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Brave spirits  作者: あらと
8/12

激闘

一同に癒しの魔法をかけるレン。

「いよいよ、ケルベロスですね」

「そうだね」

カズキは答える。

さいわいと言えるかどうかわからないが、これから対決するケルベロスとバハムートには、ゲーム”フリーダムファンタジアン”の中で戦った事がある。

それなりに長所と短所もわかっている。

「作戦を確認します。まず自分が正面からぶつかって、相手の注意を引きつけます。その後、皆さんが側面より仕掛けて下さい。だたし、ケルベロスは三ッ首で左右の首は結構回りますので、ブレス攻撃には特に注意して下さい」

「わかりました」

カズキの指示に皆が答える。

「それでは、そろそろ行きますか」

「はい」

カズキを先頭に一行は、第6層への階段を登った。


第6層に登ると、またちょうど反対側に第7層の階段が見え、その前にケルベロスが見える。

体長は5メートルと言ったところか。

カズキは片手剣を抜くとケルベロスに向かって走り出した。

ケルベロスはカズキに気づくと、いきなりブレスを吹き出した。

「シールドウインド!!」

カズキは魔法でブレスをそらす。

「やっぱり、簡単には懐には入れないか。ならば」

カズキは左手をかざして魔法を唱える。

「ライトニング!!」

電撃の魔法が、ケルベロスに炸裂する。

しかしケルベロスは一瞬止まっただけで、またカズキに向けてブレスを吹き出す。

カズキは横っ飛びで転がりながらも、なんとかブレスをかわす。

「やはり、この程度じゃダメか」

カズキは立ち上がると、すぐに左手をかざして魔法を唱える。

「ファイアエクスプローション!!」

爆裂の魔法がケルベロスに炸裂する。

これにはさすがに、ケルベロスも動きを止める。

「今だ!!」

カズキは叫ぶと、ケルベロスの真ん中の頭に向けて斬りつける。

オスム達も側面から斬りかかる。

「風の精霊、シルフのご加護よ……。エアースラッシュ!!」

レンの風魔法が掲げた杖から風の刃を出し、ケルベロスの胴体を切り裂く。

「ヴオオオオッーー」

ケルベロスがうなり声を上げる。

「まだだ!!」

カズキは小型剣を抜くと、ケルベロスの左首の顎に突き刺す。

すかさず、

「ウエポンバッシュ!!」

ケルベロスの右首に片手剣を叩き付け、飛び上がると中首の脳天に片手剣を突き刺した。

「ギャウゥゥ……」

ケルベロスは断末魔を上げて倒れた。


「やりましたな」

オスム達がカズキのもとへ走り寄る。

「まあ、何とかね」

カズキはケルベロスから剣を引き抜いて答える。

「先のスケルトンドラゴンとの戦いといい、本当に見事です。一度手合わせをしてもらいたいですな」

「まあ、この調査が無事に終わったらね」

オスムの言葉に笑顔で応えるカズキ。

地獄の番犬とも言われるケルベロスに、ほほ完勝した事で一同の緊張が一瞬とけた。


でも、すぐに次の戦いがある。

「さて、オスムさん」

「何でしょう」

「次の相手バハムートは、前回の戦いの時は飛びましたか?」

「はい」

カズキの問いに答えるオスム。

やはりやっかいだな、とカズキは思う。

飛んでいる相手に通用しそうな魔法は限られている。

何とか床に落としてからが勝負になる。

「レンさん」

「何でしょうか」

「風の精霊魔法で、飛んでいる相手に効果がありそうなのは、ありますか?」

カズキの問いに少し考えレンは答える。

「エアースラッシュなら当たれば何とかなると思います。一度、床まで落とせれば、エアーシールで何とか押さえられると思います」

「そうですか。わかりました」

カズキは考える。

自分の魔法が使えるうちに、何とか動きを止めねばと。

「次のバハムートに対しての作戦ですが、空中にいる間はオスムさん達は柱の陰にでもかくれて待機していて下さい。自分とレンさんの魔法で追い落とし、レンさんの魔法で押さえ込んだ後、一斉で攻撃します。自分が正面から向かいますので、ブレス等に注意しつつ後方からの攻撃をお願いします」

