔力コントロールによる縮地と抜刀速度アップで威力も出る。ついでに応用として、コレも出来る。破っ!」


 今度は、遠方に有る石杭が両断された。


「斬撃も出せる訳だ。ついでに言うと刺突も応用で行ける。どうだ? 面白いだろ?」


「凄い!それを教えてくれるの!!」


「ああ、良いぜ。元服したらこの刀もやるよ。練習用は、後で渡すわ。他の基礎動作は、卯月たちから習うと良い」


「うん!」


 こうして、1人の少年魔法剣士が生まれた。後に、彼は『瞬神のローシュ』と呼ばれる様になるが、それは数年後のお話。







「今日は、これくらいで良いだろう」


 数時間掛けて、抜刀の基礎と魔力コントロールの応用を教えた。後は、反復練習でなんとかなるだろう。


「さすがに、疲れたろ? 特に、何度も縮地で走って」


「うん」


 ローシュは、汗だくで服が透けている事からも疲労が伺える。


「………」


 なんか、視界の端でアディさんがもじもじしているのが見えた。


「後は、反復練習すれば大丈夫。縮地ならアディさんと追っかけっこでもすれば良い」


「うん、そうする!アディお姉さ〜ん!お願いがーー」


 目の前からローシュが消えた。いや、持ち去られた。


「ちょっ!? お姉さん!くすぐったいよ!」


「ローシュ君の汗……(クンクン、ペロペロ)」


 抱っこしたローシュに顔を埋めた後、首筋をペロペロ舐めるアディさんがいた。


「あっ、変態だ」


「いや、ユーリのイナホちゃんに対する感じもああだよ」


「えっ、マジ!?」


 傍から見るとこうなのか……。イナホも嫌がらないし、気にして無かった。次から人の少ない所でする様にしよう。


「止めないならボクもするよ!(ペロッ)」


「カフッ!?」


 アディさんが吐血した。いや、そう見えただけだ。実際は、鼻血を噴出したのか。


「ローシュ。これ飲ませておけよ」


「うん、分かった。お姉さん、口を開けて」


 ローシュも慣れた様だ。初めての時と違い動揺していなかった。


 そして、ポーションを飲ませ介護している。意外に良い組み合わせなんじゃなかろうか?


 ……エリーが、コレを見たらどう思うかな?


 ふと、そう思ったが考える事を止めた。だって、あっちを応援したらしたで、こっちにアディさんが来そうだし。


 まぁ、なる様になるしかないだろう。

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