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捜査 疑問の答え

 俺とアイリスは、ショートカットで移動した事で、西区の教会に数分とかからず辿り着いた。ここからは魔力感知で探す。


「路地裏で動いてる奴を探すぞ」


「分かった」


「なぁ、アイリス。団体で動いてる奴らいないか?」


「たぶん、騎士じゃないかな?4人で行動してるしね。何処かに向かってるみたい」


「誰かが、通報したのか?とりあえず、向かう先を意識しよう」


 団体が移動する先で、2つの気配が見えた。たぶんアレが、コムイだろう。


転移(シフト)


 アイリスと共に転移で移動した。着くや否や目に付いたのは、血が滴るナイフを持った男と怪我をした見た事ある男だ。とりあえずーー。


「寝てろ!!」


「ぐはっ!?」


 ナイフを持った男の腹部を殴って、気絶させた。エルフで学んだ秘技だ。普通は、やっても気絶させれないからな。


 ついでに、グレイプニルで逃げない様に拘束しておこう。


「ユーリさん……」


「コムイ、大丈夫か?バルトとレンから事情は聞いてるよ。傷を見せな」


 傷口からの出血は止まり、現在進行形で治りかけていた。俺もルーンを使って回復を後押しする。そのおかげで、直ぐに完治した。


「ありがとうございます」


「なに、俺もコイツを追ってたのさ。それより、誰かを庇ったんだって?周りにいないみたいだが?」


「彼女なら、俺が庇うと同時に逃げましたよ」


「へぇ〜っ、その子が知らせたのかな?騎士団が来てるみたいだし」


「(ご主人様、報告が有ります)」


 コムイと会話していたら、ギンカから念話がきた。


「(どうした?)」


「(跳躍しながら、ご主人様を追って、西区に入ったのですが、そこで商人の女を見つけました。カリンの香水も着けています)」


「(なんだって!?)」


「(なので、現在、追跡中です)」


「(分かった。引き続き頼む)」


「(了解しました)」


「ユーリ、どうかしたの?」


「ギンカから念話が来てたんだよ。それより、コムイ。ちょっと聞きたい事が有るんだけど、庇った子に、何か特徴が無かったか?」


「特徴ですか? 香水を付けてたくらいで……」


「それは、カリンか?」


「そうですよ。よくご存知で」


「ok。ありがとう。アイリス、騎士団はどのくらいで着く?」


「五分くらい?」


「分かった」


 よし、余裕があるな。俺は、気絶させた男の手荷物を調べる。やはり、酒と粉末が存在していた。それ以外でも薬物が出るわ出るわ。


 ちなみに、酒はネビルと同じパラダイスロスト入りだ。暴れたのは、パラダイスロストの副作用による幻覚が原因だろう。


「コムイ。もうすぐ、バルトも来るし。後を任せて良いか?」


「えっ?」


「拘束も普通のに変えておくから大丈夫だ」


 アイテムボックスから赤いロープを取り出して、縛り直す。ちょっと特殊な縛り型だけど、拘束力があるし大丈夫だろう。


 しかし、エロースで練習したかいがあったぜ。上手く縛れた。ただ、男がしてもキモいだけだな。


「それじゃあ、任せた!」


「えっ!? ちょっ!? ユーリさん!?」


 混乱しているコムイを置いて、ギンカと合流する為に向かう。意外にも近場だったらしく、直ぐに合流出来た。


「あの子か?」


「はい、先程、路地裏で匂いを消す所まで確認しました」


「よし、このまま付けよう。匂いを消したって事は、隠れ家に帰るはずだから」


 俺たちは、屋根の上に身を潜めながら尾行した。そして、彼女は、ある建物に入った。


「マジか。まさか、そういう事か?」


 彼女が入った建物は、ティラノスの騎士団詰め所だった。


「これは、もう一人の男も見た方が良さそうだ」


 バルトに聞いて、見に行った結果、男を隠れて監視する香水を付けた者。そして、近くを警備する騎士団がいた。





「兄貴。これはどういう事なんですか?」