「わかりました」

カズキに指示に皆が答える。

「今回はかなりの強敵です。慎重に行きましょう」

「はい」

カズキを先頭に、一行は第7層への階段を登った。


第7層に登ると、また反対側に第8層への階段が見える。

しかし、バハムートの姿が見えない。

「おかしいな」

カズキは呟き辺りを見回していると、真上から気配を感じた。

「まずい、散開して!!」

カズキが叫ぶのと同時にバハムートがブレスを吹き出す。

一同はそれぞれ別々の方向に飛んで、間一髪ブレスをかわした。

「いきなりかよ」

カズキは呟く。

目の前にはバハムートが飛んでいる。

「風の精霊、シルフのご加護よ……。エアースラッシュ!!」

レンの杖から風の刃が飛び出す。

しかしバハムートは、ひらりとかわす。

「ライトニング!!」

カズキも魔法を唱え電撃が走るが、これもかわされる。

予想以上に素早い。

獲物を選ぶかのように空中を旋回するバハムート。

高さが10メートルぐらいとはいえ、あの身のこなしはやっかいだ。

「エアースラッシュ!!」

レンもまた魔法を繰り出すが当たらない。


それどころかバハムートは、風の刃をかわすのと同時にレンに向けブレスを吹き出す。

「あぶない!!」

カズキはレンに飛びついて、何とかブレスをかわした。

魔法の撃ち際を狙うなんて、頭の良い奴だ。

転がる二人にさらにブレスを吹き出すバハムート。

「シールドウインド!!」

カズキの魔法で何とかブレスをそらす。

「大丈夫?」

「ええ、何とか」

体勢を立て直す二人。

「このままやられるかよ!!」

カズキはバハムートに向け走り出す。

そこへまたブレスが襲いかかるが、カズキは滑り込みながらブレスをかわしバハムートの真下に入った。

「サンダーボルト!!」

カズキの雷撃の魔法がバハムートをとらえ、一瞬動きを止める。

「今だ!!」

カズキは叫ぶ。

「エアースラッシュ!!」

レンの魔法がバハムートの片翼をとらえ床へと落ちる。

「風の精霊、シルフのご加護よ、彼の者を押さえたまえ……。エアーシール!!」

さらにレンは魔法を唱え、バハムートの動きを封じた。


「よし、いける」

カズキは片手剣を抜き斬りかかる。

しかし、硬い鱗ではじかれる。

通常の攻撃では鱗の部分にダメージを与えるのは無理だろう。

「バーニングブレード!!」

カズキの片手剣は炎に包まれる。

2連撃、3連撃とあびせ注意を引きつける。

「今だ。アスタ、マイト翼を狙え」

オスムが声をかけ三人でバハムートの翼に斬りつける。

ナイス判断だ。

また上空に逃げられたら元も子もない。

「ギャオオオォーー」

バハムートがうなり声を上げ暴れ出す。

「ひるむな、続けろ!!」

オスムが叫び、バハムートの足や背中に剣を突き刺す三人。

さらに暴れるバハムートの尾が、マイトを捕らえる。

吹き飛ばされるマイト。

「マイトーー」

オスムとアスタは叫びながらも、さらに攻撃を加える。

その攻撃に注意が後ろに向いたバハムートの隙を、カズキは見逃さない。

「ウエポンラング!!」

カズキは剣スキルで、バハムートの喉元から脳天までを貫いた。

声も出せずに倒れるバハムート。


「マイト!!」

アスタが倒れているマイトのもとに走りより抱き起こす。

「ううっ」

マイトはうめき声を上げる。

「大丈夫か?」

「ああ」

答えながら苦悶の表情を浮かべ、左脇腹を押さえるマイト。

カズキ、レン、オスムも駆け寄ってきた。

「癒しの魔法をかけます」

レンが杖をかざすと、マイトの体は青色の光に包まれ苦しそうな表情が少しづつ治まっていく。

「魔法で一時的に痛みは抑えていますが、たぶん肋骨が折れていると思われます。これ以上の戦闘は無理かと……」

レンが言う。

「そうですか……」

オスムはうつむきながら呟いた。


さて、どうしたものか。

ある程度は覚悟していたが、ここに来ての戦力ダウンは痛い。

多分、引き返すのが正解なのだろうが、それでは前回の調査とたいして成果が変わらない事は、ここにいる皆がわかっている。

マイトをここに残して進む手もあるが、彼の状態が悪化しないとは限らない。

「カズキ殿、いかがいたしますか」

オスムがカズキに尋ねる。

「オスムさんは、どう考えます?」

「騎士団としては、多少の犠牲は覚悟の上で進むべきかと……」

「そうですか。レンさんの考えはどうですか?」

「新たな情報が得られていない以上、進むべきとは思いますが……」


残りは多分、3層で敵の戦力は不明。

しかも時間的な余裕が、どのていどあるのかも不明。

ここは進むしかないだろうとカズキも思う。

しかし、マイトをどうすべきか。


「進みましょう」

カズキは言う。

「だだし、ここから先は自分とレンさんとオスムさんの三人で。アスタさんはマイトさんを連れて騎士団に戻って下さい」

「それでは、あまりに無謀なのでは……」

アスタが言うとマイトも言う。

「自分が足手まといになるようなら、ここに捨てていって下さい」

「いえ、ここから先は無理をしないように慎重に進みますので、アスタさんはマイトさんを騎士団に連れて行った後には、他の人を連れて戻って来てください。それまでは三人で調査を進めますから。レンさん、オスムさんもそれでいいですよね」

「カズキ様がそうおっしゃるのでしたら」

「私もカズキ殿に着いていくだけです。アスタはマイトを騎士団に届けた後、合流すればよい」

レンもオスムもカズキの考えに賛同してくれた。

「わかりました。マイトを騎士団まで届けた後、必ず戻ってまいります」

アスタはマイトに肩をかし立ち上がった。

「カズキ殿、レン殿、隊長、申し訳ありませんが後を頼みます。ご武運を」

マイトは一礼をしてアスタと共に下層に降りていった。


これで、第7層までの調査は終了したのであった。




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