 俺の知り得た情報をバルトにも教えた。なぜなら、追っているモノが同じだったからだ。


「私も詳しく聞きたいよ」


「そうだね。団長さんも交えて話そうか」


 マリーを呼びに行ったら、彼女の方も終わっていたので、一緒に騎士団団長に会いに行った。そして、人数の関係もあり、会議室へと通された。


「速かったですね。商人は、見つかりましたか?」


「見つかったよ。……というか、商人の正体を知ってたな、この野郎」


「そっちは、そもそも依頼に含んでいませんよ。それにしても、彼らもまだまだですね」


「言っただろ? うちには優秀な犬が居るって」


「犬です。ワン」


 ギンカが流れに乗って、犬のポーズを取っていた。可愛い。


「商人の正体が分かったんだ。騎士が商人に扮して、麻薬ディーラーに近付いた理由を話して貰おうか」


『!?』


「………」


 少し英雄覇気が漏れてしまったけど、クラウスはどこ吹く風でお茶を飲んでいる。流石に、団長ともなると色々と場数を踏んでいるのだろう。


「そうですね。まずは、目的でしょうか?」


 クラウスは、飲んでいたお茶を置いて話を始めた。全員の視線が彼に集まる。


「目的は、彼らがパラダイスロストを所持しているという証拠が欲しかったからですよ。教団の噂は、ホントですが、ちゃんとした証拠が無かったですからね」


「だから、わざわざ自分で作れる様に粉末を渡した訳か。混ぜなきゃ出来ないから、商人は関係ないって言えるし」


「元々、現物を持ってる可能性が高いから、商人から貰ったって言っても信じれない訳ですね」


「そして、飲んだら暴れるのが分かっていたから、売った後から尾行していたと」


「ええ、それで被害者になれば、傷害事件で検挙。その為に、近くで騎士団員を警備に当たらせていました。そして、調べればパラダイスロスト入りの酒を所持。パラダイスロストは、元々、教団関与の可能性が有る。だから、緊急立入検査って予定でした」


「しかし、教団にコーリス伯爵の関与が疑われた」


「教団の施設は、伯爵の領地に有ります。それを担保に、お金を借りた様ですが、詳細までは把握出来ませんでしたから。それに、学友というだけで、怪しい教団の施設を建てさせますか?普通ならしないでしょ?」


 うん、多少親しくしているくらいの人では、建てさせないよな。最近出来た宗教で、情報が少なかったとはいえ。


「だから、貴族に関与出来る人を巻き込む事にした」


「貴方なら大丈夫とギルドマスターから紹介されましたよ」


 ギルさんが関与してたよ! あの人、何やってくれてんの!? せめて、こっちに説明くらいしろよ!!


「それで、リリィを巻き込んだと?」


「いえ、それは、偶然です。というか、それがあったから、貴方たちを巻き込む事にしたのです」


 コーリス伯爵の従者が、リリィの所でクロバラ草を購入さえしなければ、俺たちは巻き込まれる事は無かったのか。


「それじゃ、騎士団が用意したクロバラ草の粉末は何処から?」


「ユーリさんは、鑑定で産地も見れるのでしたね。なら、見た方が速いでしょ?どうぞ」


 クラウスさんは、バレたのが分かっていた様で、事前に用意していたらしく、懐から粉末を出して見せてくれた。


 鑑定を行う。産地は、……ガリガラ。ラグス王国の山脈地帯だ。


「前に見たのと違う」


「ネビルは、当たりだったんですよ。リリアーヌさんの所で購入したクロバラ草を使って作った物を自分で酒に入れていたんです」


「なら、最初から言えよ。完全に分かってたんじゃないか!」


「そこは、ほら、貴方たちの能力を見たかったもので」


 この人の性格がよく分かった。犯罪者を追い詰める為には、手段を選ばない人だ。


「マジで疲れた。マリー、後は任せた」


「それでは、私の報告をさせて貰います」


 俺は、会議室の机にだらけて、マリーの報告に耳を傾けた。

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